原美術館で崔在銀による「大地の夢プロジェクト」を可視化する展覧会が開催

開催日:2019.04.13-07.28
2019.03.21
原美術館では、崔在銀(チェ ジェウン)による発案・構成の「The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project」展を4月13日から7月28日まで開催する。

Minsuk Cho, DMZ Vault of Life and Knowledge, 2016参考画像 Courtesy of the artist.
展は、朝鮮戦争の休戦後、65年余りの歳月を経て非武装地帯(DMZ / Demilitarized Zone)に生まれた豊かな生態系を守り、生きとし生けるものすべての共生を願って崔が2014年に立ち上げた「Dreaming of Earth Project(大地の夢プロジェクト)」の構想を可視化する展覧会

停戦ラインの北緯38度線から南北2kmずつの帯状のエリアは、「非武装地帯(DMZ)」と呼ばれる緩衝地帯。1953年の停戦後、軍事活動は許されなかったものの、300万個とも言われる数の地雷が敷設され、南北間の緊迫した状況が続いてきた。以来65年もの長きに亘って人が立ち入ることのなかったそのDMZは、今では106種もの絶滅危惧種を含め5,057種の生物を育む豊かな大地となっている。

にも人間の対立によって生まれたこの豊かな生態系を、いかにして後世に手渡してゆくか。崔は、DMZに生息する命と人とが同じ大地の生物として共に生きる方法を探るため、2014年に「Dreaming of Earth Project」を立ち上げた。現在では、本展にも出品する数多くのアーティスト建築家、思想家が崔の元に集まり、渡り鳥が羽を休める空の庭園や、人を地雷から守り、自然を人間から守ることのできる散策路、そして絶滅が危惧される植物の種を保存するシードバンクなど、具体的な方法を提案している。

Studio Other Spaces: Olafur Eliasson and Sebastian Behmann, Condensation pavilion参考画像 Courtesy of the artist.
題名となっている「自然国家」とは、人間ではなく自然が治める国、崔の理想とする国のこと。アートとして形あるものをDMZの生態系に作るということは、たとえ僅かであっても人間が自然の営みに介入することを意味するが、かといって何もしなければ、社会情勢次第で豊かな生態系が滅びることも危惧される。人が自然と関わりつつ、対立のエリアを生きとし生けるものの大地にするために崔が出した結論は、「自然国家」の“法律”(=)の“創作”だ。

本展では、出品作家に加え、アン ソヨン、チェ ジェチョン、チョウ ミンスク、ギムホンソック、平野啓一郎、イ ウンジュ、李禹煥、ダニエラ モレラ、中村桂子など、崔が信頼する人々が自然について思索し、共生のための“法律”(=詩)を作る。それらは法律でありながら、鳥のさえずりや風にそよぐ草の音のように自然の一部となっていくだろう。

【展覧会情報】
The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project
会期:4月13日~7月28日
会場:原美術館
住所:東京都品川区北品川 4-7-25
時間:11:00~17:00(5月1日を除く水曜は20:00まで、入館は閉館時刻の30分前まで)
入館料:一般1,100 円 大高生700円 小中生500円 70歳以上550円 原美術館メンバーは無料 ※学期中の土曜日は小中高生の入館無料、20名以上の団体は1人100円引
休館日:月曜日(4月29日、5月6日、7月15日を除く)、5月7日、7月16日
編集部
  • 崔在銀 hatred melts like snow, 2019 ©Kim Taedong
  • Shigeru Ban Architects, Bamboo Passage and Tower, 2015, pencil on paper
  • Lee Bul, Study for DMZ Jung-ja Project 1, 2017, pencil, watercolor ink, acrylic paint on paper
  • Studio Other Spaces: Olafur Eliasson and Sebastian Behmann, Condensation pavilion
  • Seung H-Sang, Birds’Monastery
  • 李禹煥 「透明茶房イメージドローイング」 和紙にインク、2019
  • Studio Mumbai, Tazia
  • Minsuk Cho, DMZ Vault of Life and Knowledge, 2016
  • 川俣正 Nest on the Cliff
  • 崔在銀 Recurring Tree
  • Kim Taedong, PLANETES (ΠΛΑΝΗΤΕΣ)-030, 2019, archival pigment print
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