世界最大の音楽ストリーミングサービスSpotify主催イベント、「Spotify presents Ealry Noise Special」が3月28日、東京・EX THEATER ROPPONGIにて開催された。
Spotifyが注目する新しい才能を、耳の早い音楽ファンにいち早く紹介するプレイリスト「Early Noise」。本公演は、同プレイリストで選出したアーティストたちのパフォーマンスを直接体験できる場として始まったイベント、「Early Noise Night」のスペシャル回となる。
会場にはこれまでに東京と大阪でコンスタントに開催されてきた「Early Noise Night」での写真や今回の出演アーティストの写真を用いたキービジュアルなどが展示されており、開演前、終演後には記念撮影の列が絶えることなく伸びていた。さらに、各アーティストのSpotify上でのトップリスナーを数名、日本全国から招待した他、ミート&グリードも行うなど、ファンとアーティストとの特別な1日を演出する取り組みが多数行われていた。
この日はハリー杉山が司会を務め、軽快なトークなども挟みつつ、計8組ものアーティストが出演する濃密なイベントはスピーディーに進行していく。
この日の一番手としてステージに登場したのは、昨年ソニー・ミュージックよりメジャー再デビューを飾ったフィメール・ラッパー、あっこゴリラ。開幕と同時に「100%AKKOGORILLA」からSpotifyのCMにも起用された「ゲリラ×向井太一」へと流れ、途中でお馴染みのバントメンバー、BNNZも登場。バックDJはゲスの極み乙女。やインディゴ ラ エンド(indigo la End)のリミックスも手掛けるパークゴルフ(PARKGOLF)だ。
さらに、気鋭の映像作家・加藤マニをVJに招き、楽曲のメッセージや世界観とリンクした映像演出で会場を盛り上げる。「ど頭だけど、元気じゃん! 良い時間を一緒に作っていこう! 」と軽快なMC、そしてメンバー紹介も挟みつつ、ポジティブなメッセージを放つ「余裕」、形骸化したジェンダー観に対してアンチテーゼを掲げる「GRRRLISM」などをパワフルに披露し、ステージを後にした。
■あっこゴリラ Setlist
M1. 100%AKKOGORILLA
M2. ゲリラ×向井 太一
M3. グランマ
M4. 余裕
M5. GRRRLISM
続いて、「Google Home」のSpotify限定CMにも楽曲を提供するビッケブランカ。華やかな演出をまとって登場するや否や、メジャーデビューシングル「ウララ」からライブはスタート。古き良きポップスの要素を現代版へとアップデートしたかのような、洗練されたサウンドで会場を彩る。日本テレビ系『スッキリ』やTVアニメ『フルーツバスケット』など、数多くの番組に楽曲が起用され、お茶の間にも親しまれるビッケ。この日も昨年放送のドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系)の挿入歌となった「まっしろ」など、人気曲を披露。
MCではその『獣になれない私たち』主演の新垣結衣が今朝の夢に出てきたという話で笑いを誘い、バレンタインソング「Winter Beat」で終幕。炎が吹き上がる華美な特殊効果と共に、エンターテインメント性の高いステージングを魅せてくれた。
■ビッケブランカ Setlist
M1. ウララ
M2. まっしろ
M3. Winter Beat
3番手として登場したのは、ゴスペラーズのトリビュート盤にも参加するなど、急速的に注目を集めるSSW、SIRUP。「HONDA」のCMにも起用されたことで大きな注目を集める「Do Well」でクールにステージへと現れる。今回は盟友・Shin Sakiuraとのミニマルセットながら、ダンサブルかつグルーヴィーなサウンドで会場の空気を一気に掌握。終盤はコール・アンド・レスポンスも挟みつつ、オーディエンスを横に揺さぶる。
2曲目は一転、スローなバラード曲「LOOP」へ。SIRUPの安定感抜群の歌唱を存分に堪能できるシンプルな構成の本楽曲。じっくりと耳を傾けるオーディエンスの姿が印象的であった。終演後のトークでは、5月にリリースされるニューアルバム『Feel Good』についてや、年度末ということで、新たな環境に飛び込む人たちへのアドバイスも行いつつ、バトンを次へと渡した。
■SIRUP Setlist
M1. Do Well
M2. LOOP
いよいよイベントも中盤戦。4組目として登場したのは、ボーカル/ギターのさかしたひかると、ドラム・長谷川啓太による2ピースバンド、ドミコ。大きなステージに、いつも通りギターとドラムの2人だけで立つ姿が実に様になる。1曲目は「ベットルームシェイクサマー」。ゆったりとしたテンポ、そしてサイケデリックなサウンドで、会場を真夏の昼下がりのような空気へと塗り替えていく。さかしたはルーパーを駆使して音を重ねていき、どっしりと構えた長谷川のビートがそれを支える。
そして2曲目は、一気にギアを入れ替え、バンド史上最速BPMを叩き出した「ペーパーロールスター」をプレイ。パンキッシュな演奏で会場の温度をグングンと上げて、そのままライブは終了。2曲のみ、MCもほぼなしと、どこまでも自分たちらしいパフォーマンスが印象的であった。
