世界中のフェスや音楽番組のMCとして活躍する音楽・映画パーソナリティ奥浜レイラさんに今月注目すべきアーティストを訊く、音楽コラム連載。
ストリーミングサービスが広がり、国内のみならず世界の音楽トレンドもリアルタイムでキャッチできる時代。Spotifyのトップチャート(最も再生回数が多い曲)、バイラルチャート(SNSでいま話題の曲)を賑わす、いま旬のアーティストは? 今回は、アメリカ三大音楽フェスの一つ「ロラパルーザ」のレポートをお届け。
アメリカの三大音楽フェスティバルと言えば、カリフォルニア州のコーチェラ、テネシー州のボナルー、そしてイリノイ州のシカゴで開催される「ロラパルーザ(Lollapalooza)」。
毎年8月の初週に、シカゴの都心にあるグラント・パークで4日間に渡って開催されているロラパルーザに今年初めて参加してきました。今回は豪華ラインアップの中から、時代をリードする女性アクトをご紹介します!
まずこのフェスについて少しだけお話すると、スタートは1991年。ロックバンド、ジェーンズ・アディクション(Jane's Addiction)のボーカリストであるペリー・ファレル(Perry Farrell)が立ち上げたツアー形式のフェスで、現在はブラジル・チリ・アルゼンチンなどでも開催されています。
ちなみに日本からも、2010年のシカゴ公演にはX JAPANが、2019年のチリ公演には東京スカパラダイスオーケストラが出演しています。
ロック・ヒップホップ・ポップス・DJなど、今年も約170組のアーティストがジャンルを超えて7つ(キッズエリアやVIPエリアを入れるとなんと9つも! )のステージを盛り上げていました。すべてのステージが公園内にあって、足元がフラットなので移動はとても楽ですし、ステージ同士も近いので多くのステージが観られます。それに加えて会場を出るとすぐにホテルや飲食店があるので、個人的にはこれまで日本と海外で出かけたここまでの大きなフェスの中で行動のしやすさ・気楽さナンバーワンの超都市型フェスでした。海外フェスビギナーの方にもオススメします。
今年もライブの様子が一部オフィシャルストリーミングで観ることができたので、現地の雰囲気を日本で楽しんだ方もいたかも?
オーディエンスの盛り上がりがものすごかったのがフィラデルフィア出身のフィメール・ラッパー兼シンガーソングライター、ティエラ・ワック(Tierra Whack)。この夏公開して話題になった映画『ライオン・キング』のインスパイアードアルバム(声優キャストでもあるビヨンセがプロデューサーを務めている)にも参加している彼女。キャッチーな楽曲は一緒に歌えるパートも多く、観客の反応がビビットなパフォーマンスでした。
最新アルバム『Whack World』は全曲1分以内、全部でたった15分というコンセプチュアルなものだったのですが、(インスタグラムのストーリーズに最長1分の動画投稿ができることを意識している)ライブも次から次へとインパクトの強い曲をプレイするインスタ的なスタイル。MCもユーモラスで親しみやすいのに、誰にも真似できない圧倒的なセンス。すでに話題になっていますが、今後さらに新しい流れを作っていくはずなので今のうちに是非チェックを!
