Spotify主催の新人フックアップ・イベント、「Early Noise Nigh」が10月7日に大阪・心斎橋Music club JANUSにて開催された。
本イベントは同名の人気プレイリストと連動し、これからの活躍が期待できる気鋭の国内ニューカマーたちをより広い世間へと知らしめることを目的としており、毎回入場料が1,000円という敷居の低さも相まり、若い音楽リスナーを中心に注目を集めている。
8回目となる今回は、6月開催回以来2度目の大阪開催。3連休に合わせて開催された関西最大級のサーキット・イベント「MINAMI WHEEL 2018」の中日に当たるだけあり、会場にはライブ会場をハシゴしてきたと思しき音楽好きの姿もあちこちに。THREE1989は残念ながらメンバーの体調不良により出演キャンセルとなってしまったが、代わりにTENDOUJIの出演が決定し、Ryu Matsuyama、WOMAN、tricot、ドミコ、The ManRayらロック・バンド6組が繰り広げた白熱の一夜をレポートする。
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6月の大阪開催回同様、日本全国のインディ・リスナーから高い認知と信頼を得るFLAKE RECORDSの店主・DAWAによるDJを挟み、FM802の河嶋奈津実のMCにてイベントの趣旨が説明される。一番手として登場したのはピアノスリーピースバンド、Ryu Matsuyamaだ。まるで1番手からクライマックスのような、壮大なサウンド・スケープを描き出す「Footsteps」でライブは幕開ける。「こんばんは! Ryu Matsuyamaです! 」と元気のいい挨拶を挟んだと思いきや、メロウかつドラマチックな「Take a Piece」をプレイ。MCでは「PAさん、直前で曲順を変えてすいません」と笑いを誘いつつ、疾走感溢れる「City」へと流れる。情感溢れるボーカルとスケールの大きい彼らのサウンドは、スウェーデンやアイスランドなど、北欧のアーティストを想起させるような清涼感をも携えている。5月にリリースされたメジャー・デビュー・アルバム『Between Night and Day』からの楽曲を中心に、しっかりと会場のオーディエンスを魅了。「僕たちはいつも風景を描くつもりで音楽を演奏しています」「またあなたたちの、そして僕らの風景の中でお会いしましょう」と、自らの確固たるスタイルを表しているかのような人気曲「Landscapes」で幕を閉じ、バトンをしかと次へと渡した。
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続いて登場したのは新進気鋭の5人組バンド、WOMAN。昨年始動したばかりながら、今年5月にFLAKE RECORDS主宰レーベル・FLAKE SOUNDSよりリリースされたデビュー・アルバム『beautiful』がSpotifyにて高い再生数を誇るなど、大きな注目を集めている存在だ。James BlakeによるSimon & Garfunkel「The Sound of Silence」のカバーをSEに、先述のアルバムでは最後に位置する「ballad」から、同じくアルバムのオープナー・トラック「breaking dawn」でライブはスタート。まるでリピート再生で彼らのアルバムを聴いているかのようだ。Bon IverやFrancis and the Lightsを想起させる、プリズマイザーのようなボーカル・エフェクト、細切れのボイス・サンプル、浮遊感のあるシンセを、バンド・サウンドに巧みに取り入れた独創性の高い音楽性で一気に会場の空気を塗り替える。また、メンバーが曲毎に楽器を持ち替えるその柔軟さも今日的。「今日のイベントは僕たちだけが大阪のバンドみたいなので、胸を張ってレペゼン大阪の気持ちでやっていこうと思います」と、MCでは口数少ないながらも地元への誇りをしっかりと伝えてくれた。現代的なテクノロジーやトレンドへの目配せも感じさせつつも、芯の部分にはロック・バンドとしての矜持のようなものを擁していることを感じさせてくれる、ダイナミックなパフォーマンスであった。
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3番手として登場したのは、世界を股にかけて活躍するtricot。長尺曲の多かった前2組とは異なり、タイトかつソリッドな楽曲を次々と放ち、会場の熱量をグイグイと上げていく。1曲目に「おやすみ」を持ってきたのは深夜イベントならではか。鋭角的なギター・リフや変幻自在な楽曲構成、そしてそれを演奏する盤石なスキルは彼女らの経験値の高さを感じさせる。「新曲やりまーす」と言い放ち披露されたメロウなコーラスが印象的な新曲もは、曲が展開していくに連れて幾重にも表情を変える、まさにtricot節前回のナンバー。静と動、柔と剛を併せ持つ彼女らだからできる、高次元のロック・サウンドを体現していた。今回はダイブなどもなく、いつものライブにしては大人しめな雰囲気だったかもしれないが、それが故に新たな一面も垣間見れたのではないか。「ライブハウスで深夜に演るのは初めてです」と、MCでも口数少なく、淡々と、しかし熱の籠もった演奏は観る者を圧倒する。最後は3rdアルバム『3』から「Melon Soda」で締め括り。最後の中嶋イッキュウによる「ありがとうございました! 」のシャウトと呼応したバンド・アンサンブルの高まりは、この日のピークのひとつと言える光景であった。
