「ritsuko karita」のアトリエから【インタビュー】Vol.3

開催日:2020.04.01-04.07
2020.04.01

理想の始まるアトリエ


これは、苅田さんにお伺いした「ritsuko karita」のアトリエの今とこれからここでうまれてゆくものたちのお話です。
自分のなかにある“理想”について考えることは、時に自分の幼少期に立ち返り、自分自身を見つめなおすことにもなります。これから進む先は、これまで進んできた軌跡の先にしか見つけられない場所。これからについて踏み出す時だからこそ、一度自分のこれまでを見つめなおし、本当に大事にしたいこと、大切な想いについて、ゆっくり考えてみたいものですね。

Vol1.初めまして、あたらしいアトリエ
Vol2.アトリエおきにいり
Vol3.理想の始まるアトリエ
Vol.4アトリエでの暮らし


苅田さんにとっての“自分の理想”って何ですか?

『どうぶつの森』とか、ジブリとか。どうぶつの森はNINTENDO64からやっていて、もちろんDSでもやっていて、暮らし方の憧れとして存在していますね。どうぶつの森は、服を作っているヒト、ヒトというか、どうぶつ、ですかね、と商店をやっている店主と、珈琲を出すマスターなどがいて、お手紙を出して住民と仲良くなったりしていて、そこにとても憧れますね。ジブリも、『魔女の宅急便』とか、パン屋さんに住まわせてもらってお店番をして、穏やかでのんびりしながらも自分の仕事を一生懸命する。私自身そういう人たちになりたいなととても思います。好きなものに囲まれて、クリエイティブなことが出来る、これ以上おおきな夢はないです。小さなコミュニティのなかで、みんながすきなことをしていて、それが周りとのかかわりになっていく、それが当に理想ですね。

※どうぶつの森=架空のどうぶつたちの住む世界で気ままに暮らすことができるゲーム。
ゲームの中の村に住んで、近所の人と話をしたり、買い物をしたり、手紙を書いたり、好きなことができる。




その“理想”がこのアトリエから始まる…?

そうですね。やりたかったことを凝縮させていくとお店を開くことに繋がっていて、それはこのアトリエでこれからしていくことですね。




ちっちゃなころから服を作ってお店やさんをしたいとは思っていて、それを意識してこうやって過ごして来ました。私、双子で、小さいころおばあちゃんと双子の妹とよくお店やさんごっこをしていたんですよね。私がお店側で、おばあちゃんと妹がお客さまで。マジックテープでくっついている野菜に値段をつけて、偽物のお金を渡して買いに来てもらって。その頃から「誰かに来てもらって、包みを渡す」というお店やさんの行程がだいすきで。
今もご注文いただいた商品にはリボンで縛ってメッセージを書いて渡すようにしています。贈り物をするときに、なにかコミュニケーションをとって渡すのがとてもすきで、大切にしていますね。私はファッションデザイナーかもしれないけど、服を作ることだけではなく、服を作ってからのその後の工程もだいすきで。だから、これからはもっと服の後の提案もしたいですね。着方や、見届けるところも。服を作ること、送りだすこと、そのすべてがやりたくて、それがこのアトリエから始まりますね。
といっても、正確には、まだ始まっていないんですけどね。これからどんどんお客さまがちょっと会いに来たくなって来られる場所にしていきたいです。
私は、現実っていうより、映画とかゲームとか、妄想というか、そういう物語として描かれている生活を、夢見がちかもしれないですけど、リアルでもできると信じているんですよ。だから、そういう場所になるようにアトリエにも名前つけた方がいいかもねって友達と話しているんですけど、悩んでいてまだしっくりきていなくて、でも、ひらがな三文字とか四文字とかで、ちょっと幻っぽい感じがいいなあとは思っています。


「梨凛花」のアトリエから「ritsuko karita」のアトリエへ、みたいな部分も?

服をずっとやってきたので、服を作ることは変わらずし続けますが、そういう部分もありますね。「梨凛」だからこそこういうデザインをしなきゃ、と自分自身を梨凛花に寄せている部分がありました。でも、アトリエも変わるし、27歳にもなるし、もっと等身大の自分自身の考えでブランドをやってみてもいいんじゃないかな、と思うようになりましたね。あとは、「梨凛花」では、世界観を作って展開をしていたものの、日常生活で着られる服も欲しいなと思うようにもなってきたのと、「梨凛花」として毎シーズンを作り込んでいくと、シーズンごとに移り変わりが激しくなっちゃって、それをずっとやっていくのはここの「アトリエ」にも自分自身の考えにも合わないな、って。




あとは、最近はアクセサリープロダクトといった、アパレル以外のクリエイターのお友達が増えてきていて、指輪だったり、財布だったり、彼らにはブランドの象徴とするラインナップがあるので、それにちょっと憧れたというのもあります。
具体的には、「ritsuko karita」では“プレーン”と“リッチ”という名前をお洋服につけて2軸で作っていこうと思っています。“プレーン”は継続的にやりたいと思っていて、自分の中のベーシックを提案していきます。でも、ただベーシックをやるのではなく、シャツ・ブラウス・ワンピース・パンツなど普段使いしやすいアイテムを私なりにデザインしたいですね。一方、“リッチ”は、プレーンよりもこだわりがあって、最初のコレクションだと柄ものがメインになるのですが、シーズンごとに自分の気になるものを色や生地の組み合わせで作る、ちょっと印象的で密度のあるもののご提案です。あとは、リッチをプレーンにプラスして着られるように、というのは意識していますね。


ものづくりとアトリエは繋がっているんですね。

そうですね、自分が「どういうところでどんな服を作ったらいいか」はいつも考えていますね。でも、私にとっては、服を作ることは特別なことではないのです。ものをつくることもデザインを描くことも、ごはんをたべたり、本を読んだりするのと同じくらい必要な習慣です。だから、「アトリエ」って他人から見たら、特別な存在に見えてしまうかもしれないけれど、ものづくりのアトリエっていうよりかは、「ristuko karita」として衣食住の発信の場所というか、いろいろなことを提案する中で、自分自身にとっても暮らしの一部、みたいなそういう場所にアトリエを思ってもらいたいですね。


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ヒトが変わるときと環境が変わるときは、物理的にも非常に大きな変化の時です。『ritsuko karita』はアトリエを構えるこのタイミングでブランドとしても変わろうとしています。そんな門出を祝い、4月1日~7日、伊勢丹新宿店本館2FTOKYOクローゼット内にて、karita ritsukoとしての初展示と梨凛花のラストコレクションの販売を行います。ラストコレクションのほか、アトリエの中に並ぶ本や苅田さん自身が大事にしている事について私物の展示も行います。

▮梨凛花ラストコレクション+ritsuko karita
参加ブランド:梨凛花・ritsuko karita
会期:4月1日~7日
場所:伊勢丹新宿店本館2FTOKYOクローゼット内
企画:TOKYO解放区(https://www.instagram.com/isetan_tokyo_kaihoku/)
詳細:https://www.instagram.com/p/B9dIU9pBATC/?utm_source=ig_web_copy_link



▮梨凛花 プレーンライン 展示会
4月13日〜19日(現在予定)
※詳しくはSNSにてお知らせいたします。
場所:ritsuko karita アトリエ内(鶴川から徒歩10分)
Hinako Chiba
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