もう1人、こちらも音楽好きの中にファンを増やしているのが、韓国人の両親の元、ニューヨークで生まれ育ったトラックメイカーでシンガーのヤエジ(yaeji)。
スローなテクノのトラックに、英語と韓国語の歌詞をミックスした独特のスタイル。繰り返されるハングルのフレーズが聴くたびクセになるのですが、シカゴにも夢中になるファンが増えているようで、みんなライブ後も呪文のようにリピートしていました。
個人的に、昨年から「今日は疲れたな」と思うと彼女の曲に手が伸びることが多かったのですが、一枚ベールが掛かったようなウィスパーボイスと浮遊感のあるトリッピーなサウンドは気持ちをほぐしてくれる効果があるような? 丸メガネにダボっとした大きめのヴィンテージを合わせたような文系ファッションもキュート。去年はコーチェラ、今年のフジロックにも出演し会場を超満員にしていたけれど、この中毒性はさらにファンを増やしそうです。
そして、今年のロラパルーザで最終日の大トリを飾ったのがアリアナ・グランデ(Ariana Grande)。2017年に自身の公演で起きた爆破テロや、元恋人マック・ミラーの死など、いくつもの悲しみが降り掛かる中、それを乗り越えるために表現することを止めなかったアリアナ。その姿は若い女の子たちをはじめ、世代・性別問わずたくさんの人に勇気を与えていて、そんな彼女の姿を見ようとスタート時間の前からすでに会場がいっぱいに。今年のロラパルーザで一番の賑わいでした。
ちなみにこの日は、アリアナを意識した格好にハイポニーテールやツノのようなお団子ヘアの女の子が続出していました。ファッションの面でも彼女の影響力は抜群。
このステージの2日前にリリースした『Boyfriend』を初パフォーマンスした際には、フィーチャーしたソーシャル・ハウス(Social House)の2人も登場して、リリースしたての最新曲にも関わらず大合唱が起きていたのが印象的。
何十人ものダンサーとともに激しく踊っていても歌声は一切乱れず、ショーとしてのクオリティーも完璧。強い照明を当てず、全編ムードのある演出だったけれど、どこにいても光を放つような存在感で、彼女は紛れもなくこの先のエンターテイメント界を牽引していくアーティストだと再確認。辛い出来事を乗り越えて次のステップに進んだアリアナ・グランデを、日本でも是非観たいものですね。
ロラパルーザフェスティバルは来年も開催が発表されています。毎年フジロックの翌週に開催というのが体力的にネックだったのですが、来年フジロックはオリンピックの関係で8月末の開催なので、フェス好きの方は例年よりもロラパルーザに行きやすいかも? 会場までのアクセスもよく、動きやすいフェスですし、シカゴは町歩きも楽しいので、日本からもたくさんの方に出かけてほしいです。
世界中のSNSで今一番話題の曲を知れるバイラルチャートは毎日更新! ぜひチェックを。
ストリーミングサービスが広がり、国内のみならず世界の音楽トレンドもリアルタイムでキャッチできる時代。Spotifyのトップチャート(最も再生回数が多い曲)、バイラルチャート(SNSでいま話題の曲)を賑わす、いま旬のアーティストは? 今回は、アメリカ三大音楽フェスの一つ「ロラパルーザ」のレポートをお届け。
奥浜レイラの音楽のすすめ vol.3
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アメリカの三大音楽フェスティバルと言えば、カリフォルニア州のコーチェラ、テネシー州のボナルー、そしてイリノイ州のシカゴで開催される「ロラパルーザ(Lollapalooza)」。
毎年8月の初週に、シカゴの都心にあるグラント・パークで4日間に渡って開催されているロラパルーザに今年初めて参加してきました。今回は豪華ラインアップの中から、時代をリードする女性アクトをご紹介します!
まずこのフェスについて少しだけお話すると、スタートは1991年。ロックバンド、ジェーンズ・アディクション(Jane's Addiction)のボーカリストであるペリー・ファレル(Perry Farrell)が立ち上げたツアー形式のフェスで、現在はブラジル・チリ・アルゼンチンなどでも開催されています。
ちなみに日本からも、2010年のシカゴ公演にはX JAPANが、2019年のチリ公演には東京スカパラダイスオーケストラが出演しています。
ロック・ヒップホップ・ポップス・DJなど、今年も約170組のアーティストがジャンルを超えて7つ(キッズエリアやVIPエリアを入れるとなんと9つも! )のステージを盛り上げていました。すべてのステージが公園内にあって、足元がフラットなので移動はとても楽ですし、ステージ同士も近いので多くのステージが観られます。それに加えて会場を出るとすぐにホテルや飲食店があるので、個人的にはこれまで日本と海外で出かけたここまでの大きなフェスの中で行動のしやすさ・気楽さナンバーワンの超都市型フェスでした。海外フェスビギナーの方にもオススメします。
今年もライブの様子が一部オフィシャルストリーミングで観ることができたので、現地の雰囲気を日本で楽しんだ方もいたかも?
