雑誌『GQ JAPAN』をはじめとする一流誌のファッションページや、MVやTVCFの映像など手がけるフォトグラファーのMaciej Kucia(マチェイ・クーチャ/AVGVST)のインタビュー。1/2に続き、同氏にファッションフォトの考え方について話を聞いた。
――Maciejさんにとってファッションとは?
コミュニケーションのツールのようなものでしょうか。選ぶ服によって、自分がどんな人かを相手に示すことができるという点において。
好きなブランドは枚挙にいとまがありません。日本のものだとYohji Yamamotoは特に好き。彼の服を着ると、どんな年代の人も魅力的に見えると思いませんか?
それから、クローゼットに入りきらないくらい持っているのがN. HOOLYWOOD! アウトドアにももってこいの抜群の着心地でありながら、見た目はとっても洗練されているところがお気に入り。シンプルゆえの洗練ファッションを楽しみたい日はYaecaを選ぶことも多いですね。
――ファッションと写真ってどんな関係にあるのでしょうか?
お互いの存在によって、その魅力をさらに高めることができるものかな。ストーリー性のあるファッションフォトだけじゃなく、ポートレイトの場合もそれは同じこと。構図、光、セット、素材感だとか、すべてのものがどう関わるかによって、そこに生まれるストーリーも違ってきます。そして、だからこそファッションフォトというのは、そのブランドの思想や背景まで伝える力を持っているんです。
――maciejさんは音楽にも造詣が深いと伺いましたが、音楽とファッションの関係についてはどう思いますか?
僕は音楽学校で10年間学んだ後、作曲の仕事をしていた時代があるんですが、その間にいろんなジャンルの音楽を聴く人を見てきた経験からも、音楽もファッションもその他のあらゆるアートについても、人の好みにも影響をもたらすという点において共通してる気がしています。例えば、音楽の趣味が同じ人同士って、生活スタイルにも共通点がありますよね。職業は違っていても、考え方や好きなものが似ているとかね。
――音楽の仕事をしていた経験は、フォトグラファーとしての仕事になんらかの影響を及ぼしていると思いますか?
それはないかな。でも、その経験が、僕という人間のパーソナリティを作っているひとつの要素であることは間違いないと思うね。
それともうひとつ、僕に大きな影響を与えてくれたものは物理です。僕は大学では、人間にとって普遍的なことの根源を学びたいとの思いから物理学を専攻していたんだけど、これによって、自分の周りにある全てのことに対しての理解が深まったと感じてるんです。しかも、新しいものを自分に吸収したり、自分自身を成長させたいと思ったときに、どうすれば思い通りの結果を出せるかを考える際にも役に立っています。
――最後に、今後の目標を教えていただけますか?
コラボしたいブランドはたくさんあるけど、「こうなりたい」ってふうに自分の中で決めてはいないんです。これまでも、そしてこれからもきっとそうだけど、人生の中での出会いを大切にしているから。だから、いいなと思ったものに出合ったとき、柔軟に動く姿勢はずっと保ち続けたいですね。だって、人生そのほうが何倍も楽しいでしょう?