世界最大級の音楽ストリーミング・サービス、Spotifyがプッシュする旬の国内アーティストが集うイベント「Spotify Early Noise Night」の第7回目が7月18日に代官山SPACE ODDにて開催された。
本イベントは同名の人気プレイリストと連動し、これからの活躍が期待できる気鋭の国内ニューカマーたちをより広い世間へと知らしめることを目的としている。毎回入場料が1,000円という敷居の低さも相まり、感度の高い音楽リスナーを中心に注目を集めるイベントだ。
先月は初の大阪開催も話題となったが、再び会場を渋谷・代官山SPACE ODDに戻し、オーディエンスが演者をぐるりと囲む、恒例の360°ステージ仕様にて開催された今回は、スリー(THREE1989)、ニュースピーク(Newspeak)、テンドウジ(TENDOUJI)、スシボーイズ(SUSHIBOYS)といった、ジャンルやシーンもバラバラな4組が出演した。
個性の強い4組がそれぞれのカラーで会場を塗り変えた、貴重な一夜をレポートする。
■THREE1989
この日の一番手として登場したのは、THREE1989。あの『テラスハウス』への出演でも知られる上村翔平(Shohey)がフロントマンを務める西暦1989年生まれの3人組だ。そのスタイリッシュなルックスで、音楽業界以外からの注目度も高い。この日は3人のコーラス隊とドラムを加えたを引き連れた7人編成でのパフォーマンスを披露。1曲目はShoheyの甘い歌声が響き渡る「涙のダンスフロア」。しっとりと聴かせるミドル・ナンバーだが、ソウルフルなコーラスが加わったこの日のアレンジでは、まるでゴスペルを想起させるような、荘厳な世界観をも生み出していた。
「どうもこんばんは! Spotify Early Noise Night! THREE1989です、よろしく! 」と、ボーカル・Shoheyによる快活なMCと共に続いて「High Times」へ流れ込む。グルーヴィーなリズム隊に、DJのDatchによるスクラッチ、エフェクトなどの上音が乗っかり、オーディエンスも思わず体を横に揺らし、思い思いのダンスを踊る。「本邦初公開」と言い放ち披露したのは、7月19日にリリースされた「mint vacation」。鋭利なカッティング・ギターが先導する、これまたファンキーかつダンサブルな1曲だ。
最後は4月にリリースされた2ndミニ・アルバム『JET BLUE』からのリード曲「UMBRELLA」から、滑らかに「Don't miss it」へと繋ぎ、その華やかかつソウルフルなサウンドで会場を魅了した。
【THREE1989 SET LIST】
01. 涙のダンスフロア
02. High Times
03. UNIVERSE
04. mint vacation
05. UMBRELLA
06. Don’t miss it
01. 涙のダンスフロア
02. High Times
03. UNIVERSE
04. mint vacation
05. UMBRELLA
06. Don’t miss it
■Newspeak
本イベントにオフィシャル・メディアとして参加しているSpincoasterスタッフによる転換DJを挟み、まるでSF映画の幕開けのようなSEと共に颯爽と表れたのは、昨年3月結成ながらも急速的に注目を集める4人組バンド、Newspeak。こちらもモデルのようなクールなルックスで注目を集める逸材だ。攻撃的なナンバー「Media」を挨拶代わりにプレイし、ダイナミックな演奏で会場の空気を塗り変える。
昨年9月に500枚限定でリリースした1st EPより、小気味よいギター・リフとアンセミックなコーラスが印象的な「Beat Goes On」、飛び跳ねるようなピアノ・リフがダンスを誘う「What We Wanted」を立て続けに投下。これにはオーディエンスも大いに盛り上がり、バンドの熱量に応える。そして、Rei(Vo./Key.)が「次の曲は新曲です」と言い放ち、10月にリリースすることが発表されたミニ・アルバム『Out Of The Shrinking Habitat』より新曲「LAKE」も披露。バンドが新たなフェーズへと突入していることを見せつけ、最後は壮大なアンセム・ナンバー「July」で締め括り。
UKインディ・ロックを始めとした世界標準なサウンドと、ネイティブな発音の英詞が合わさった、まさに日本人とは思えないバンドの代表格と言えるだろう。
【Newspeak SET LIST】
01. Media
02. Beat Goes On
03. What We Wanted
04. LAKE
