奥山由之の新たな試み、写真展「白い光」が品川で開催

開催日:2019.03.07-04.15
2019.02.12

写真家・映像作家奥山由之写真展「白い光」が、東京品川のキヤノンギャラリー Sで3月7日から4月15日まで開催される。

展では、奥山由之の新たな試みによる“写真を見る”という行為についてを再認識できるような空間構成で、キヤノンの大判プリンター「imagePROGRAF」でプリントした作品を展示する。


白い光

どこまでも深い海の水面を撫でるようにして、漆黒の闇を進む。
聞こえるのは、波の呼吸と、エンジン音。
夜の茂みに目が慣れるころ、遠くにちらほらと見える、白い光。
そろそろだろうか。揺られ続けて小一時間。
目を凝らして探したあの景色と肌寒さを、よく思い出す。

白い光は、夜明けを待たずして、1隻、また1隻と集まる。
やがて聞こえる演歌の合図と共に、網を投げ入れ、仕事が始まる。
時折視界を晴らすカメラの閃光…。

ふと、目を凝らして認識しようとする行為に、懐かしさを感じた。
僕らはいま、空間のみならず自己を取りまく全ての情報や環境を照らし出し、にも関わらず、受け身の姿勢で、時折現れる「分からない」という感情から目を背けている。やがて加速する周辺視野への散漫とした意識は、局所への注力を緩ませ、深度の浅いカラフルな大地を眼下に広げるのだろう。

未だ視覚や知覚は、”視ること”と”見ること”の境界を認識出来ているだろうか。
的に言えば、視えることで見えなくなったものがあるのではないか。
果たして、写真はいま、認識の対象にあるのか。

目を凝らし、光を照らす。

その光の先には、何がある。(奥山由之)




【イベント情報】
奥山由之写真展「白い光」
会期:3月7日~4月15日
会場:キヤノンギャラリー S
住所:東京都港区港南2-16-6 キヤノン S タワー1階
時間:10:00~17:30
休館日:日曜日、祝日
入場料:無料


編集部
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