フェルトをパッチワークしたブッククラッチがハリウッドセレブの間で人気を呼び、一躍その名前が広まったオランピア・ル・タン(Olympia Le Tan)。
かつてはDJとしても活躍し、東京でもル・バロン・ド・パリのレジデントDJとしてファッショニスタの間でその名前は知られており、キュートなスタイリングもいつも話題。今回は新作の発表のために来日、折から開催されていた仏誌『パープル ファッション』のエキシビションにも顔を見せ、東京ライフを楽しんでいた。展示会の合間を縫って、新作コレクションの話を聞いた。
--2013年春夏コレクションについて教えてください。
テーマは音楽で、レコードの”7インチ”と、私の七番目のコレクションでもあることにちなんで、「7インチ」コレクションと呼んでいます。ジャズやブルース、60年代のガールズバンドがイメージソースです。
(アナログシングルの)レコードジャケットに着想を得た四角い「7インチバッグ」を初めてつくりました。ブッククラッチもジャズに関する本をモチーフにしています。これらももちろんハンドメイドのそれぞれ16個限定で、裏地はリバティプリント。すべてにエディションナンバーが付いています。10月16日生まれの私にとって"16"はラッキーナンバーなんです。
--10月のパリファッションウィークでは初めて公式スケジュールでプレゼンテーションを開催されましたね。
古いミュージカル劇場を舞台に、架空の黒人のガールズバンドを結成しました。60年代の音楽でダンスして、最後には「ザ・ロネッツ」のロニー・スペクターが登場し、歌ってくれたんですよ。とてもエキサイティングで、皆に楽しんでもらえたと思います。
--レディトゥウェアのコレクションのテーマは?
女の子たちがブッククラッチを持つときに着るための服をつくりたいと思ったんです。このコレクションのために、父でありイラストレーターのピエール・ル・タン(Pierre Le Tan)が、4種のスペシャルパターンを描き下ろしてくれました。ビックリ箱、サイコロ、トランプ、カタツムリ、ウサギ、そしてシューズなど私の好きなものばかりが描かれていて、このファブリックをドレスやスカートなど、様々なアイテムに取り入れました。
60年代の音楽が大好きで、特にジャズレコードのグラフィックデザインは本当に素晴らしいし、「当時の音楽は、家にいるときのようにリラックスした気分にさせてくれるから好き」と語るオランピア。どんなところでレコードを探すのか聞いたところ、「東京に来るといつも、渋谷のタワーレコードや中古のレコードショップをはしごするんですよ」との答えが。日本が本当に大好きで、何度も来日しているのだそう。
2013年もさまざまなプロジェクトがすでに決定。伊勢丹とのコラボでは、キュートな虫たちが刺繍されたハンカチのコレクションが登場する予定。また、コスメブランド「ランコム」とのコラボでは、オランピアが選んだ色のネイルやリップが納められたスペシャルなクラッチバッグが世界100個限定で発売される。
【オランピア・ル・タン プロフィール】
ロンドン生まれ、パリ育ち。独学でファッションを学び、シャネル、バルマンなどでキャリアを積んだあと、2009年に自身のアクセサリーブランド「オランピア ル タン」を設立。本型のハンドメイドのクラッチバッグが注目され、ティルダ・スウィントンやナタリー・ポートマン、クレメンス・ポエジー、ミシェル・ウィリアムズなど、個性派の女優たちが愛用していることでも知られている。
また、鬼才、スパイク・ジョーンズとサイモン・カーンとともに制作した、フェルト刺繍を用いたストップ・モーション・アニメーション『Mourir Aupres de Toi』は、2011年、カンヌ映画祭にてプレミア上映され、ロカルノ映画祭でも正式上映された。