05. July
01. Media
02. Beat Goes On
03. What We Wanted
04. LAKE
05. July
■TENDOUJI
ワールドカップ後だったからか、「オ〜レ〜オレオレオレ〜♪」でお馴染み、The Waves「WE ARE THE CHAMP〜THE NAME OF THE GAME〜」をバックに、会場の笑いを誘いながら登場したTENDOUJI。「東京インディ・シーンきっての愛されバンド」との異名も持つ4人組だが、その親しみやすいルックス、そしてファニーなキャラクターとは裏腹に、ポップな楽曲センスとライブ・パフォーマンスには毎回唸らされる。
昨年リリースされた初のフル・アルバム『Mad City』よりミドル・テンポな「Parasite」にて、ライブはゆるやかにスタート。2曲目にはササクレ立ったギター・リフが先行する新曲を挟み、今年4月リリースのEP『BUBBLE POPS』収録の「Space Weekend」をプレイ。楽曲のテンション感に合わせ、演奏の熱量もどんどん高まっていく。MCではアサノケンジ(Gt./Vo.)が「ずっとケツ見られてるような感じ(笑)」と、360°ステージという特殊な環境への戸惑いも口に出しつつ、10月に自主企画“MAKE! TAG! NIGHT!!! Vol.1”を開催する旨を伝え、後半戦へ。
「HAPPY MAN」や「THE DAY」、「GROUPEEEEE」などの初期曲ではオーディエンスからも合唱が起こり、バンドの演奏もよりハードに、ダイナミックに。しかし、どれだけ演奏がラフになろうとも、どの楽曲もキャッチーな歌メロがブレることはなく、そこがTENDOUJIをTENDOUJIたらしめている所以なのだということを、改めて再認識させてくれた。
【TENDOUJI SET LIST】
01. Parasite
02. 新曲
03. Space Weekend
04. Kids in the Dark
05. HAPPY MAN
06. THE DAY
07. GROUPEEEEE
01. Parasite
02. 新曲
03. Space Weekend
04. Kids in the Dark
05. HAPPY MAN
06. THE DAY
07. GROUPEEEEE
■SUSHIBOYS
この日のトリを務めるのは、昨年飛躍的な成長を遂げたヒップホップ・グループ、SUSHIBOYS。ユニークなグループ名、そして古着を中心とした個性的な出で立ちで、シーンにおいて異彩を放ち続けている存在だ。
一曲目からテンションMAXでステージを所狭しと飛び回りながら、3人のMCによる個性的なフロウが入れ代わり立ち代わり飛び交っていく。初っ端のMCで「いらっしゃいませ! 」とオーディエンスの笑いを誘ったかと思えば、「寿司ポーズ」の伝授や突如「ライブ中なのに出前が来た! 」という小芝居まで、徹頭徹尾オーディエンスを楽しませようとする姿勢が印象的だ。その姿は、本人たちが自称している通り、まさしく「アトラクション」のようであった。しかし、一度パフォーマンスに入れば、ユニークな楽曲テーマ、リリックとは相反する洒脱なトラック、そしてクールなラップを武器に、完全に会場の空気を掌握する。
「ダンボルギーニ」、「ママチャリ」と乗り物繋がりで人気曲を披露した後、「僕らいつもやっちまった時に、あるおまじないを唱えてるんですよ」と言い、オーディエンスとのコール・アンド・レスポンスを促す「OMG」では大合唱も起きた。アンセミックなトラックが印象的な「問題ねぇ」では、「みなさんこんなに四方八方たくさんいてくれるので、最後は思いっきりやってやりましょう」とのMC通り、オーディエンスも含め、会場全体で一体感を作り出し、この日イチの盛り上がりをみせた。
メンバーが退場した後も鳴り止まない拍手を受けて、急遽アンコールも披露。昨年リリースされた、初のCD作品『NIGIRI』より、ソリッドかつアッパーなナンバー「Catch ur dream」でピークを再び更新するかのようなエネルギッシュなパフォーマンスを披露。ライブの幕を閉じた後も、その余韻が会場を包み込んでいた。
【SUSHIBOYS SET LIST】
01. カンフー
02. 軽自動車
03. ダンボルギーニ
04. ママチャリ
05. OMG
06. アヒルボート
07. 問題ねぇ
Enc. Catch ur dream
01. カンフー
02. 軽自動車
03. ダンボルギーニ
04. ママチャリ
05. OMG
06. アヒルボート
07. 問題ねぇ
Enc. Catch ur dream