■ドミコ Setlist
M1. ベットルームシェイクサマー
M2. ペーパーロールスター
ロックスター然としたドミコに続くのは、19歳のオルタナティブR&Bシンガー、RIRI。その若さとは裏腹に、妖艶な魅力を湛えた歌声で魅了する「That’s my baby」で幕開け。途中、4人のダンサーが現れるなど、華やかな世界観を展開していく。
資生堂「アネッサ」CM曲として、小袋成彬、キャンディタウン(KANDYTOWN)のラッパー・KEIJUとコラボした新曲「Summertime」では、なんと先述のKEIJUがサプライズ出演。クールなフロウを展開するKEIJUと、表現力豊かな歌唱をみせるRIRI、ふたりのサプライズコラボに会場は大いに沸いた。
最後に披露された『グータンヌーボ2』エンディング曲にも起用された「Honey」では、ダンサーも再登場。会場にはシャボン玉も撒かれ、幻想的な演出のままステージを後にした。
■RIRI Setlist
M1. That’s my baby
M2. Summertime feat,KEIJU
M3. Honey
続いて、大量のスモークに包まれる中、スリリングなジャムセッションから始まったのはナルバリッチ(Nulbarich)のステージ。昨年武道館公演を成功させ、Spotify上でのプレイリストカバージャック企画でも大きな注目を集めた彼らだが、その演奏にはもはや貫禄のようなものも感じ取れた。
ダブルギターにベース、ドラム、シンセの6人編成で、極上のバンドアンサンブルを奏でる「It's Who We Are」、メロディアスなメロディが印象的な、北川景子出演「シチズン クロスシー」のTVCMソング「VOICE」、横乗りのグルーヴが心地よい「Zero Gravity」など、人気曲を続々と披露。「2016年に片道切符を買って、もう戻る場所はないので、行けるところまで行きます」とのMCと共に、ラストは「Almost There」をプレイ。最後には金テープが会場に降り注ぎ、華やかに彩った。
■Nulbarich Setlist
M1. It's Who We Are
M2. VOICE
M3. Zero Gravity
M4. Almost There
「Spotify presents Ealry Noise Special」もいよいよ終盤戦。Spotifyが今年大きな飛躍を期待する新進気鋭の国内アーティスト10組「Early Noise 2019」の紹介を挟みつつ、1994年生まれのSSW、ReNが一人でステージに現れる。
10代でイギリスに単身渡り、20歳で音楽活動をスタートさせたReN。ステージにはひとりのみだが、ルーパーを駆使しながらアコギの音色をリアルタイムで重ねていくパフォーマンスで、視覚的にも聴覚的にも魅せてくれる。
「ちょっと気分がいいので、せっかくなので、新曲をやってもいいですか」と、4月17日にリリースされる通算5作目のシングル「HARRICANE」を演奏。哀愁を湛えたマイナー調の楽曲ながら、ブルージーかつパワフルなReNの歌唱に思わず聴き入ってしまった方も多いだろう。たったひとりで繰り広げる孤高のステージは、厳かな空気感のまま幕を下ろした。
■ReN Setlist
M1. Life Saver
M2. What I’m feeling
M3. HARRICANE
そして、この日のトリを飾るのは、山陰発ピアノPOPバンド・Official 髭男dism。まるでミュージカルのような派手な演出で登場し、1曲目からフジテレビ系月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』主題歌の「ノーダウト」で飛ばしていく。
続いてTVアニメ『火ノ丸相撲』OPテーマ「FIRE GROUND」では小笹大輔(Gt.)による早弾きギターソロにオーディエンスも大いに沸き、藤原聡(Vo.)のリリシズム溢れる人気曲「115万キロのフィルム」では思わず会場全体がじっくりと聴き入る。「あっという間に最後の曲になります」と言って披露された「Stand By You」では、ハンドクラップ、コーラスで会場全体が一体と化すなど、完全にその場の空気を掌握していたOfficial 髭男dism。最後はまさに大団円と言うべき景色をみせてくれた。
■Official 髭男dism
M1. ノーダウト
M2. FIRE GROUND
M3. 115万キロのフィルム
M4. Stand By You
通常回の「Ealry Noise Night」東京公演では、オーディエンスがアーティストの回りを360度囲むようなステージを採用している他、大阪公演ではバースペースに卓球台が用意されているなど、アーティストとファンのコミュニケーションの促進に助力するSpotify。今回の「Spotify presents Ealry Noise Special」でも、その姿勢は存分に伝わってきたことだろう。年間プログラム「Ealry Noise」、そしてイベント「Ealry Noise Night」の今後の動きにからも目が離せないことになりそうだ。
当日のセットリストは、Spotifyの「Early Noise Special」のプレイリストで公開してるので、こちらも是非チェックして欲しい