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いよいよ折り返し地点。すでに夜も深まり、しっかりと温まった会場に満を持して登場したのは、東京を拠点とする2ピースバンド、ドミコ。“Early Noise Night”では5月に開催したVol.05以来2度目の出演ながら、すでに貫禄地味たものまでも感じさせる。1曲目はブルージーな「深海旅行にて」で幕開け。ボーカル・さかしたひかるのしなやかな歌声、そしてルーパーを駆使した演奏、ドラム・長谷川啓太との息の合ったパフォーマンスも抜群の安定感を感じさせる。ライブ前に河嶋奈津実のMCにて、「Spotifyリスナー数が5倍に増加した」と説明された話題の新曲「ベッドルーム・シェイク・サマー」がセットリストに入っていなかったのは残念であったが、それは逆説的にライブでの持ち曲の多さを物語っている。曲間のMCではおっとりとした、どこかキマらないキャラクターで笑いを誘うさかしただが、演奏時は別人のような迫力を放つ。ギター1本でバッキングからリード、それにベース音までも演奏しながら、ボーカルまでも担当する様は、何度観ても唸らされる。フックの効いたメロディとカラフルなサイケデリアを武器に、今夜もオーディエンスを自らの世界観へと誘うことに成功していた。
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今宵5番手にして、この日“MINAMI WHEEL 2018”含む2ステージ目となったのは、硬派なロックを貫く3人組、The ManRay。昨年6月にリリースした1st EP『You will be mine』収録の「Brown sugar」がSpotify国内バイラル・チャートで2位まで駆け上がり、今年リリースの新作EP『Fly To The Moon』も高い再生数を誇るなど、今大きな勢いに乗るバンドだ。無駄な音が一切ない武骨なサウンド、そしてロックの持つプリミティヴな高揚感を純粋培養させたかのようなそのライブパフォーマンスは、今の時代においては稀有な存在であり、どこまでも新鮮に鳴り響く。ドラムのRyuji Ooshiroはタンクトップ、そしてベースのKo Kogaは登場時から上半身裸と、そのスタイルも泥臭く、良い意味でルーズな部分も残した演奏も相まり、彼らの登場と同時に心斎橋JANUSはまるでアメリカ郊外のパブのような空気に塗り替えられる。オーディエンスもお酒を片手に思い思いに踊り、手を挙げ、彼らに応える。ガレージ、ブルース、ロカビリーなどなど、ロックの根源的な部分を追求する彼らのスタンスは、時代に流されない普遍的な魅力を放っていた。
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この日のトリを飾ったのは、惜しくもキャンセルとなってしまったTHREE1989のピンチヒッターとして抜擢されたTENDOUJI。“Early Noise Night”は7月開催のVol.07以来2度目、The ManRayと同じくこの日は“MINAMI WHEEL 2018”からの2連戦。すでに朝焼けが見え始めた時間帯ながらも、ライブではもちろん初っ端からアクセル全開。キャッチーなリフが先導する「Skippy」、抑圧されたテンションとその後の爆発力が魅力の「D.T.A.」、問答無用の人気曲「Kids in the dark」などなど、熱量振り切れたナンバーを矢継ぎ早に投下。途中、急遽出演することになった本イベントについて、「Spotifyに恩を売る形になりました」と言及し、会場の笑いを誘う。河嶋奈津実のMCによると、彼らの楽曲はSpotify上では海外からの再生数も非常に高いという。きっとそれは抜群にキャッチーなサウンドと親しみやすいメロディがあるが故。歌詞が聴き取れなくても、問答無用に盛り上がれる、ハッピーなヴァイブスに満ち溢れた彼らのライブ・パフォーマンスは、国境や言語の壁といったものは一切感じさせない。とても明け方とは思えないほどの盛り上がりを見せるオーディエンスと共に、8回目の“Early Noise Night”も大団円のままに幕を下ろした。
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本イベントは同名の人気プレイリストと連動し、これからの活躍が期待できる気鋭の国内ニューカマーたちをより広い世間へと知らしめることを目的としており、毎回入場料が1,000円という敷居の低さも相まり、若い音楽リスナーを中心に注目を集めている。
