世界中のフェスや音楽番組のMCとして活躍する音楽・映画パーソナリティ奥浜レイラさんに今月注目すべきアーティストを訊く、音楽コラム連載。
ストリーミングサービスが広がり、国内のみならず世界の音楽トレンドもリアルタイムでキャッチできる時代。Spotifyのトップチャート(最も再生回数が多い曲)、バイラルチャート(SNSでいま話題の曲)を賑わす、いま旬のアーティストは? 今回は、話題の楽曲をオススメのシチュエーションとともにご紹介!
日に日に寒さが増して、いよいよ本格的な冬の空気を感じるようになりましたね。部屋の中をあったか仕様に、クローゼットの衣替えも済ませて、冬の籠り支度を整えたところでもう一つ。旬の音楽で暮らしをより充実させてはいかがでしょうか?
今チャートを賑わす話題の楽曲を、オススメのシチュエーションとともにご紹介します。
まずはオーストラリア出身のトーンズ・アンド・アイ(Tones And I)の『ダンス・モンキー(Dance Monkey)』。
個人の感想ですが、最近の掃除のお供はもっぱらこの曲で「面倒だな。寒いし動きたくないな」とついついソファで怠けてしまいそうな時に再生すると、リズムに乗せられ作業がはかどります。
このトーンズ・アンド・アイは、トニー・ワトソンによるソロ・プロジェクト。彼女は2018年まで小売業店で働いていたのですが、その仕事をきっぱり辞めてストリートパフォーマンスに必要な許可証を取得して、ワゴン車で暮らしながら路上で歌い始めます。
その年の秋には、オーストラリアの路上パフォーマーのNo.1を決めるイベントで優勝。そこから彼女の快進撃がスタートし、レコードデビュー、ラジオ局でのパワープレイ、チャートイン、音楽フェスでは2万人以上が熱狂、そしてオーストラリアツアーは完売、ヨーロッパでも......と、まさにスターの階段を駆け上がっているのです。
彼女の特徴は、聴けばすぐに惹きこまれる個性的な歌声。少女のようなイノセントな響きがありつつ、少しハスキーで、力強さと切なさを見事に表現する天性の歌唱力がとにかく圧倒的。まだまだ伸びる才能だと思うので、このタイミングで是非チェックを。より味わい深い楽曲もあり、冬の空気に似合う歌声です。
続いても急上昇のニュー・スター、ニューヨークのクイーンズ出身のリル・テッカ(Lil Tecca、本名タイラー・シャープ)の楽曲『ランサム(Ransom)』は中毒性があり。
ラッパーには色々なリル(リトルを縮めたスラング)がいるけれど、その中でも彼はちょっと異色です。MVでも分かる通り、いわゆるラッパー的なギラギラ感が薄め。セクシーな女性たちのセンターで満足気にゴールドのネックレスをジャラつかせるような、ラッパーのMVでよく見掛ける光景は少なめ。一応、露出度が高めな女性も登場しますが、あまり乗り気ではない様子に見えてなんだか親しみやすいフィーリング。メガネ姿に歯の矯正器具がのぞくのも愛嬌があってチャーミング。
元々はオンラインゲームのXboxをプレイしながら友達とラップでディスりあうという遊び半分のところからスタートして、やがて本気で楽曲制作に乗り出し、今ではストリーミング再生数も膨れ上がって大成功していますが、彼はまだ若干17歳。ギークっぽさといい、キャリアの築き方といい、ラッパーとして今後シーンに新しい流れを作ってくれそう。肩の力が抜けた雰囲気は休日のリラックスモードによく合います。
毎日仕事やプライベートに走り回っていれば、ポジティブなことばかりではないはず。部屋で1人になって、ふと振り返って落ち込んでしまったり、自分と向き合う時間には、自信を取り戻させてくれるリゾ(Lizzo)の楽曲がオススメ。
彼女を紹介する前に一つ。ここ数年「セルフ・ラブ(自己愛)」や「ボディ・ポジティブ」といったキーワードで大きなムーブメントが起きているのですが、これは「痩せた体型=美しい」など画一された美の基準から解放されてありのままの体型の自分を肯定して愛そうという、女性の自尊心や自己肯定感を高めようとする動きで、海外ではエンタメ界のみならず社会的に大きく広がっている運動です。
リゾはそのムーブメントのアイコン的な存在で、女性だけでなく万人に支持されています。彼女の元々持っていたメッセージと社会の動きが重なったこともあり、楽曲が大ヒット。
30代を迎える女性をリアルに描いたラブコメ映画『サムワン・グレート~輝く人に~』にリゾの楽曲『トゥルース・ハーツ(Truth Hurts)』がフィーチャーされたこともあって、長らくチャートイン。今年リリースしたアルバム『コズ・アイ・ラブ・ユー』に収録された他の楽曲もヒットし、その歌詞も注目されています。
自己愛を持つことの大切さ、自分の評価を他人に預けないこと。彼女は単に体型についてポジティブなだけではなく、経験に裏付けされた強さがあり、自信と誇りを持った歌声、リリックで私たちをエンパワーメントしてくれます。
年末に向けて忙しくなってくる時期ですが、音楽は部屋の中を賑やかに彩って元気をくれるはず。イキのいい音楽のパワーを味方につけて充実した毎日を!
ストリーミングサービスが広がり、国内のみならず世界の音楽トレンドもリアルタイムでキャッチできる時代。Spotifyのトップチャート(最も再生回数が多い曲)、バイラルチャート(SNSでいま話題の曲)を賑わす、いま旬のアーティストは? 今回は、話題の楽曲をオススメのシチュエーションとともにご紹介!
