グレン・マーティンス(Glenn Martens)率いるY/プロジェクト(Y/PROJECT)は、女性救済を目的として救世軍が1910年に建立したパレ・ドゥ・ラ・ファムを会場に2018-19年秋冬メンズコレクションショーを開催した。シルエットや構造そのものを再構築したようなシュールな服作りは続き、ストリートウエアを自由にクリエイトする強い姿勢を見せた。
レザーのブルゾンとスウェットを組み合わせたトップスや、ニットとライダースのミックスアイテム、二重見頃のGジャン、大きく拡大されたパネルのような袖のブルゾンなど、奇異な印象で違和感あるアイテムばかり。
ボトムに目を向けても、縦のラインを強調した袴のようなシルエットのデニムパンツや、ファーを飾ったパンツ、ベルト部分を二重にしたレザーパンツなど過剰なボリューム感。ブーツもギャザーが寄るほど、必要以上に大きな造りを見せている。
しかし、その違和感がいつしか消え失せ、その過剰さが爽快感に変化するから不思議といえる。それは、グレン・マーティンスがファッションの基本を熟知した上で、表現を奇抜にしているからであり、彼自身のバランス感覚により、不安定さの中にしっかりとした安定感があるからかもしれない。ストリートウエアを独自解釈して成功を収めたヴェトモン同様、Y/PROJECTという新しいジャンルを確立しつつあるようだ。