8回目となる今回は、6月開催回以来2度目の大阪開催。3連休に合わせて開催された関西最大級のサーキット・イベント「MINAMI WHEEL 2018」の中日に当たるだけあり、会場にはライブ会場をハシゴしてきたと思しき音楽好きの姿もあちこちに。THREE1989は残念ながらメンバーの体調不良により出演キャンセルとなってしまったが、代わりにTENDOUJIの出演が決定し、Ryu Matsuyama、WOMAN、tricot、ドミコ、The ManRayらロック・バンド6組が繰り広げた白熱の一夜をレポートする。
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■Ryu Matsuyama
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6月の大阪開催回同様、日本全国のインディ・リスナーから高い認知と信頼を得るFLAKE RECORDSの店主・DAWAによるDJを挟み、FM802の河嶋奈津実のMCにてイベントの趣旨が説明される。一番手として登場したのはピアノスリーピースバンド、Ryu Matsuyamaだ。まるで1番手からクライマックスのような、壮大なサウンド・スケープを描き出す「Footsteps」でライブは幕開ける。「こんばんは! Ryu Matsuyamaです! 」と元気のいい挨拶を挟んだと思いきや、メロウかつドラマチックな「Take a Piece」をプレイ。MCでは「PAさん、直前で曲順を変えてすいません」と笑いを誘いつつ、疾走感溢れる「City」へと流れる。情感溢れるボーカルとスケールの大きい彼らのサウンドは、スウェーデンやアイスランドなど、北欧のアーティストを想起させるような清涼感をも携えている。5月にリリースされたメジャー・デビュー・アルバム『Between Night and Day』からの楽曲を中心に、しっかりと会場のオーディエンスを魅了。「僕たちはいつも風景を描くつもりで音楽を演奏しています」「またあなたたちの、そして僕らの風景の中でお会いしましょう」と、自らの確固たるスタイルを表しているかのような人気曲「Landscapes」で幕を閉じ、バトンをしかと次へと渡した。
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■WOMAN
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続いて登場したのは新進気鋭の5人組バンド、WOMAN。昨年始動したばかりながら、今年5月にFLAKE RECORDS主宰レーベル・FLAKE SOUNDSよりリリースされたデビュー・アルバム『beautiful』がSpotifyにて高い再生数を誇るなど、大きな注目を集めている存在だ。James BlakeによるSimon & Garfunkel「The Sound of Silence」のカバーをSEに、先述のアルバムでは最後に位置する「ballad」から、同じくアルバムのオープナー・トラック「breaking dawn」でライブはスタート。まるでリピート再生で彼らのアルバムを聴いているかのようだ。Bon IverやFrancis and the Lightsを想起させる、プリズマイザーのようなボーカル・エフェクト、細切れのボイス・サンプル、浮遊感のあるシンセを、バンド・サウンドに巧みに取り入れた独創性の高い音楽性で一気に会場の空気を塗り替える。また、メンバーが曲毎に楽器を持ち替えるその柔軟さも今日的。「今日のイベントは僕たちだけが大阪のバンドみたいなので、胸を張ってレペゼン大阪の気持ちでやっていこうと思います」と、MCでは口数少ないながらも地元への誇りをしっかりと伝えてくれた。現代的なテクノロジーやトレンドへの目配せも感じさせつつも、芯の部分にはロック・バンドとしての矜持のようなものを擁していることを感じさせてくれる、ダイナミックなパフォーマンスであった。
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■tricot
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3番手として登場したのは、世界を股にかけて活躍するtricot。長尺曲の多かった前2組とは異なり、タイトかつソリッドな楽曲を次々と放ち、会場の熱量をグイグイと上げていく。1曲目に「おやすみ」を持ってきたのは深夜イベントならではか。鋭角的なギター・リフや変幻自在な楽曲構成、そしてそれを演奏する盤石なスキルは彼女らの経験値の高さを感じさせる。「新曲やりまーす」と言い放ち披露されたメロウなコーラスが印象的な新曲もは、曲が展開していくに連れて幾重にも表情を変える、まさにtricot節前回のナンバー。静と動、柔と剛を併せ持つ彼女らだからできる、高次元のロック・サウンドを体現していた。今回はダイブなどもなく、いつものライブにしては大人しめな雰囲気だったかもしれないが、それが故に新たな一面も垣間見れたのではないか。「ライブハウスで深夜に演るのは初めてです」と、MCでも口数少なく、淡々と、しかし熱の籠もった演奏は観る者を圧倒する。最後は3rdアルバム『3』から「Melon Soda」で締め括り。最後の中嶋イッキュウによる「ありがとうございました! 」のシャウトと呼応したバンド・アンサンブルの高まりは、この日のピークのひとつと言える光景であった。
