ロンドンの街と文化に共鳴するジョン ローレンス サリバン、ますます存在感が増す【2020春夏コレクション】

2019.06.18
ロンドンメンズコレクションが6月8日から10日に開催された。ベテランから中堅ブランドが発表のタイミングをウィメンズ時期へ移行したり、発表の場をパリへ移すといった動きに加え、ブレグジットの影響下でここ数シーズン同ファッションウィークは縮小傾向にある。それでも若手デザイナーによる力強さや、モードに熱狂する若者によって、今期も熱狂の中閉幕した。そんなロンドンメンズにすっかり定着しているのが、今回で6度目の参加となるジョン ローレンス サリバンJOHN LAWRENCE SULLIVAN)だ。


デザイナー柳川荒士は2020年春夏コレクションを“Deeper Than Night”と銘打った。まず最初にキャットウォークに登場したのはルックではなく、ロンドンを拠点に活動するEBM(エレクトロニック・ボディ・ミュージック)バンド、ダイスピープル(DICEPEOPLE)だ。迫力のある生演奏をゴング代わりに、ショーがスタート。プレスやバイヤー、顧客から支持されるテイラードは今季もメンズ・ウィメンズともに、スクエアショルダーのコートジャケットで豊富に登場した。バックやサイドがスナップボタンで開閉するディテールや、ファスナーで装飾したコートなどカットアウトのアイデアが光る。メッシュとシャツの重ね着やグラデーションカラーのボトムス、大ぶりなシルバーのチェーンネックレスにレザーカフなどコントラストを付けたスタイリングは一際ブラッシュアップされている印象だ。足元を飾るのは、メンズ・ウィメンズともにパンキッシュなレースアップブーツで統一感を持たせた。







ショー後のバックステージには、ファッション関係者だけではなくミュージシャンアーティストなど多くの人が柳川デザイナーを祝福しに詰め掛けた。ロンドンを発表の場に移してから、イギリスをはじめとする欧州の雑誌にエディトリアルとして掲載される機会が増えたと語る柳川デザイナー。ロンドンの街が持つ独自の美的感覚や文化に共鳴し、彼のコレクションはますます磨かれていく。トレンドに迎合するのではなく、自らのスタイルを貫く彼自身のパーソナリティがコレクションを追う毎に強くなっており、そんなオリジナリティに多くのロンドナーが共感しているのではないだろうか。ブランド立ち上げから約16年と豊富な経験を持つが、常に前進し挑戦を続ける姿勢を見せるジョン ローレンス サリバンに、引き続き目が離せなそうだ。
ELIE INOUE
ページトップへ