ニール・バレット青山店を手掛けたイラク出身の女性建築家、ザハ・ハディドが率いるザハ・ハディド アーキテクト(Zaha Hadid Architects)が、新国立競技場基本構想国際デザイン・コンクールにおいて最優秀賞を受賞した。
新国立競技場基本構想国際デザイン・コンクールは、収容人数の少なさや老朽化という問題を抱えていた国立競技場の建て替えを目的に開催され、世界中から46案が集まった。
ザハ・ハディドの案は有機的な曲線を描く梁と膜で覆われた流線型のデザイン。受賞のポイントとなったのは、「論理に裏付けされた圧倒的な造形性。斬新なデザインにもかかわらず、構造と内部空間の表現が見事に一致している、必須条件である可動屋根も実現可能なアイデア」と、新国立競技場基本構想国際デザイン競技審査委員会は講評する。
現在国内でザハ・ハディドがかかわった建築物は、東京・青山のニール・バレット青山店のみ。2008年にオープンしたこのブティックでは、内装デザインを担当している。このプロジェクトは彼女にとって初となる店舗の内装設計だった。
ショップ空間は、コーリアンと呼ばれる人造大理石で造られた、最高部で高さ3mに達する一対の白い什器が中央に設えられている。この什器は、湾曲した面が数枚重なり合ったような形状で、ディスプレイテーブルやパーティションとして機能し、外から視認できることでショップアイコンとしての役割も併せ持つ。設計は3Dモデリングソフトで行われ、約50ものパーツで構成。ニール・バレットは「建築でもあり、彫刻でもある」と評した。
ザハ・ハディドは建築設計の他、プロダクトもデザインしており、ファッションブランドとのコラボレーションも行い、ルイヴィトンのバッグ(2011年)やラコステ、メリッサのシューズ(各々2009年、2008年)などが発表されている。
新国立競技場は今後、基本設計と実施設計のチームが組まれ、2019年竣工を目指す。既に2020年に招致を目指している東京オリンピック・パラリンピックでメーンスタジアムとなることが決定している。