無印良品銀座で50脚の椅子を通してロングライフデザインを考える展覧会が開催

開催日:2019.07.26-11.24
2019.07.04
無印良品銀座の6階にある「ATELIER MUJI GINZA Gallery1」では、「長く生きる。“DNA”を繋ぐ50脚の椅子展 ―永井敬二コレクションより―」を、7月26日から11月24日まで開催する。

©︎ATELIER MUJI GINZA2019
イタリアデザイン界の巨匠、エンツォ・マーリとの「の木プロジェクト」第2回となる今回のテーマは、「長く生きる。」。ロングライフデザインを個別に紹介するにとどまらず、モダンデザインの原点となったロングライフテクノロジーを長い時間軸で見つめ直す展示となる。

ものがたりの始まりは、曲木技術によって量産の礎を築いた「トーネット」社の1859年モデル「No.14」。ムダを削ぎ落とした構造とデザイン、そしてノックダウン式によって輸送コストもミニマムに抑えた革新的チェアだ。19世紀後半より曲木家具の工場は、国境を越え原材料であるブナが生育する地域へと広がり、多数のバリエーションを生み出しながら椅子を生産していった。そして1920年代に「トーネット」社は「バウハウス」との連携によって、マルセル・ブロイヤー、ミース・ファン・デル・ローエらが考案したスティールパイプを曲げた椅子と、曲木に次ぐもう一つの構造革命となるカンティレバー(片持ち構造)チェアを生産。2つの曲げの技術は世界的に広まり、日でもそれらの技術を応用した、独自の椅子の数々が生み出された。

今年は「トーネット」社創設から200年、「No.14」誕生から160年を迎え、まさにロングライフデザインについて考える節目の年でもある。

「No.14」ゲブリューダー・トーネット社 1859年 ©知識たかし
本展では、椅子が一つの生命体であるとイメージし、「No.14」を含む全50脚のDNAネットワークの広がりの視覚化を試みる。展示品は、インテリアデザイナー永井敬二が50年にわたり、自分自身の目と手と足で世界中から集めた、戦後モダンデザインを主体とする膨大なコレクションの一部を借りている。

曲げの技術の展開を注意深く観察することで、デザインのアーキタイプ(原型)とバリエーション、またリミックスと逸脱とも呼べるものが見えてくる。脈々と続く椅子のネットワークが読めてくると、現代のデザインの見え方も変わってくるのかもしれない。消費されない、長く生き続ける「もの」の秘密について考える機会となる。

展示品の椅子の一部と永井敬二氏 ©知識たかし
プレ・オープニングイベントとして、7月25日の19時からはギャラリーツアー「椅子のものがたり」を開催。世界屈指の椅子コレクターとして知られる永井が登壇し、展覧会に登場する椅子の興味深いストーリーを、ツアー形式で案内する。また、8月1日の19時からは、トークイベント「椅子の“DNA”ってなに?」を開催。デザインについて日々考えを巡らすメンバーが、技術とかたちの“DNA”の繋がりについて、また、長生きしてきたモノと、これから生まれる長寿デザインについて語り合う。関連イベントの詳細については、随時公式サイト(https://www.muji.com/jp/ateliermuji/)にて確認できる。

【展覧会情報】
長く生きる。“DNA”を繋ぐ50脚の椅子展 ―永井敬二コレクションより―
会期:7月26日〜11月24日
会場:ATELIER MUJI GINZA Gallery1
住所:東京都中央区銀座3-3-5 無印良品 銀座 6F
時間:10:00〜21:00
入場無料
編集部
  • 「長く生きる。“DNA”を繋ぐ50脚の椅子展 ―永井敬二コレクションより―」
  • 「No.14」ゲブリューダー・トーネット社 1859年
  • 「B3(ワシリー)」マルセル・ブロイヤー 1925年
  • 「タトリンチェア」ウラジミール・タトリン 1927年
  • 「Z-Chair」エリック・マグヌッセン 1960年代
  • 「CCC」川上元美 1985年
  • 展示品の椅子の一部と永井敬二氏
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