今回のピッティ・イマージネ・ウオモ88(以下ピッティ・ウオモ)でも目立ったのがWEB、SNSでの情報拡散のマーケティングとして、各ブランドに拡大する話題性の提供。メディア対策として、ニュースMDの重要性から“アーカイブ”からの引用、復刻がメンズファッションの新しい戦略として浮上する中、今回のピッティ・ウオモ・オフィシャルイベントもイタリアンファッションの歴史を紐解く形でのイベントが目立った。
●C.P.カンパニー40周年記念モデル
C.P.カンパニーの40周年イベントでは同ブランドのアーカイブを80年代初期から現在に至るまで主要なアイテムを展示解説。アーバンダウンジャケットのシリーズや、120双ポプリンのカタリナジャケット、独警察のブルゾン、レザーとナイロンのハンティングジャケットなど同ブランドが中心となって80年代中期のミラノ、パリに巻き起こった “スーパーカジュアルブーム”のオリジナルを見る良い機会となった。
同イベントは単なるC.P.カンパニーのアーカイブ展ではなく40着限定の3種類のスペシャルアイテムを過去の代表アイテムをベースにリプロダクト。ITS-ALTEAとのコラボしたリネンのガーメントダイのブルゾン、リモンタのマイクロファイバーとコラボしたフォトジャガードのウォータープルーフジャケット、ドリームラックスとコラボしたグーグルジャケットと呼ばれるLEDを撚り合わせたジャケットを展示して話題を集めた。
●ニノ・チェルッティ展
マリーノマリーニ美術館でピッティ・ディスカバリー財団が催したのは50年以上の歴史を持つニノ・チェルッティの回顧展。セニョール・ニノとして愛された偉大なデザイナーの1970、80年代の代表的なアイテムから2000年代に至るデザインへの変遷を、アンジェロ・フラッカベントがすべての時代のワードローブをキュレーションした。1930年代のチェルッティ社のバンチブック(生地見本帳)や、ヒットマンブランドで発表された当時のスーツ、1960年代初頭のスーツなど貴重なアーカイブが一堂に会した。
1980年代に大きくクローズアップされたアルマーニ、フェレ、ヴェルサーチといったデザイナーの一方で、生地メーカー発のリラックスした着こなしへと、イタリアのメンズファッションの革新的な方向性を示した同氏のコレクションにニック・ウースターをはじめ、多くのファッション関係者が熱心に写真を撮る姿も見られ、現在84歳の本人も元気な姿を見せた。
--明日は、ピッティウオモ2016春夏の3/4として、今回ピッティで発表された次世代デザイナーのイベントをレポート。
■text:ファッションヘッドライン編集顧問 野田達哉
■ピッティウオモ2016春夏レポート
--“見えない”時代のメンズファッションはアーカイブがトレンド 1/4
--ピッティが期待するアフリカ&次世代デザイナー 3/4
--注目の若手デザイナー、アーサー・アーべッサーとカサマードレ 4/4