シアタープロダクツ(THEATRE PRODUCTS)の2018-19年秋冬コレクションが3月23日に渋谷ヒカリエで発表された。今シーズンのテーマは“HOMME”。すべてのルックは男性モデルによってウォーキングされたが、メンズではなく「女性の為に用意された男性用のワードローブ」であり、れっきとしたウィメンズのコレクション。
ファーストルックは白のサマーストライプのスーツの黒人モデル。タイトなダブルブレストのジャケットにバギーパンツ。フィット&フレアなシルエットに大きさの違うバッグがドッキングした白のバッグ、胸元に付けたバレッタがフェミニンな印象を与える。
リフレクトテープを配したファイアーマンジャケット、パラフィン加工を施したウェザークロスのミリタリーのコート、ニットの闘牛士ジャケットなどハードなメンズアイテムが、ジョッパーズのボトム、バブーシュ、スリッポンなどの足元で女性らしさが強調される。
東京牛のロゴが入ったスウェットやバッグ、そのままシューポリッシュクロスとプリントされた斜めがけバッグなど、同ブランドらしい遊び心のあるアクセサリーも男性モデルが持つとコミカルに見えるが。女性に転換すればまったく違う風景が見えてくる。
2014-15年秋冬シーズンにもメンズウェアをテーマにしたコレクションを発表。「前回の提案が不本意で、メンズのアイテムをもっとしっかり表現したかった。特に女性らしさを考えず、デザインをそぎ落として男性の服の魅力を前面に出した」デザイナーの森田美和。「ジェンダーを超えてファッションは楽しめるものだ、ということをあらためて感じた」と同ブランドの設立者である武内昭は話す。
ショーはヒューマンビートボクサーのアフラ(AFRA)がその場のオーバーダビングによる即興ライブで進行。オープニングからエンディングまでソロパフォーマンス。まったく一人の手によってその場でショー音楽を作り上げた同様の試みは宇宙旅行をテーマにした16-17秋冬コレクションで(TUKER)が楽器を使って行われたが、今回はボイスのみ。ウィメンズがメンズに、女性モデルが男性モデルに、声が楽器に、マジックやフェイクではなく、リアルに倒置されたコレクションとなった。
Text: Tatsuya Noda