パリ・ファッションウィークの公式スケジュール最終日となる3月7日、ビューティフルピープル(beautiful people)が2018-19年秋冬コレクションを発表した。パリでのコレクション発表は3回目となるが、今季は初めてショー形式での開催。同日の午前にショーを行ったシャネル(CHANEL)の会場グランパレ(Grand Palais)近くに、真っ白なランウェイの特設会場を設けた。
先シーズンのテーマ“MAKE LOVE”のラブストーリーの続編かのように、今季のテーマは“偶然の出会い”と銘打ち、男女の出会いから交わりを、バイアスカットを用いて服で表現した。特にアウターが豊作で、ステンカラーコート、トレンチコート、ライダースジャケット、テーラード、ポンチョなど多岐に渡る。それらはメンズウェア発祥だが、対角線を意識したバイアスカットにより、体に拘束と解放を与えることで女性らしいシルエットを引き出す。一枚のブランケットのように見えるドレスやスカート、捻じるデザインで対角線を作ったドレス、ロング丈のプリーツスカートもバイアスカットによって流動的な美しいドレープが強調された。直線と曲線、ニットとニットの重ね着、表と裏を設けないリバーシブルのアイデアなど、さまざまな対峙をバイアスカットによって融合させ、絶妙なハーモニーを奏でる。
一見クラシックで単純に見えるかもしれないが、非常に複雑なパターンで構成されており、パタンナーとして経験を積んだ熊切秀典の卓越した技が発揮されたコレクションだった。ランウェイで数秒目にするだけでは飽き足りず、ディテールまでしっかり見たいと好奇心を駆られるような“ものづくり”が基盤にある良質な服だ。熊切がパリで綴るラブストーリーの行く末を、引き続き見届けたい。