デザインがもたらす豊かな暮らし、世界が認めたジャパン・メイド:iF DESIGN AWARD 2019レポート

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2019.05.08
豊かに暮らすために必要なものとはなんだろう?

新しいヒールをおろしたその日は目を足元に落とすたび幸福が訪れ、毎朝同じ窓から差し込む陽の光がとても美しければ起きるのが楽しみになる。毎日使うカトラリーのデザインが最高に自分好みだったら食事はもっとおいしくなる。眠りにつく前じんわり灯る照明が詩的なら今夜、良い夢が見られるかもしれない。

心に残る豊かな暮らしは、 きっと日々に訪れる少しの楽しみの先にある。


3月にドイツ・ミュンヘンで、世界的に最も権威のあるデザイン賞の一つ「iF DESIGN AWARD」の2019年の受賞作が発表された。


iFデザインアワードとは?
iFデザインアワードは、“デザイン界のオスカー”とも称される、1953年から続く世界で最も歴史のあるデザインコンペティション。ドイツ・ハノーファーを拠点とする、デザイン振興のための国際的組織iFインターナショナル・フォーラム・デザイン(iF)が主催し、毎年全世界の工業製品等を対象に優れたデザインを選定する。今年は、「プロダクト」「コミュニケーション」「パッケージ」「サービスデザイン/UX」「建築」「インテリア/内装」「プロフェッショナルコンセプト」の7つの分野で、世界52ヶ国6,375件の応募のなかから、受賞企業数1,190社へ、“優れたデザインの証”が与えられた。

そのうち、最大75点が選ばれる最優秀デザイン賞(ゴールドアワード)は計66点、なかでも日本の受賞は10点と全体の15%を占め、日本のデザイン力の高さが証明された。ゴールドアワード含め、日本企業の受賞率は、日本国内のエントリー数約360点に対し、50%近くとなり諸外国と比較しても高比率で受賞される結果となった。

そんな世界に認められた、日本が誇るジャパン・デザインの一部を本記事では紐解いていきたい。


住まう、日常


集合住宅:西参道テラス | 株式会社石川素樹建築設計事務所
iF GOLD AWARD 2019

 
渋谷区の静かな住宅街に佇む西参道テラスは、都心の限られたスペースを巧みに活用した3階建ての4棟を連ねた分棟長屋形式の集合住宅。石川素樹建築設計事務所による設計は、家と街をつなぐ街路のような中央の共有アプローチがある街並みに寄与した景観でありながらも、各戸間のプライバシーを配慮した緻密な構造となっている。


1階の玄関から中2階へ上がると収納スペース、2階は寝室とバス・トイレ、3階は4メートル近い天井高を有する広々したリビング・ダイニング・キッチン、中3階に洋室。いずれもプライベートな中庭に面し、格子越しのやさしい陽の光が差し込む。四季の訪れを知らせる1階のパブリックスペースや2階の中庭は、都市との緩衝帯にもなる。コンクリートビルに囲まれた都心のなかで際立ってやさしい木質の設えが、住人にも環境にも心地よさを与える。



照明:ナイトブック | Y.S.M Co., Ltd
iF DESIGN AWARD 2019

 
夜、眠りにつくまであらゆる本の中を旅した記憶はかけがえのないもの。ナイトブックは、一冊の本をモチーフにしたLED照明。本棚からそっと引き出せば、じんわりとやさしい光が広がり、しまうと消灯する。



このプロダクトを生み出したのは、埼玉を拠点とする従業員数5名の会社ワイ・エス・エムと、東京拠点のデザイナー2名によるデザインユニットakii。自身の本棚にこの一冊の照明を忍ばせれば、一冊の本から広がる未知のストーリーと出会うように、詩的でドラマティックな体験をもたらしてくれるだろう。



カトラリー:SUMU | ZIKICO INC
iF DESIGN AWARD 2019


シルバーでもなく、ウッドでも磁器でもない。ジルコニアを素材としたジキコのカトラリーシリーズ。宝石のような硬さと、金属のようなしなやかさを持つジルコニア。細っそりと華奢なフォルムのカトラリーは、金属製のカトラリーよりも約50%も軽い持ち心地。口当たりも薄く滑らか、金属イオンの溶出による風味の妨げもなく、もちろんアレルギーを引き起こすこともない。


“澄む”と“住む”を掛け合わせて名付けたプロダクト名の「SUMU」。穏やかに光を反射させるマットな質感のナイフをオムレツにすっと入れて、静かなる朝食のひと時を過ごしたい。




使う、新技術

鉛筆:花色鉛筆 | TRINUS, Inc.
iF DESIGN AWARD 2019



消費する行為が高揚に変わる。花色鉛筆は、日本を代表する伝統的な草花の形を断面に表した色鉛筆。モチーフは、桜、紅梅、蒲公英、常磐、桔梗。花の色そのままに芯まで染まった鉛筆を削ると、まるで本物の花びらのような削りかすがほろりと散っていく。



