Oh My Glasses・清川忠康CEO―眼鏡リテールの革命児2/2【INTERVIEW】

2013.08.02

1/2より続く。

——今は、自社ブランドにも力を入れていらっしゃいますね。

眼鏡のEコマースを立ち上げ、市場のデータが集まり、業界のことも見えてきましたし、眼鏡だけでなく、ここ数年でファッションECが伸びてきたり、売り方が多様化してきている様子なども見ていると、「作る」ということと「売る」ということを分けるべきだと考えるようになりました。ニーズとデータから、何が売れているのか検証して、眼鏡デザインという形にするという、今までとは逆のプロセスでものづくりをしてみたいなと思ったんです。業界の人が聞いたら、それがどうした?と思われるようなデータから、クリエーティブをしていく。そんなやり方でできるのか、とも思いましたが、試験的に2013年3月に「+ omg」を展開してみたところ、結果、非常に反応が良かったんですね。

――つまり、これまで小規模の店舗がバラバラに持っていたような売り上げデータが集積されることで、きちんとマーケティングができるようになったということですね。

はい。どうしてこのモデルが売れて、こちらが売れなかったのか、ビジネスにおいては当たり前のPDCAのサイクルが、メーカー始め眼鏡の業界では回っていなかったのです。きちんとした検証ができていない。だからデータを元にした分析を伝えながら、商品開発にも加わるようにしています。

実際、オーマイグラスでは3,000商品を扱っているんですが、5月のデータを見るとレイバンやオリバーピープルズを抜いて、トップ10が+omgのものです。形がスタイリッシュで万人受けするデザインに加えて、7,980円と非常にリーズナブルに、良いものを安く提供できているからだと考えています。同じ商品が店舗に並んだら1万5,000円の価値はあります。そうすると、より多くの人がもっと眼鏡を買えるし、半額で提供できればお客さんは2倍買えます。そういう市場の作り方をして、メーカーも小売店も、僕らも皆win-winになるビジネスをしたいと思っています。

――業界再編、ですね。

僕らは作り手も含めて、あらゆる種類の眼鏡を、アマゾンみたいにフェアに扱いたいと思っているんです。ゆくゆくは扱い商品を1万、2万と増やして、アマゾンみたいにほとんどすべての眼鏡がうちで手に入るという形にできればと思います。

-——直営店を構えようとは思わないんですか?それこそiPadだけ置いて。

将来的にはあるかもしれません。ただ、今回、提携という話は、Eコマースの考え方をもう一度見直そうという意志からきています。これまでのEコマースの歴史を紐解くと、どの業界にも大抵「ネットはけしからん」「ネットは脅威だ」といった考え方があって、新しくやる人が切り拓いていくという、ネット対リアル店舗といった構図があります。同じ企業内ですら、ネット事業部がうちの売り上げを取っていくんじゃないかと警戒している。だから僕らはまず、ネット対リアルのパラダイムから脱却して、ネットとリアルが共存し、補完しながら新しい事業を作っていくというモデルを構築したいと思っていました。パイの取り合いは、短期的にはうまくいったとしても、長期的にはやはりパイを増やさないとメリットがないと思うんです。だから第三需要みたいなものを作りたい。だから、先ほどの直営店にしても、オプションとしてはあるんですが、それには既存の業界を巻き込んでやりたい。そしたら新しい通販の形になるんじゃないかなと。

——提携さんときちんと売り上げを分け合って、それがいくつも増えれば、提携さんも儲かるという方向ですね。消費者は今まで欲しかったけど12万円だったから買えなかった。でも1本1万になれば助かる、という。

そうです。

——今、人気のあるのは、どんな型ですか?

今は+omgの中でも、ボストンのようなクラシカルタイプ。それから、この夏は、レイバンなどサングラスが動いています。

——売り上げを見ていると、そうした傾向がリアルに分かるのですね。

そうですね。20代、30代と年齢別に何が人気か全部分かります。クラシックは40代には全然売れていません。30代ですね。僕は女性に受けるかなと思ったら、意外と男性が買っていたり。

——データを分析して、メーカーに発注して、リードタイムはどれくらいでしょう?

ブランドによって全く違います。遅いところは3ヶ月、早いところは数週間でできます。売るという部分ももちろんですが、アパレルでは在庫リスクが結構、重要じゃないですか。そこが、データを見ていると大体分かります。

——よく比較されるのはのEコマースですが、靴以上に眼鏡のEコマースというビジネスモデルは、参入のハードルが高いでしょうか?

そうですね。ですから今はあまり競合はいないと思っています。僕らの競合は他社じゃなく、消費者マインドというか、「眼鏡なんてネットで買わないだろう」と言う人を、「買ってもいいんじゃない?」と思わせて、少なくとも試着してもらうくらいまで引き込みたい。1回でも経験してもらうとリピート率は高いんです。

——「買えないと思っていたけど、買えるんだ!」と認識が変わるんですね。秋に向けての品ぞろえは?

秋に15種類投入して、計42型になります。今のラインアップとは全く違うものになりますが、自信作です。さらに+omgの足元を固めていきたいと思います。
飯塚りえ
  • Oh My Glasses・清川忠CEO
  • 一番人気という+omgのウエリントンモデル
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