ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)によるヴァレンティノ(VALENTINO)が、1月17日、パリの旧ロスチャイルド邸を会場に2018-19年秋冬メンズコレクションショーを開催した。ロマンティシズム、アリストパンク(貴族とパンクの折衷造語)といったキーワードを掲げながら、スポーティーな要素を加え、オートクチュールブランドとしての技術力を最大限に生かした、絶妙なバランスを見せる美しいコレクションとなっていた。
ジャパン、デヴィッド・シルヴィアン(David Sylvian)、坂本龍一、ヴィサージ(Visage)などの80年代の曲をバックに登場したのは、スウェットにジャージーのブルゾンを重ね、ダブルフェイスのコートを羽織ったモデルたち。足下にはスニーカーを合わせ、コートの袖ぐりや裾にはスタッズを打ってパンキッシュに。スポーティなブルゾンもダブルフェイスカシミア製で、VLTNのロゴをアップリケし、ほぼすべての行程に手作業を要し、ハンドクラフトの美しさをさりげなく見せている。前シーズンから登場しているVLTNのロゴは、特にスポーツアイテムに多用され、モンクレール(MONCLER)とのコラボレーションジャケットにも登場。
細かなパーツをつなぎ合わせてモチーフを描いたインレイ仕様のコートやブルゾンは、ヴァレンティノならではのクチュールテクニックを駆使。モチーフとしては花やカモフラージュの他に、タイガーやドラゴンが登場。特にタイガーとドラゴンは、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ(Valentino Garavani)による1967〜68年のオートクチュールコレクションからインスパイアされたもので、バッグなどのアクセサリーにも転用され、コレクション全体に華を添えている。
スタッズ、インレイ、ビーズ刺繍といった装飾的な側面はしっかりとあるものの、シルエットをシンプルにし、ダブルフェイス素材使いで軽く仕上げているのが今シーズンの特徴。どのルックにもモダニティーを感じさせ、限りなくフレッシュな印象を与えるコレクションとなっていた。