ルーク・メイヤー(Luke Meier)によるオーエーエムシー(OAMC)は、6月24日パリ・オペラ地区にあるイベントスペース、パヴィヨン・カンボンにて2018年春夏コレクションを発表した。
ファッションに政治を直接的に結びつけることは避けながらも、60年代のムードを取り入れつつ、今の我々が生きている時代について熟考する姿勢を服で表現した。
ビート文学の代表的な作家アレン・ギンスバーグ(Allen Ginsberg)の『吠える(Howl)』をモチーフにした刺繍のブルゾンは、メッセージの書かれた街角のビラのようなオーガンジーを縫い付けて印象的に仕上げている。またアグレッシブな政治活動を行っていたシカゴ・セブン(Chicago Seven)をモチーフにしたスウェットには、平和やフラワーチルドレンを意味する花を刺繍。それぞれが、現代の政治に対するプロテストの姿勢を示すメッセージとして見せていた。
そしてランウェイに置かれた大きなメガホンスピーカーのようなオブジェは、バークレーで大学生たちがシャウトしているイメージで作られたもので、平和への希求を象徴するものとしてレゲエがBGMとして流された。
メッセージやコンセプトに目が行きがちだが、クリエーションについても注目すべき点が多く、糸抜きして色糸を通してモチーフにしたフロックコートや、複雑なカッティングのパッチワークパンツなど、繊細な手仕事をさりげなく見せている。コレクション全体としては、オーソドックスでスポーティーな印象を与えたが、メッセージと手仕事という両面で新しい価値観を見せる強い姿勢を感じさせた。