ニール バレットの15-16AWコレクションは、ブランドを象徴するシャープなカッティングでミニアルにデザインされた盤石のラインアップとなった。比較的好天に恵まれたミラノメンズファッションウィークのスケジュールの中で、突然の雨に見舞われたが、会場の中庭には天井がスケルトンのランウエイ用テントが用意されており、天候まで計算されていたかのよう。
コレクションはミリタリーアイテムをベースにした見る者を欺くような、フェイクしたルックが特徴的。シェットランドやアラン、フェアアイルなどのニットパターンをスウェットにボンディングや、ニットにプリントなど、着こなしやパターン上のレイヤードだけではなく、進化した素材のハイブリッドでスマートに見せている。カーキからブラックへ胸元でグラデーションしたコートも、上質な素材使いが全体のスタイルをバランス良く見せる。リキテンシュタインの作品などにもしばしば登場するアメリカンコミックの吹き出しマーク(KABOOM)が、グラフィカルなアイコンとしてアップリケされたシャツやジャケットなど、ポップアート的な要素もポイント。
フランネル、レザー、ツィードとさまざまな素材で展開されたチェスターコート、ウエスト部分で切り替えられたトレンチ、軽量なボマージャケットなど、全体を通して、都会のビジネスシーンにも着られるメンズウエアとして安定した存在感を示したのは貫禄。ミラノメンズのコレクションの中でも一際日本のメンズファッション誌編集長と百貨店バイヤーの姿が多かったのが印象的だ。