ロンドン在住の友人たちが今最もホットなエリアだと口をそろえるのが、南に位置するペッカム地区。10年前までは、アフリカ系とラテン系の移民が多い多文化社会で形成される独特なコミュニティーで、頻繁に暴動が起こる危険エリアとして認知されていました。有名なチェーン店や繁華街はなく、個人商店や雑貨屋、ヘアサロンが並ぶだけの下町といった感じ。
そんなペッカムに変化が訪れたのは、ここ8年程のようです。2012年のロンドンオリンピック開催のための都市開発で、ロンドンの南にまで鉄道が繋がったことが一番の要因。特に、アンダーグラウンドなクラブが多いペッカムに、音楽関係者や感度の高い若者が足を運ぶようになり、ナイトライフが賑わいを見せ始めたのです。やがてペッカムのイメージやステータスは上がり、おしゃれなカフェやコミュニティースペースが増え、進化を続けています。
私はここ1年程、何度もペッカムを訪れていますが、数ヶ月に一度赴くだけでも新しいお店や建物が続々と増えており、毎回新しい発見があるのです。最も賑わっているのはペッカム・レイ駅周辺。昔ながらのローカルが経営する八百屋が並ぶ短いアーケードを抜けると、高架下にはタトゥーショップやコーヒーだけを提供する小さなカフェが並んでいます。キッチンカーとしてスタートして2011年にロンドンに1店舗目をオープンしてから人気バーガーレストランとなった「オネスト・バーガー(Honest Burger)」も駅周辺に店を構えています。
すぐ隣には、大きなテラスを持つブラッセリー「ブリック・ブリューワリー・タップルーム(Brick Brewery Taproom)」が。昨年オープンした多国籍レストラン「レバン(Levan)」は何度も通ってしまう、私のお気に入り。地産地消にこだわったオーガニックの新鮮な食材を用いて、世界各国の調理法を掛け合わせた創作料理が楽しめる他、ヨーロッパで大流行中の自然派ワインのセレクションも抜群です。“鴨心臓と卵のグリル、プルーンのケチャップ添え”、“牛肉の黒酢煮込み”、“ローストした帆立と黒トリュフ”など風変わりで魅力的なメニューが日替わりで並んでいます。
ペッカムがホットなエリアへと進化したもう一つの要因は、2つの美術大学(ゴールド・スミス・カレッジとキャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツ)が近くに位置していることも大きいでしょう。ペッカムの再開発計画の一つとして、街の雰囲気を明るく変えるために美術学生による壁画が加えられ、街灯の設置が施行されました。角を曲がる度に明るいトーンの壁画に出くわす、アーティスティックな空気感は街中を活気づける役割を担っています。
さらに、「モカ・ギャラリー(Moca Gallery)」や「クレーンズ・キッチン(Crane’s Kitchen)」など小規模ながらも世界中のアーティストや美術関係者に高く評価されるギャラリーもオープンしました。特に「クレーンズ・キッチン(Crane's Kitchen)」は、駅から少し離れた静かな住宅街に構えており、裏庭の庭園カフェは都会の喧騒を忘れさせる隠れ家的存在。
コワーキングビル「ペッカム・レベルズ(Peckham Levels)」や「マーケット(Market)」は数階のオフィスに加えバーやレストラン、ヨガスタジオ、ヘアサロン、ナイトクラブを併設しています。フリーランスのクリエーターが多く集まるこれらのビルは、ペッカムのコミュニティー形成において大きな要。感度の高い人々が“通う”だけではなく“移り住む”ようになったのは、コワーキングビルによって生活圏としてペッカムが選択肢に加わったことが大きいように思います。
ペッカムに人が集まるようになった要因であるナイトシーンについては、盛り上がりを見せる一方のよう。最も人気なのは、昔からローカルに親しまれている「CLFアート・カフェ(CLF Art Cafe)」。ジャズ、ヒップホップ、レゲェと幅広い音楽ジャンルで毎晩のようにイベントが開催されています。
音楽ファンのボランティアにより手作りで運営される会場「DIYスペース・フォー・ロンドン(DIY Space For London)」は若手ミュージシャンの憧れのライブスペースとして強いコミュニティーで成り立っています。キング・クルール(King Krule)やムラ・マサ(Mura Masa)など若者から絶大な人気を誇る世界的なミュージシャンが、ペッカムでゲリラのライブをしたりエキシビションを開いたりと、今も変わらずこの地は音楽と強い繋がり持っています。
瞬く間に発展を遂げるペッカムですが、未だに移民が多く暮らす多文化社会は健在。バックグラウンドの異なる人々が共存するエリアに、美術学生、クリエーター、ミュージシャンなどが加わって、街は新たな表情を導き出したのです。都心とは違った独自の文化を生むペッカムを訪れて、ロンドンの新たな魅力を発見してみてください。