鉛筆の芯の周りの木材部分には、廃棄古紙を主原料にしたジャパン・メイドの新素材を活用し環境に配慮。削りかすは可燃ごみとして処分できる。

パリのメルシーやル・ボン・マルシェでも人気のこのプロダクトを生み出したのは、メイド・イン・ジャパンの技術力とデザイナーを繋ぎ、世界の人々に驚きを届ける会社、トリナス。「日本の多くのメーカーは研究者が熱意を持って開発した技術を活かしきれず、日本国内で取得された特許の49%は未活用」なのだそうだ。トリナスが目指すのは「デザインでまだ世に眠っている技術を咲かせていくこと」。日常にありふれた道具こそ、自分の好みを満たす特別なものを選びたい。



半透明のポーチ:zeroシリーズ | ウインセス株式会社
iF DESIGN AWARD 2019


香川を拠点とするウインセス株式会社と、デザインディレクター梅野聡(UMENODESIGN)が開発した「ゼロ」シリーズ。その名の通り、サコッシュやポーチは空気のように軽く、皮膚のように薄い、限りなく無に近い極薄素材でできている。

普段は業務用として用いられる工業用手袋の素材と微細な縫製技術から生まれたこのプロダクト。一見フィルムのようにも見える素材は、極薄かつ均一な編み目で紡がれた繊維製織物だというから驚きだ。小物を持ち歩くためのケースという存在をゼロに近づけることで、荷物のかさばりからも解放され、半透明であることから中身も見やすく、なにより他に類をみないないほど儚くミニマルな佇まいが美しい。


“シンプルなものを美しく”という日本人ならではの思考とそれに付随する繊細な技術と感性を愛でながら、未来への可能性へ期待せずにはいられない。



眼鏡:ペーパーグラス・サングラス | 株式会社西村プレシジョン
iF DESIGN AWARD 2019


福井・鯖江の眼鏡企画・製造・販売を行う西村プレシジョンが、アイウエアの常識を変えた。職人技術と革新的なデザインが出会い、3年以上の開発期間とテストマーケティングを経て誕生したのは厚さはわずか3mm、まるで紙のような超薄型ペーパーグラス・サングラス。

驚くほどの薄さにも関わらずまつ毛に当たらない設計や、掛け心地・使い勝手の良さといった機能性を兼ね備えた新しい形のサングラスだ。

日常、旅行、アウトドア、フェス...日差しの下でさっと取り出し、陰ればスマートにポケットにしまう。一切の無駄を省いた次世代のサングラスはあらゆるシーンにおいて人々の日々の暮らしに必要な道具となるだろう。




新しい感性、未知の体験に出会う


ギャラリー:TIERS GALLERY | ARAKAWA CO., LTD.
iF DESIGN AWARD 2019

TIERS GALLERY / © Tetsu Hiraga
ショップのディスプレイや美術館の展示等に欠かせないワイヤー固定金具を製造販売する荒川技研工業は、“ないものを創る”という理念を軸に、日本のものづくりを世界に発信し続けている。そんな同社が運営を行う、表参道のティアーズギャラリー(東京都渋谷区神宮前5-7-12)は、クリエイターやデザイナーたちの発表・交流の場として設けられた貸しスペース。

TIERS GALLERY / © Tetsu Hiraga
“街に開かれた建築”をテーマに、田邊曜建築設計事務所が設計を手がけた3階建ての建物の最上階に位置するギャラリーは、通りに開けた大階段が特徴的。建築、プロダクト、インテリア、グラフィック、アートなど、ジャンルを問わないキュレーションにより、垣根を越えた様々な人々が集うオープンな環境を作り出した。5月10・11・17・18日(4月25日から開催されている)には、日本の紙素材をテーマにしたデザイン展「MATERIAL IN TIME -PAPER- 凱旋展」を行い、新たなシナジーを生み出す。



日本ならではのものづくりに対する誠実さや、精密な技術。それらとデザインが合わさった時、今までにない価値が生まれ、日々の暮らしに豊かさをもたらす。そうしたものたちが、国内のみならず世界でも受け入れられるプロダクトであることは、iFデザインアワードでの日本企業の受賞の多さを見ても明らかだ。東京のみならず、日本のローカルがデザインを通じて世界と繋がり、新たな価値を提供する。ジャパン・デザインは無限の可能性を秘めている。



【問い合わせ先】
「iF DESIGN AWARD 2020」のエントリーはオンラインにて受付しております。
応募サイト:ifworlddesignguide.com
iF日本オフィス:iFJapan@ifdesign.de

iF日本オフィスでは「iF DESIGN AWARD 2020」の募集活動を開始しています。ご質問は日本オフィスの上記メールにて受付しています。
また、iFデザインアワード2020の応募に関するスケジュールや基本情報(英語)については、ウェブサイトWorld Design Guideに掲載していますのでぜひご覧下さい。
編集部
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  • TIERS GALLERY | ARAKAWA CO., LTD.
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