オーディエンスの盛り上がりがものすごかったのがフィラデルフィア出身のフィメール・ラッパー兼シンガーソングライター、ティエラ・ワック(Tierra Whack)。この夏公開して話題になった映画『ライオン・キング』のインスパイアードアルバム(声優キャストでもあるビヨンセがプロデューサーを務めている)にも参加している彼女。キャッチーな楽曲は一緒に歌えるパートも多く、観客の反応がビビットなパフォーマンスでした。
最新アルバム『Whack World』は全曲1分以内、全部でたった15分というコンセプチュアルなものだったのですが、(インスタグラムのストーリーズに最長1分の動画投稿ができることを意識している)ライブも次から次へとインパクトの強い曲をプレイするインスタ的なスタイル。MCもユーモラスで親しみやすいのに、誰にも真似できない圧倒的なセンス。すでに話題になっていますが、今後さらに新しい流れを作っていくはずなので今のうちに是非チェックを!
もう1人、こちらも音楽好きの中にファンを増やしているのが、韓国人の両親の元、ニューヨークで生まれ育ったトラックメイカーでシンガーのヤエジ(yaeji)。
スローなテクノのトラックに、英語と韓国語の歌詞をミックスした独特のスタイル。繰り返されるハングルのフレーズが聴くたびクセになるのですが、シカゴにも夢中になるファンが増えているようで、みんなライブ後も呪文のようにリピートしていました。
個人的に、昨年から「今日は疲れたな」と思うと彼女の曲に手が伸びることが多かったのですが、一枚ベールが掛かったようなウィスパーボイスと浮遊感のあるトリッピーなサウンドは気持ちをほぐしてくれる効果があるような? 丸メガネにダボっとした大きめのヴィンテージを合わせたような文系ファッションもキュート。去年はコーチェラ、今年のフジロックにも出演し会場を超満員にしていたけれど、この中毒性はさらにファンを増やしそうです。
そして、今年のロラパルーザで最終日の大トリを飾ったのがアリアナ・グランデ(Ariana Grande)。2017年に自身の公演で起きた爆破テロや、元恋人マック・ミラーの死など、いくつもの悲しみが降り掛かる中、それを乗り越えるために表現することを止めなかったアリアナ。その姿は若い女の子たちをはじめ、世代・性別問わずたくさんの人に勇気を与えていて、そんな彼女の姿を見ようとスタート時間の前からすでに会場がいっぱいに。今年のロラパルーザで一番の賑わいでした。
ちなみにこの日は、アリアナを意識した格好にハイポニーテールやツノのようなお団子ヘアの女の子が続出していました。ファッションの面でも彼女の影響力は抜群。
このステージの2日前にリリースした『Boyfriend』を初パフォーマンスした際には、フィーチャーしたソーシャル・ハウス(Social House)の2人も登場して、リリースしたての最新曲にも関わらず大合唱が起きていたのが印象的。
何十人ものダンサーとともに激しく踊っていても歌声は一切乱れず、ショーとしてのクオリティーも完璧。強い照明を当てず、全編ムードのある演出だったけれど、どこにいても光を放つような存在感で、彼女は紛れもなくこの先のエンターテイメント界を牽引していくアーティストだと再確認。辛い出来事を乗り越えて次のステップに進んだアリアナ・グランデを、日本でも是非観たいものですね。
ロラパルーザフェスティバルは来年も開催が発表されています。毎年フジロックの翌週に開催というのが体力的にネックだったのですが、来年フジロックはオリンピックの関係で8月末の開催なので、フェス好きの方は例年よりもロラパルーザに行きやすいかも? 会場までのアクセスもよく、動きやすいフェスですし、シカゴは町歩きも楽しいので、日本からもたくさんの方に出かけてほしいです。
【プロフィール】
奥浜レイラ
音楽・映画パーソナリティ。映画の舞台挨拶や、音楽番組のMCとしても活動中。現在、女性誌『GINZA』の新譜紹介コーナーの執筆を担当。海外の音楽フェスに足を運ぶのが趣味。
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奥浜レイラ
音楽・映画パーソナリティ。映画の舞台挨拶や、音楽番組のMCとしても活動中。現在、女性誌『GINZA』の新譜紹介コーナーの執筆を担当。海外の音楽フェスに足を運ぶのが趣味。
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