グリーンを店舗空間に取り入れた最新事例を見てみよう。
■大阪:
・bois de gui Kitahama
・ビオトープ大阪
・THE FARM UNIVERSAL
■東京:
・PENDULE VIA BUS STOP
・新宿伊勢丹 5階(リモデル後)
・SPOONBILL 青山
・ハナセッキ
・そら植物園 高島屋
・蔦屋家電
前回紹介した店舗は都内だが、大阪でもグリーンとショップの魅力的な連携が見られる。大阪・北浜のビル1階フロアに入り、それぞれに好影響をもたらしているのが、フラワーギフトなどを販売する「bois de gui Kitahama」とコーヒーの人気店「BROOKLYN ROASTING COMPANY KITAHAMA」である。ともに、空間デザインはドロワーズの小倉寛之氏が手掛けて、素材使いや手触りにこだわったインテリア。
アダムエロペが展開する「ビオトープ大阪」は、白金にあるビオトープの大阪店であるが、建築家の谷尻誠氏による飾らない空気感の中に、SOLSOの齊藤太一氏が手掛けたグリーンが広がる。
また、つい先頃、大阪・茨木にオープンした、ガーデニングの拠点となる「THE FARM UNIVERSAL」は、ガーデニング初心者にも対応するショップだ。ディレクションはSOLSOの齊藤太一氏、こちらの設計も、bois de guiと同じく、ドロワーズの小倉寛之氏によるものだ。
東京の話題に戻って、新たな動きをいくつか挙げてみると、まずヴィア バス ストップの新業態「PENDULE VIA BUS STOP」は、アパレルのみならず、書店、雑貨、カフェを併設し、さらには、フラワーショップがエントランス付近でお客を迎えてくれる。また、根津美術館付近では、SPOONBILLというフラワー、観葉植物、家具、雑貨のセレクトショップがオープンしている。プラスワイの安原正樹氏による繊細なライティングデザインにより、グリーンも花瓶などの静物も美しく見える。
また、3月にリモデルオープンした新宿伊勢丹のリビングフロアでも、家具、カトラリー、雑貨などのフロア内にフラワーショップが位置している。
また、変わった業態としては、移動式花屋「ハナセッキ」の展開も興味深い。商店建築5月号のポップアップストアの特集でも取材したばかりだが、PHAMILYによる、組み立て、解体のシステムを考慮したデザインは緻密なものである。そして、二子玉川ライズに先日オープンした「蔦屋家電」でも、豊かなグリーンが目を楽しませてくれる。
最後に、この春、驚きを与えてくれたグリーンの話題をもうひとつ。プラントハンター・西畠清順氏による「ボタニカルガーデン」と題した、高島屋各店での展開を紹介したい。日本橋高島屋では、ウインドーにも展開し、さらに店内吹き抜けエリアに、大規模な“植物園”が出現。展示期間後の植物は、ファームで“休ませる”という西畠氏の言葉に、切り花の世界とはまた異なる、他国から連れて来た仲間(植物たち)を大切にする、彼らの考え方を感じることができた。