モノクロ写真と春画の邂逅、シャネル・ネクサス・ホールで「ピエール セルネ & 春画」展

開催日:2019.03.13-04.07
2019.02.05
東京銀座シャネル・ネクサス・ホールCHANEL NEXUS HALL)にて3月13日より、ピエール・セルネ(Pierre Sernet)の写真作品と、近年ますます注目を集める春画を紹介する展覧会「ピエールセルネ & 春画(Pierre Sernet & SHUNGA)」が開催される。

喜多川歌麿「歌まくら」天明8年(1788)
浦上満氏蔵


フランス生まれのピエール・セルネは、パフォーマンスアーティストであり、写真家としても活躍。パリのルーブル宮にあるレ・ザトリエ・デュ・カルーゼル(Les Ateliers du Carrousel)でアートを学び、20代前半に写真の世界で働いた後、アメリカに渡りビジネス界で成功を収めた。世界最大規模を誇るファインアートのデータベース「artnet.com」の設立は、彼の数ある功績の一つ。現在は、再びアートの世界に戻り、アメリカ国内および世界各国のギャラリー美術館でパフォーマンスや個展を開催。作品を通して、世界の人々のあいだに存在する類似点を探求している。

今回展示される「Synonyms(類似表現)」は、文化的・民族的に異なる背景を持つ、個人あるいはカップルのヌードを被写体としたシリーズ。それらは、モノクロのシルエットによる抽象的な形態で、何を認識するかは、鑑賞者に委ねられている。各作品のタイトルには被写体の名前がつけられており、それを通してのみ、性別や国籍、文化的背景を推測することが出来る。セルネは「私たちはそれぞれ他人とは異なる唯一無二な存在である一方で、普遍的な共通点を持っている。だからこそ、違う文化やライフスタイル、さまざまな人々をもっと受け入れるべき」と話す。

Kaitlin & John, 2016 © SP2X
Pierre Sernet


世紀を越えて、セルネの写真作品に邂逅するのは、東京・日本橋で東洋古陶磁を扱う浦上蒼穹堂・浦上満コレクションによる珠玉の春画。浦上蒼穹堂代表である浦上満氏は、学生時代から45年にわたり約1,500冊の「北斎漫画」を蒐集。質・量ともに世界一のコレクションとして知られている。

鈴木春信「縁側に三味線」(部分)明和6、7年(1769、70)頃
浦上満氏蔵


展示されるのは鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、葛飾北斎らの作品。人間の性愛がユーモアたっぷりに描かれた春画は「笑い絵」とも呼ばれ、江戸時代に浮世絵のジャンルとして人気を博し、さまざまな絵画的実験が試みられた。その大胆な構図や色彩は、印象派の画家たちやパブロピカソ(Pablo Picasso)にも大きな影響を与えたといわれる。近年では、2013年に大英博物館で「Shunga : sex and pleasure in Japanese art (春画:日美術における性のたのしみ)」展、2015年に永青文庫で「春画展」が開催されるなど、世界的にも注目を集めている。


セルネの写真と春画の数々を通して、フランスと日本、現代と江戸という、国や時代を越えたユニークなコントラストを楽しんでみては。


【展覧会情報】
「ピエール セルネ & 春画 Pierre Sernet & SHUNGA」
会期:前期 3月13日~27日、後期 3月29日~4月7日
※3月28日は展示替えのため休館
会場:シャネル・ネクサス・ホール
住所:東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F
時間:12:00~19:30
入場無料
Akiko Hanazawa
  • Kaitlin & John, 2016 © SP2X
  • Yumiko & Ana, 2017 © SP2X
  • Kaitlin & John, 2015 © SP2X
  • Wei, 2010 © SP2X
  • Kaitlin & John, 2015 © SP2X
  • Kaitlin & John, 2015 © SP2X
  • 喜多川歌麿「歌まくら」天明8年(1788)
  • 喜多川歌麿「歌まくら」(部分)天明8年(1788)
  • 葛飾北斎「喜能会之故真通」(部分) 文化11年(1814)
  • 鈴木春信「縁側に三味線」(部分)明和6、7年(1769、70)頃
  • <肉筆>鳥文斎栄之「源氏物語春画巻」(部分) 寛政(1789〜1801)頃
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