六本木21_21「そこまでやるか」展が開幕!泊まれるカプセルホテルも【レポート】

2017.06.26

六本木21_21 DESIGN SIGHTで、企画展「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」がスタートした。ギャラリー1、ギャラリー2から10周年を機に3月31日にオープンしたギャラリー3まで、すべてのギャラリーを使って開催される初めての展覧会となるもので、22日にプレスプレビューを行い、内容を公開した。

今回の展覧会は、クリストとジャンヌ=クロード(Christo and Jeanne - Claude)が2016年6月、イタリアのイセオ湖で行ったプロジェクト「フローティング・ピアーズ」を知った21_21 DESIGN SIGHTのディレクターたちが、何らかの形で展覧会をしたいと考えたことがきっかけとなった。クリストとジャンヌ=クロードを始め、淺井裕介、ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ(LUCERNE FESTIVAL ARK NOVA)、ヌーメン/フォー・ユース(Numen/For Use)、ダニ・カラヴァン(Dani Karavan)、石上純也、ジョルジュ・ルース(Georges Rousse)、西野達の8組が参加。制作過程のアイデアスケッチやドキュメント、実際の作品で使用した素材、新作インスタレーションなどを展示している。

階段を降りてすぐ、左側の壁面に展示されているのは、過去10年間、23のプロジェクトに費やされた時間、実演時間、地図などクリストの50年の歴史を表現したもの。

続く、ギャラリー1では映像作品を紹介。前回2010年に開催されたクリストとジャンヌ=クロードがドローイング作品やプロジェクト写真で活動を紹介したのに対して、今回はプロジェクションを活用。「フローティング・ピアーズ」の映像に加えて、同展のために行った2時間以上のインタビューを50分にまとめたクリストのインタビューを紹介している。

また、映像の部屋を出たギャラリー1の壁面には50年37のプロジェクトの中から、現在進行中のプロジェクトと今後の構想を紹介。41万個のドラム缶を使った「マスタバ、アラブ首長国連邦のプロジェクト」の8点のドローイング作品とマスタバの部分をピックアップした10分の映像によって画家としてのクリストを紹介している。

一方、ギャラリー2では4組のアーティストの作品を展示している。入ってすぐにあるのは中国山東省の渓谷で進行中の教会のプロジェクト模型を通して、壮大なスケールを表現した石上純也の作品。模型の下には小さな人の形の模型が置かれている。会場左側にあるのはヌーメン/フォー・ユースによる新作インスタレーション。テープのみで作られた作品はダンスの振り付けデーターを形にしたもの。半透明で柔軟な彫刻であり建築でもあるというオブジェの中には一度に最大3人が入り、進入していくようなイメージを体験することができる。

また、ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァは東日大震災を機に東北で長さ36メートルの巨大な風船状のコンサートホールを制作し、コンサートを開催したプロジェクトの素材サンプル、構造の図面、コンサートの様子などを展示。淺井裕介は、過去に手がけた泥の絵の具による作品に、東京ミッドタウン内で採取した土などを加えて再構成した壁画作品を紹介。「その場に即したかったので大幅に組み換えた。ヴァンジ彫刻庭園美術館で見た人でも一見しただけでは気付かないほど変えている」(淺井)という。

廊下ではダニ・カラヴァンの大都市軸とネゲヴ記念碑の二つのプロジェクトのスケッチ写真などのドキュメントを紹介。同施設内の最後に登場するのは、「会場に来る前はカラフルなインスタレーションを考えていたが、21_21 DESIGN SIGHTの建築とガラスから差し込む光との関係を考えて白に変えた」というジョルジュ・ルースの作品。階段下に広がる三角形の空間に作られた、見る位置によって形を変える円形のインスタレーションは特定のポイントから撮影すると美しい円になるようになっていて、階段を上がると写真作品が展示されている。

更に、今回はギャラリー3も展覧会の会場として使用。西野達によるカプセルホテルに見立てたインスタレーションを展示している。実際に宿泊できるようにギャラリー3のキッチンの中にはシャワー室も設置していて、7月には17部屋のカプセルホテルに夜間滞在できる予約制のイベントも行う。

今回ディレクターを務めた青野尚子は「見終わった後、壮大さによって自分の中で何かが変わる、そんなスイッチを押してくれる作家を集め、壮大さを感じ、体感できるものにした」とあいさつ。また、クリストからは「来日できなかったことは残念だが、今はニューヨークでマスタバのプロジェクトの仕事を続けなければいけない。ドローイングや映像を見て欲しい」というメッセージが届いた。

【展覧情報】
「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」
会期:6月23日~10月1日
会場:21_21 DESIGN SIGHT
住所:東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン内
時間:10:00~19:00(9月30日は24:00まで、入場はいずれも閉館30分前まで)
休館日:火曜
入場料:一般1,100円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料
樋口真一
  • 21_21 DESIGN SIGHT企画展「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」
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