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そんなペッカムに変化が訪れたのは、ここ8年程のようです。2012年のロンドンオリンピック開催のための都市開発で、ロンドンの南にまで鉄道が繋がったことが一番の要因。特に、アンダーグラウンドなクラブが多いペッカムに、音楽関係者や感度の高い若者が足を運ぶようになり、ナイトライフが賑わいを見せ始めたのです。やがてペッカムのイメージやステータスは上がり、おしゃれなカフェやコミュニティースペースが増え、進化を続けています。
私はここ1年程、何度もペッカムを訪れていますが、数ヶ月に一度赴くだけでも新しいお店や建物が続々と増えており、毎回新しい発見があるのです。最も賑わっているのはペッカム・レイ駅周辺。昔ながらのローカルが経営する八百屋が並ぶ短いアーケードを抜けると、高架下にはタトゥーショップやコーヒーだけを提供する小さなカフェが並んでいます。キッチンカーとしてスタートして2011年にロンドンに1店舗目をオープンしてから人気バーガーレストランとなった「オネスト・バーガー(Honest Burger)」も駅周辺に店を構えています。
すぐ隣には、大きなテラスを持つブラッセリー「ブリック・ブリューワリー・タップルーム(Brick Brewery Taproom)」が。昨年オープンした多国籍レストラン「レバン(Levan)」は何度も通ってしまう、私のお気に入り。地産地消にこだわったオーガニックの新鮮な食材を用いて、世界各国の調理法を掛け合わせた創作料理が楽しめる他、ヨーロッパで大流行中の自然派ワインのセレクションも抜群です。“鴨心臓と卵のグリル、プルーンのケチャップ添え”、“牛肉の黒酢煮込み”、“ローストした帆立と黒トリュフ”など風変わりで魅力的なメニューが日替わりで並んでいます。
ペッカムがホットなエリアへと進化したもう一つの要因は、2つの美術大学(ゴールド・スミス・カレッジとキャンバーウェル・カレッジ・オブ・アーツ)が近くに位置していることも大きいでしょう。ペッカムの再開発計画の一つとして、街の雰囲気を明るく変えるために美術学生による壁画が加えられ、街灯の設置が施行されました。角を曲がる度に明るいトーンの壁画に出くわす、アーティスティックな空気感は街中を活気づける役割を担っています。
さらに、「モカ・ギャラリー(Moca Gallery)」や「クレーンズ・キッチン(Crane’s Kitchen)」など小規模ながらも世界中のアーティストや美術関係者に高く評価されるギャラリーもオープンしました。特に「クレーンズ・キッチン(Crane's Kitchen)」は、駅から少し離れた静かな住宅街に構えており、裏庭の庭園カフェは都会の喧騒を忘れさせる隠れ家的存在。
コワーキングビル「ペッカム・レベルズ(Peckham Levels)」や「マーケット(Market)」は数階のオフィスに加えバーやレストラン、ヨガスタジオ、ヘアサロン、ナイトクラブを併設しています。フリーランスのクリエーターが多く集まるこれらのビルは、ペッカムのコミュニティー形成において大きな要。感度の高い人々が“通う”だけではなく“移り住む”ようになったのは、コワーキングビルによって生活圏としてペッカムが選択肢に加わったことが大きいように思います。
ペッカムに人が集まるようになった要因であるナイトシーンについては、盛り上がりを見せる一方のよう。最も人気なのは、昔からローカルに親しまれている「CLFアート・カフェ(CLF Art Cafe)」。ジャズ、ヒップホップ、レゲェと幅広い音楽ジャンルで毎晩のようにイベントが開催されています。
音楽ファンのボランティアにより手作りで運営される会場「DIYスペース・フォー・ロンドン(DIY Space For London)」は若手ミュージシャンの憧れのライブスペースとして強いコミュニティーで成り立っています。キング・クルール(King Krule)やムラ・マサ(Mura Masa)など若者から絶大な人気を誇る世界的なミュージシャンが、ペッカムでゲリラのライブをしたりエキシビションを開いたりと、今も変わらずこの地は音楽と強い繋がり持っています。
瞬く間に発展を遂げるペッカムですが、未だに移民が多く暮らす多文化社会は健在。バックグラウンドの異なる人々が共存するエリアに、美術学生、クリエーター、ミュージシャンなどが加わって、街は新たな表情を導き出したのです。都心とは違った独自の文化を生むペッカムを訪れて、ロンドンの新たな魅力を発見してみてください。
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