表参道ヒルズに出現するオーロラと揺らめく光のカーテン。クリエイティブチーム KEIKO+MANABU【INTERVIEW】

開催日:2018.11.07-12.25
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2018.12.04


今年のクリスマス、表参道ヒルズでは「都会に出現するオーロラ」をテーマにクリスマスイルミネーションを実施。施設の特徴である吹抜け大階段の空間全体を使い、天井には約6,000本のアイシクル(つらら)で構成する「光のカーテン」が登場。さらに、20分に1回の特別演出では、「光のカーテン」にオーロラが映し出されるなど、訪れた人々を幻想的な空間に誘います。

デザインを手がけたのは、「ピアスから都市計画・宇宙開発までをデザインする」をコンセプトに、東京とシアトルを拠点に活躍するクリエイティブチーム「KEIKO+MANABU(ケイコ プラス マナブ)」。北国の冬空の美しさに着想を得た彼らが、鳥よけとして使われる異色素材を用いて、アート・建築の視点から吹抜け空間全体を演出しました。

素材の中に眠る、美しさ、面白み、アート性を活用し、独創的な空間をつくり上げたお二人に、今回の制作に向けた想いについてお話を伺いました。






FASHION HEADLINE(以下、FH):シアトルと東京を拠点に活動するお二人ですが、建築家・デザイナーという職業を選んだ理由を教えてください。

KEIKO:私は、アメリカに生まれ、幼少期はアメリカと日本を行き来し、高校からアラスカに行ったのですが、事あるごとに言葉のハンディを強く感じてきました。と同時に、空間表現やものづくりは、形を使って自分の思いを伝えられる、最良のコミュニケーションの手段だと感じていました。そのような背景から建築デザインの道へ進みました。

MANABU:僕の一番古い記憶は、2歳になりたての4月のこと。叔父が設計した建築途中のわが家を家族で見に行きました。建築現場はジャングルジムみたいで楽しかった。はしゃぎまわって、さあ帰ろうというときに、階段の途中が二、三段抜けていて、降りられなくなった。怖がる僕に父が広げた手の記憶が鮮烈に残っていて。僕の記憶の原風景は建築とともにありました。


FH:作品を制作するにあたり、最初に描いたイメージは?

KEIKO:吹抜け大階段のスペースはB3階から3階まで高低差があり、イルミネーションをいろいろな場所から見ることができます。どうしたら皆さんに楽しんで見ていただけるか、意識してプランをつくりました。

MANABU:「冬の北国はきれいだよね」と話し合いました。二人とも雪国育ちで、冬は白銀の世界に包まれます。太陽が出ると、つららが溶けてキラキラ光る、あの美しさは東京ではなかなか見られない。見せてあげたいよね。そんな気持ちがプロジェクトの中心にあります。


FH:今回のデザインは北国の冬空の美しさからインスピレーションを得られたと聞いています。

KEIKO:住んでいたアラスカの家の近くに、スワンレイクという湖がありました。裏庭が湖につながっていて、近所の友達と遊んでいるときに、オーロラを見たんです。巨大なカーテンの様にワーッと降りてきて、どんどん形を変えながら空を漂うオーロラが、自分を包み込む様な感覚を覚えました。自分の記憶のなかで、一番印象的なシーンの一つです。

MANABU:僕の盛岡の家からも歩いて3分のところに「高松の池」という名前のスワンレイクがあります(笑)。毎冬、何千羽という白鳥が訪れ、雪化粧した岩手山を背景に粉雪が空中を舞い、呼吸すると吐いた息が凍る。あの雪の世界を想像しました。




FH:6000 本のアイシクル(つらら)がきらめく空間への、一番のこだわりは?

KEIKO:揺れ動き続ける点です。螺旋状の鳥よけは、風を受けて回転する形状にできているのですが、70センチの鳥よけを12本連結してしまうと、重くて回らない。最初にテストしたとき、まったく回らなくて、表参道ヒルズの担当者の方も「これでは、ちょっと……」という表情をされていて(笑)。

MANABU:テグス、水糸、結束バンド。何で連結させたら上手く回転するかを必死で考えました。ホームセンターに行って、半日くらいウロウロして、途中で釣具屋に移動して……。検討した結果、強度も含めて2本の水糸で連結することになりました。


FH:ハートやダイヤなどのモチーフが使われていますね。

MANABU:ここ10年以上、作品によく使ってきたモチーフです。様々な場所で外国の人たちと接するなかで、言語をめぐり孤独や断絶を感じる事があります。人と人とが共有できる世界共通のモチーフがあれば、よりストレートに気持ちを届けることができるのではないか。国籍も年齢もジェンダーも、何もかも超えることのできるモチーフだと思っています。





FH:光と音による20 分ごとの特別演出も、お二人が監修されているそうですね。

KEIKO:音楽をつくる際にリクエストしたのが、男性パートと女性パートの声の均等なバランスです。その上で「癖になるような曲にしていただきたい」とお願いしました。

MANABU:アラスカのトリンギット(Tlingit)族の美しい歌声の音源をお渡ししたら、ユニークな旋律が生まれて。口ずさんでみると、不思議な異国情緒が湧き上がってきます。クリスマスの聖なる日、ぜひ、目だけでなく、光や音も含めた空間全体を、心ゆくまで楽しんでいただきたいと思っています。


インタビューの続きは、表参道ヒルズのHPにて公開!
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【プロフィール】
KEIKO + MANABU / ケイコ プラス マナブ
内山敬子と沢瀬学が主催する、シアトルと東京に拠点を持つクリエイティブ チーム。「ピアスから都市計画・宇宙開発までデザインする」をコンセプト に掲げ、建築学を基礎に、商業空間、都市計画、芸術、教育など多領域 を横断する。近年では、企業の新事業・多角化事業へコンサルタントとし て参加するなど、取組みの幅をさらに広めている。武蔵野美術大学、 工学院大学で講師を務める他、桑沢デザイン研究所では通年ゼミで 卒業設計指導を行っている。「JCD Design Gold Award」、「FRAME Moooi Award Finalist」等、国内外で受賞多数。
オフィシャルサイト: www.keikomanabu.com


【問い合わせ】
OMOTESANDO HILLS CHRISTMAS 2018 with Panasonic Beauty
期間 : 11月7日〜12月25日
点灯時間 : 11:00〜23:00
問い合わせ先 : 03-3497-0310(総合インフォメーション)
イベント詳細:http://www.omotesandohills.com/events/event/2018/005090.html
永峰 美佳
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