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■ドミコ
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いよいよ折り返し地点。すでに夜も深まり、しっかりと温まった会場に満を持して登場したのは、東京を拠点とする2ピースバンド、ドミコ。“Early Noise Night”では5月に開催したVol.05以来2度目の出演ながら、すでに貫禄地味たものまでも感じさせる。1曲目はブルージーな「深海旅行にて」で幕開け。ボーカル・さかしたひかるのしなやかな歌声、そしてルーパーを駆使した演奏、ドラム・長谷川啓太との息の合ったパフォーマンスも抜群の安定感を感じさせる。ライブ前に河嶋奈津実のMCにて、「Spotifyリスナー数が5倍に増加した」と説明された話題の新曲「ベッドルーム・シェイク・サマー」がセットリストに入っていなかったのは残念であったが、それは逆説的にライブでの持ち曲の多さを物語っている。曲間のMCではおっとりとした、どこかキマらないキャラクターで笑いを誘うさかしただが、演奏時は別人のような迫力を放つ。ギター1本でバッキングからリード、それにベース音までも演奏しながら、ボーカルまでも担当する様は、何度観ても唸らされる。フックの効いたメロディとカラフルなサイケデリアを武器に、今夜もオーディエンスを自らの世界観へと誘うことに成功していた。
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■The ManRay
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今宵5番手にして、この日“MINAMI WHEEL 2018”含む2ステージ目となったのは、硬派なロックを貫く3人組、The ManRay。昨年6月にリリースした1st EP『You will be mine』収録の「Brown sugar」がSpotify国内バイラル・チャートで2位まで駆け上がり、今年リリースの新作EP『Fly To The Moon』も高い再生数を誇るなど、今大きな勢いに乗るバンドだ。無駄な音が一切ない武骨なサウンド、そしてロックの持つプリミティヴな高揚感を純粋培養させたかのようなそのライブパフォーマンスは、今の時代においては稀有な存在であり、どこまでも新鮮に鳴り響く。ドラムのRyuji Ooshiroはタンクトップ、そしてベースのKo Kogaは登場時から上半身裸と、そのスタイルも泥臭く、良い意味でルーズな部分も残した演奏も相まり、彼らの登場と同時に心斎橋JANUSはまるでアメリカ郊外のパブのような空気に塗り替えられる。オーディエンスもお酒を片手に思い思いに踊り、手を挙げ、彼らに応える。ガレージ、ブルース、ロカビリーなどなど、ロックの根源的な部分を追求する彼らのスタンスは、時代に流されない普遍的な魅力を放っていた。
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■TENDOUJI
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この日のトリを飾ったのは、惜しくもキャンセルとなってしまったTHREE1989のピンチヒッターとして抜擢されたTENDOUJI。“Early Noise Night”は7月開催のVol.07以来2度目、The ManRayと同じくこの日は“MINAMI WHEEL 2018”からの2連戦。すでに朝焼けが見え始めた時間帯ながらも、ライブではもちろん初っ端からアクセル全開。キャッチーなリフが先導する「Skippy」、抑圧されたテンションとその後の爆発力が魅力の「D.T.A.」、問答無用の人気曲「Kids in the dark」などなど、熱量振り切れたナンバーを矢継ぎ早に投下。途中、急遽出演することになった本イベントについて、「Spotifyに恩を売る形になりました」と言及し、会場の笑いを誘う。河嶋奈津実のMCによると、彼らの楽曲はSpotify上では海外からの再生数も非常に高いという。きっとそれは抜群にキャッチーなサウンドと親しみやすいメロディがあるが故。歌詞が聴き取れなくても、問答無用に盛り上がれる、ハッピーなヴァイブスに満ち溢れた彼らのライブ・パフォーマンスは、国境や言語の壁といったものは一切感じさせない。とても明け方とは思えないほどの盛り上がりを見せるオーディエンスと共に、8回目の“Early Noise Night”も大団円のままに幕を下ろした。
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