クリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)によるディオール オム(DIOR HOMME)は、グラン・パレを会場に2018-19年冬コレクションを発表した。無鉄砲で奔放に理想を体現する自由としての若さ、そして確かな経験を経て体得した物事の捉え方としての成熟、この2つを軸にコレクションを構成。そして、若さと成熟は、今日のメンズウエアを定義づけるフォーマルとインフォーマルのコードを互いに高める存在でもあるとしている。キャメロン・アルボージャン、マーク・ヴァンデルローといった80~90年代に活躍したモデルたちも出演し、世代を問わないコレクションであることを強調しながら、若さと成熟というテーマ性に沿ったモデル選びも話題に。
90年代のクラブカルチャーに影響を受けながらクリエーションを続けてきたクリス・ヴァン・アッシュは、今シーズンも1つのムーヴメントとなったタトゥ・カルチャー、特にトライバルモチーフに着目。シャツやジャケットなどの他に、ネックレスやバッグ、スニーカーなど、様々なアイテムに散りばめられている。
冒頭では、同メゾンのオートクチュールの象徴でもある、ウエストをマークした「バー」ジャケットのシリーズを発表。緻密な織りのグレイン・ド・プードルと呼ばれるウール素材を用いて、フォーマルなジャケットを再解釈し、世界最高峰のアトリエによる美しい作品に仕上げている。しかし、ただ「バー」ジャケットを表現するのではなく、ポロの襟をミックスしたり、スウェットのようなスリーブを配したりと、実験的なアイテムも見られた。
フォーマルとカジュアル&ストリートウエアの違いを明白にしたり、曖昧にしたりしながら、ディオールのコードも被せて進行するコレクションは新鮮でスリリング。今後のブランドの方向性を力強く提示して見せていた。