アメリカ・カリフォルニアのオークランドでは近年、住宅の事情に少しずつ変化が起きているようだ。緊急時に使用できる住居や貸出用の住居の必要性から、二次的住居(自宅のバックヤードの小屋など)を建てる際に関わる規制が大きく緩和されたという。2人の大学教授、ロナルド・ラエル(Ronald Rael)とバージニア・サン・フラテロ(Virginia San Fratello)が中心となって設立したスタートアップ、エマージング・オブジェクツ(Emerging Objects)はこの背景から、新たな発想で二次的住居を製作した。
彼らが製作したのは外装・内装共に3Dプリント技術を用いて作られたキャビン型の住居。一階建ての、決して大きいものとは言えないが本格的な作りのものだ。正面の装飾は美しいチョコレート・ボックスをイメージしたもの。プランターも兼ねたタイルが気持ちよく整頓され並べられ、実際に本物の植物が植えられている。サイドには植物の種が集まり波うっているようにも見えるテクスチャを製作。4,500枚以上作られたこのテクスチャーは、瓦のように配置され屋根からサイドの壁面を覆い尽くしている。エマージング・オブジェクツは農業や工業で生み出された廃棄物の再利用にもフォーカスしており、それらを素材に使用しているそうだ。
内装にも3Dプリント技術が惜しみなく使われている。内部の壁面には「クロマ・カール・ウォール」と呼ばれるものを採用しており、室内でライトを点けると幻想的な雰囲気を作り出すことができる。これは特殊な光の反射の仕方をする素材による効果で、コーンから生成されたバイオプラスチックからできている。
エマージング・オブジェクツはこのプロジェクトから、3Dプリントは美しく精巧で、価値のあるものを作ることができることを示せたという。また3Dプリントに持たれがちな、大雑把で早くて安っぽいというイメージを見事に覆したと言える。外装・内装ともに見た目と機能性が充実したこのキャビンは、その低コストとデザイン性から多くの需要が見込めるだろう。
※本記事は (引用元: http://www.emergingobjects.com/)に許可を得て、翻訳・執筆を行っております。