ドイツ・ハンブルクにあるダイヒトーアハレン(Deichtorhallen Hamburg)。かつて市場として使われていた建物を改装した現代美術館で、アーチ型のガラス窓が特徴。地下鉄のシュタインシュトラーセ(Steinstraße)駅最寄り、ハンブルク中央駅やハンブルクのランドマークであるエルプフィルハーモニーも徒歩圏内だ。
ダイヒトーアハレンでは現在、マックス・ダックス(Max Dax)のキュレーションによる展覧会「HYPER! A JOURNEY INTO ART AND MUSIC」が開催されている。マックス・ダックスはドイツの音楽雑誌『Spex Magazine』『Electronic Beats Magazine』の元チーフエディター。アートと音楽が相互に与える影響を紐解く本展には、キム・ゴードン(Kim Gordon)、ヴォルフガング・ティルマンス(Wolfgang Tillmans)、アンドレア・グルスキー(Andreas Gursky)、ピーター・サヴィル(Peter Saville)など60以上のミュージシャン、アーティストが参加している。
1968年にリリースされたビートルズのレコード『The Beatles』(通称ホワイトアルバム)のみを集め、レコード店を模した真っ白な空間で展示するインスタレーション「We Buy White Albums」はご存知だろうか? 2013年に、アメリカ・ニューヨークとインディアナポリスで公開された、ニューヨークを拠点とするアーティスト、ラザフォード・チャン(Rutherford Chang)による作品で、日本でも、当時の公益財団法人東京都歴史文化財団トーキョーワンダーサイト主催による、第8回「展覧会企画公募」の1企画として選ばれ、2015年1月にトーキョーワンダーサイト本郷(現在のトーキョーアーツアンドスペース本郷)で展示された。
リチャード・ハミルトン(Richard Hamilton)のデザインによるシンプルな白一色のジャケットには、何万部ものヒット&コピーが繰り返されていくことを皮肉るように盤ごとに隅にシリアル・ナンバーが振られている。その内1枚を、ラザフォード・チャンが15歳の時にガレージセールで1ドルで購入したことをきっかけにナンバリングされたレコードだけを集め続け、今や2,000枚を超えるコレクションを所有(オフィシャルサイトでは、2,295枚と記載されている)。現在も彼のライフワークのように、Instagramのアカウント(@webuywhitealbums)で数日置きに『ホワイトアルバム』がポストされ続けている。
床、壁、面出しの棚、真っ白な空間に、「WE BUY WHITE ALBUM」のネオン、レコードプレイヤーが2台。箱には、『ホワイトアルバム』がシリアル番号順に並べられ、訪問者はそれらを閲覧し、選んで聴くことができる。そこはレコード店さながらだけれど、置いてあるのは『ホワイト・アルバム』のみ、そしてそれらは買い入れられるが、販売はされない。
飲食のシミや落書き、誰かに宛てたメッセージ、カビや補修跡など、新たに固有の特徴を得たレコードは、大量生産された同一商品でありながら、半世紀前に始まりそれぞれが経た物語を語る、唯一無二のものとなっている。
インスタレーション以外にも、ラザフォード・チャンが収集した『ホワイトアルバム』のLP数100枚をコピーして一度に再生したミックス音源も発表している。こちらから聴ける一部、A面分約24分では、2曲目「ディア・プルーデンス(Dear Prudence)」あたりから音のズレが生じ始め、終盤にかけてはノイズに近い音と化している。同じアルバムをプレイしているはずなのに生まれる歪みや捻じれ。世界中の所有者のもとで、確かに存在していた時と鼓動が浮き彫りにされ、新しい物語が聴こえてくる。
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ダイヒトーアハレンでは現在、マックス・ダックス(Max Dax)のキュレーションによる展覧会「HYPER! A JOURNEY INTO ART AND MUSIC」が開催されている。マックス・ダックスはドイツの音楽雑誌『Spex Magazine』『Electronic Beats Magazine』の元チーフエディター。アートと音楽が相互に与える影響を紐解く本展には、キム・ゴードン(Kim Gordon)、ヴォルフガング・ティルマンス(Wolfgang Tillmans)、アンドレア・グルスキー(Andreas Gursky)、ピーター・サヴィル(Peter Saville)など60以上のミュージシャン、アーティストが参加している。
1968年にリリースされたビートルズのレコード『The Beatles』(通称ホワイトアルバム)のみを集め、レコード店を模した真っ白な空間で展示するインスタレーション「We Buy White Albums」はご存知だろうか? 2013年に、アメリカ・ニューヨークとインディアナポリスで公開された、ニューヨークを拠点とするアーティスト、ラザフォード・チャン(Rutherford Chang)による作品で、日本でも、当時の公益財団法人東京都歴史文化財団トーキョーワンダーサイト主催による、第8回「展覧会企画公募」の1企画として選ばれ、2015年1月にトーキョーワンダーサイト本郷(現在のトーキョーアーツアンドスペース本郷)で展示された。
リチャード・ハミルトン(Richard Hamilton)のデザインによるシンプルな白一色のジャケットには、何万部ものヒット&コピーが繰り返されていくことを皮肉るように盤ごとに隅にシリアル・ナンバーが振られている。その内1枚を、ラザフォード・チャンが15歳の時にガレージセールで1ドルで購入したことをきっかけにナンバリングされたレコードだけを集め続け、今や2,000枚を超えるコレクションを所有(オフィシャルサイトでは、2,295枚と記載されている)。現在も彼のライフワークのように、Instagramのアカウント(@webuywhitealbums)で数日置きに『ホワイトアルバム』がポストされ続けている。
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床、壁、面出しの棚、真っ白な空間に、「WE BUY WHITE ALBUM」のネオン、レコードプレイヤーが2台。箱には、『ホワイトアルバム』がシリアル番号順に並べられ、訪問者はそれらを閲覧し、選んで聴くことができる。そこはレコード店さながらだけれど、置いてあるのは『ホワイト・アルバム』のみ、そしてそれらは買い入れられるが、販売はされない。
飲食のシミや落書き、誰かに宛てたメッセージ、カビや補修跡など、新たに固有の特徴を得たレコードは、大量生産された同一商品でありながら、半世紀前に始まりそれぞれが経た物語を語る、唯一無二のものとなっている。
インスタレーション以外にも、ラザフォード・チャンが収集した『ホワイトアルバム』のLP数100枚をコピーして一度に再生したミックス音源も発表している。こちらから聴ける一部、A面分約24分では、2曲目「ディア・プルーデンス(Dear Prudence)」あたりから音のズレが生じ始め、終盤にかけてはノイズに近い音と化している。同じアルバムをプレイしているはずなのに生まれる歪みや捻じれ。世界中の所有者のもとで、確かに存在していた時と鼓動が浮き彫りにされ、新しい物語が聴こえてくる。
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【展覧会情報】
HYPER! A JOURNEY INTO ART AND MUSIC
会期:3月1日〜8月4日
場所:Deichtorhallen Hamburg(HALL FOR CONTEMPORARY ART)
住所:Deichtorplatz 1, Hamburg
URL:https://www.deichtorhallen.de/
HYPER! A JOURNEY INTO ART AND MUSIC
会期:3月1日〜8月4日
場所:Deichtorhallen Hamburg(HALL FOR CONTEMPORARY ART)
住所:Deichtorplatz 1, Hamburg
URL:https://www.deichtorhallen.de/