2019年春夏メンズファッションの総合展示会、第94回ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO94)が6月12日から15日の4日間、フィレンツェで開催された。
元フィレンツェ県知事、前首相のマッテオ・レンツィ(Matteo Renzi)の肝いりもあって内容を拡充し、この数年好調な動員を続けてきたピッティ・ウオモだが、イタリア国内の政局混迷による経済低迷、ファッション業界全体を襲うマーケットの高額品離れなどで、やや雲行きに変化が出始めている。
今回の来場者は結果的に前年6月開催横ばいの3万人、内バイヤーは1万9,100人。日本からの来場者は前年より若干下回ったが、プレス関係者の数は増加した。会場のフォルテッツァ・ダ・バッソ周辺ではマッテオ前首相時代から工事が開始されたトラム(路面電車)のテスト運行が行われ、出展者の退出時に入り口付近の混雑が目立つが、初日の会場内ブースは落ち着いたムード。2日目、3日目はピッティの名物となったストリートスナップ、SNSの撮影に多くのファッショニスタたちが集まり、フェスティバル的な盛り上がりを見せたが、最終日の会場は閑散とした印象はまぬがれなかった。
この数シーズン、ミラノメンズへの参加ブランドがウィメンズとの合同ショーへシフトする流れもあって、ショーの数が減少し、ミラノをスキップするバイヤー、メディアが増えつつある傾向は、同イベントにとっては深刻だ。さらに今年はサッカー・ロシアワールド杯の開催と重なり、早期化する夏のバカンスや「音楽フェスなど、多様化するイベントに客足を奪われるという影響が出た」とファエル・ナポレオーネ(Raffaello Napoleone)ピッティ・イマージネCEO。
しかしながら、全1,240ブランド(内45%が海外からの出展)が参加する同展が、メンズファッション業界における重要なトレードショーであることは変わりなく、この数年にわたり同展が推進してきた最新のトレンド、カッティングエッジなブランドの動きをいち早く紹介するという姿勢は定着したのは確か。今回もクレイグ・グリーン(Craig Green)、ロベルト カヴァリ(Robert Cavalli)、エムシーエム(MCM)やビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)などメインが会場以外で公式イベントを行い、出展ブランドが独自にフィレンツェ市内で開催するイベントもこれまでより格段に増加した。
それ以外にもグッチ(GUCCI)は期間中にメルカンツィア宮殿内(旧グッチミュゼオ)に「グッチガーデン(GUCCI GARDEN)」をオープンし、パーティーを開催。ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)は、ロンドンから人気バンド、モーチーバ(Morcheeba)を招聘しフェス形式の音楽イベントを実施するなど、ピッティ・ウオモの展示会には参加していないブランドが会期に合わせてイベントを行うケースが目立つ。
観光シーズンであるこの時期に、ピッティ自体がファッションブロガーや一般のファッションマニアをも対象とした総合的なファッションフェスへと移行しつつあり、それがこの数年ピッティと疎遠になっていたファッション関係者の呼び戻しにつながっているのも確かだが、会場外のサテライトイベントの増加が、展示会場の各ブースの来場者数に影響を与えているのでは、という声も聞かれた。
次→ピッティが注目する日本人クリエイターたちの現地での評価は?
Text: Tatsuya Noda
元フィレンツェ県知事、前首相のマッテオ・レンツィ(Matteo Renzi)の肝いりもあって内容を拡充し、この数年好調な動員を続けてきたピッティ・ウオモだが、イタリア国内の政局混迷による経済低迷、ファッション業界全体を襲うマーケットの高額品離れなどで、やや雲行きに変化が出始めている。
増加する会場外サテライトイベント
今回の来場者は結果的に前年6月開催横ばいの3万人、内バイヤーは1万9,100人。日本からの来場者は前年より若干下回ったが、プレス関係者の数は増加した。会場のフォルテッツァ・ダ・バッソ周辺ではマッテオ前首相時代から工事が開始されたトラム(路面電車)のテスト運行が行われ、出展者の退出時に入り口付近の混雑が目立つが、初日の会場内ブースは落ち着いたムード。2日目、3日目はピッティの名物となったストリートスナップ、SNSの撮影に多くのファッショニスタたちが集まり、フェスティバル的な盛り上がりを見せたが、最終日の会場は閑散とした印象はまぬがれなかった。
この数シーズン、ミラノメンズへの参加ブランドがウィメンズとの合同ショーへシフトする流れもあって、ショーの数が減少し、ミラノをスキップするバイヤー、メディアが増えつつある傾向は、同イベントにとっては深刻だ。さらに今年はサッカー・ロシアワールド杯の開催と重なり、早期化する夏のバカンスや「音楽フェスなど、多様化するイベントに客足を奪われるという影響が出た」とファエル・ナポレオーネ(Raffaello Napoleone)ピッティ・イマージネCEO。
しかしながら、全1,240ブランド(内45%が海外からの出展)が参加する同展が、メンズファッション業界における重要なトレードショーであることは変わりなく、この数年にわたり同展が推進してきた最新のトレンド、カッティングエッジなブランドの動きをいち早く紹介するという姿勢は定着したのは確か。今回もクレイグ・グリーン(Craig Green)、ロベルト カヴァリ(Robert Cavalli)、エムシーエム(MCM)やビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)などメインが会場以外で公式イベントを行い、出展ブランドが独自にフィレンツェ市内で開催するイベントもこれまでより格段に増加した。
それ以外にもグッチ(GUCCI)は期間中にメルカンツィア宮殿内(旧グッチミュゼオ)に「グッチガーデン(GUCCI GARDEN)」をオープンし、パーティーを開催。ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)は、ロンドンから人気バンド、モーチーバ(Morcheeba)を招聘しフェス形式の音楽イベントを実施するなど、ピッティ・ウオモの展示会には参加していないブランドが会期に合わせてイベントを行うケースが目立つ。
観光シーズンであるこの時期に、ピッティ自体がファッションブロガーや一般のファッションマニアをも対象とした総合的なファッションフェスへと移行しつつあり、それがこの数年ピッティと疎遠になっていたファッション関係者の呼び戻しにつながっているのも確かだが、会場外のサテライトイベントの増加が、展示会場の各ブースの来場者数に影響を与えているのでは、という声も聞かれた。
次→ピッティが注目する日本人クリエイターたちの現地での評価は?
Text: Tatsuya Noda
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