奥浜レイラの音楽のすすめ vol.6
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日に日に寒さが増して、いよいよ本格的な冬の空気を感じるようになりましたね。部屋の中をあったか仕様に、クローゼットの衣替えも済ませて、冬の籠り支度を整えたところでもう一つ。旬の音楽で暮らしをより充実させてはいかがでしょうか?
今チャートを賑わす話題の楽曲を、オススメのシチュエーションとともにご紹介します。
Tones And I
まずはオーストラリア出身のトーンズ・アンド・アイ(Tones And I)の『ダンス・モンキー(Dance Monkey)』。
個人の感想ですが、最近の掃除のお供はもっぱらこの曲で「面倒だな。寒いし動きたくないな」とついついソファで怠けてしまいそうな時に再生すると、リズムに乗せられ作業がはかどります。
このトーンズ・アンド・アイは、トニー・ワトソンによるソロ・プロジェクト。彼女は2018年まで小売業店で働いていたのですが、その仕事をきっぱり辞めてストリートパフォーマンスに必要な許可証を取得して、ワゴン車で暮らしながら路上で歌い始めます。
その年の秋には、オーストラリアの路上パフォーマーのNo.1を決めるイベントで優勝。そこから彼女の快進撃がスタートし、レコードデビュー、ラジオ局でのパワープレイ、チャートイン、音楽フェスでは2万人以上が熱狂、そしてオーストラリアツアーは完売、ヨーロッパでも......と、まさにスターの階段を駆け上がっているのです。
彼女の特徴は、聴けばすぐに惹きこまれる個性的な歌声。少女のようなイノセントな響きがありつつ、少しハスキーで、力強さと切なさを見事に表現する天性の歌唱力がとにかく圧倒的。まだまだ伸びる才能だと思うので、このタイミングで是非チェックを。より味わい深い楽曲もあり、冬の空気に似合う歌声です。
Lil Tecca
続いても急上昇のニュー・スター、ニューヨークのクイーンズ出身のリル・テッカ(Lil Tecca、本名タイラー・シャープ)の楽曲『ランサム(Ransom)』は中毒性があり。
ラッパーには色々なリル(リトルを縮めたスラング)がいるけれど、その中でも彼はちょっと異色です。MVでも分かる通り、いわゆるラッパー的なギラギラ感が薄め。セクシーな女性たちのセンターで満足気にゴールドのネックレスをジャラつかせるような、ラッパーのMVでよく見掛ける光景は少なめ。一応、露出度が高めな女性も登場しますが、あまり乗り気ではない様子に見えてなんだか親しみやすいフィーリング。メガネ姿に歯の矯正器具がのぞくのも愛嬌があってチャーミング。
元々はオンラインゲームのXboxをプレイしながら友達とラップでディスりあうという遊び半分のところからスタートして、やがて本気で楽曲制作に乗り出し、今ではストリーミング再生数も膨れ上がって大成功していますが、彼はまだ若干17歳。ギークっぽさといい、キャリアの築き方といい、ラッパーとして今後シーンに新しい流れを作ってくれそう。肩の力が抜けた雰囲気は休日のリラックスモードによく合います。
Lizzo
毎日仕事やプライベートに走り回っていれば、ポジティブなことばかりではないはず。部屋で1人になって、ふと振り返って落ち込んでしまったり、自分と向き合う時間には、自信を取り戻させてくれるリゾ(Lizzo)の楽曲がオススメ。
彼女を紹介する前に一つ。ここ数年「セルフ・ラブ(自己愛)」や「ボディ・ポジティブ」といったキーワードで大きなムーブメントが起きているのですが、これは「痩せた体型=美しい」など画一された美の基準から解放されてありのままの体型の自分を肯定して愛そうという、女性の自尊心や自己肯定感を高めようとする動きで、海外ではエンタメ界のみならず社会的に大きく広がっている運動です。
リゾはそのムーブメントのアイコン的な存在で、女性だけでなく万人に支持されています。彼女の元々持っていたメッセージと社会の動きが重なったこともあり、楽曲が大ヒット。
30代を迎える女性をリアルに描いたラブコメ映画『サムワン・グレート~輝く人に~』にリゾの楽曲『トゥルース・ハーツ(Truth Hurts)』がフィーチャーされたこともあって、長らくチャートイン。今年リリースしたアルバム『コズ・アイ・ラブ・ユー』に収録された他の楽曲もヒットし、その歌詞も注目されています。
自己愛を持つことの大切さ、自分の評価を他人に預けないこと。彼女は単に体型についてポジティブなだけではなく、経験に裏付けされた強さがあり、自信と誇りを持った歌声、リリックで私たちをエンパワーメントしてくれます。
年末に向けて忙しくなってくる時期ですが、音楽は部屋の中を賑やかに彩って元気をくれるはず。イキのいい音楽のパワーを味方につけて充実した毎日を!
世界中のSNSで今一番話題の曲を知れるバイラルチャートは毎日更新! ぜひチェックを。
【プロフィール】
奥浜レイラ
音楽・映画パーソナリティ。映画の舞台挨拶や、音楽番組のMCとしても活動中。現在、女性誌『GINZA』の新譜紹介コーナーの執筆を担当。海外の音楽フェスに足を運ぶのが趣味。
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奥浜レイラ
音楽・映画パーソナリティ。映画の舞台挨拶や、音楽番組のMCとしても活動中。現在、女性誌『GINZA』の新譜紹介コーナーの執筆を担当。海外の音楽フェスに足を運ぶのが趣味。
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