ホワイトマウンテニアリング(White Mountaineering)の相澤陽介がクリエイティブディレクションする新生ハンティング ワールド(HUNTING WORLD)が、初となるランウェイコレクションショーを6月14日、イタリア・フィレンツェで開催中のピッティ・ウオモ92のスペシャルイベントとして行った。
「旅」をテーマとする同ブランドがショーを行うにはぴったりなレオポルダ駅舎跡で行われた2018年春夏コレクションは、列車の旅を思わせるプロジェクションマッピングで始まった。ファーストルックはグリーン×イエローのコーポレートカラー配色のジャケットにロゴマークの象がカモフラージュされたTシャツ、ボトムスはグリーンのアブストラクトプリントの短パンにモカシンという軽やかなスタイル。手には同ブランドの50年を超える歴史を伝えるヴィンテージのトランク。
鮮やかなイエローのフードコートにはグリーンのポロにネイビーのカーゴパンツ、カーキのフライトジャケットにはフロントにポケットの付いたストライプのショートパンツと、アスレジャーをタウンにうまく落としこんだスタイリングが続く。
メンズのショートパンツのストライプ柄の生地は、ウィメンズのゆったりしたロング丈の布帛パンツに、リバティフラワーやデジタルパターンの素材はシャツやブラウス、ロングシャツやブルゾンなど、メンズとウイメンズのアイテムを自由に行き来する。スウェードジャケット、デニム、ボーダーやノルディック柄のサマーニットなどもジェンダーレスな提案だが、リネンのワンピース、デニムスカート、バニティバッグなど随所にウィメンズのアイテムが際立つ。
今回発表されたアウターウエアが、ハンティングワールドのDNAであるキャリーオールバッグとのコーディネートをベースに構築されたコレクションであることは明快だ。「バチュー・クロス」と呼ばれるポリウレタンのコーティングを施したナイロンオックスフォードのベース生地に、ウレタンフォームを張り合わせた軽量な素材を使ったこのバッグは、ハンティングやフィッシングなどのシーンでその機能が認められ、80年代始めに日本でも市場を席巻。当時としては珍しくビジネスシーンにも受け入れれた希有なバッグだ。
そのバッグのラインアップもカーキをシグネチャーに、レザー部分を赤やオレンジなどバリエーションを持たせ、ベーシックな形を残しつつ、今回新しいラインをメンズ、ウィメンズいずれも素材、デザインともに拡充している。
モンクレール(Moncler)やバブアー(Barbour)、アディダス オリジナルス(adidas Originals)など、これまで多くの海外ブランドとのコラボを手掛け、欧米のマーケットで支持が高い相澤陽介らしいクレバーでさわやかなコレクション。ユーザーファーストの開発視点のためか、やや詰め込み過ぎの感を受けたものの、ハンティング ワールドのリブランディング第一章はフィレンツェで順調なスタートを切った。
Text: Tatsuya Noda