新緑の季節、生花やグリーンを扱う店舗を目にすることが増えている。フラワー、グリーンとストアデザインという視点から、この10年ほどを思い返してみると、モダンなオープンキッチンのようなスタイルの「サンジョルディフラワーズ」が恵比寿にオープンしたのが2003年。また、カジュアルな価格帯の花のショップが、駅ビルなどで人気を集める一方で、「ニコライバーグマン ノム」や庭園デザイナーの石原和幸氏による「青山 風花(ルビ:かざはな)」など、フラワーアーティストらによる店舗では、プロにしかできない空間の魅力を見せる。そして、現代では、プロだけではなく、いわゆる生活の中で 花、葉や枝モノなどを飾ることがスタンダードとなり、いわゆるライフスタイル系の店舗に“グリーン”が広まったような状況にある。
そして、現在は、他業態のショップとフラワー、グリーンとの距離感がさらに密接なものとなっているように感じる。アパレルやインテリアのショップとの連携により、相乗効果を発揮している事例として、プラントアーティストの川本諭氏率いるGREEN FINGERSによるショップが挙げられる。
■GREEN FINGERSによる店舗
・URBAN RESERCH/PLANTS & SUPPLY by GREEN FINGERS
・SLOW HOUSE/KNOCK by GREEN FINGERS
「PLANTS & SUPPLY by GREEN FINGERS」は、アーバンリサーチの上階に位置する、GREEN FINGERSによるショップ。アパレルの店舗空間を通り抜けた上階にあるというシークエンスの妙があり、グリーンを眺めつつお茶を飲めるカフェも併設されている。神南エリアで、川本氏セレクトのグリーンと、ほどよく年代を経たようなインテリアが落ち着きを与えてくれる。同じく、GREEN FINGERSのショップはいくつか展開されているが、天王洲の「KNOCK by GREEN FINGERS」も、まさに昨今の流れを象徴する空間だろう。レアジェムの西條賢氏がインテリアデザインを手掛けた倉庫の大空間に、家具、アパレル、飲食、グリーンが、あるセンスのなかで並列されている。