シンデレラに青より相応しい色は無い--衣装デザイナーサンディ・パウエル1/2【INTERVIEW】

2015.04.13

4月25日に日公開されるディズニー映画『シンデレラ』の衣装デザイナー、サンディ・パウエル(Sandy Powell)が来日。幻想的な現代のシンデレラの世界に生きるキャラクターの衣装に込められたメッセージを聞いた。

――数々の歴史映画において、その時代の雰囲気を保ちながら、モダンな要素を備えた衣装を製作しています。映画のコスチュームデザインにおいて大切にしていることとは?

私が映画の衣装デザインを手掛けるときは「もし私が映画の背景である時代のファッションデザイナーだったら、何をデザインするのか?」というところからイメージを広げていきます。それから、スクリーンの中でキャラクターを表現するのに「色」という要素も大切だと考えています。実際、今回シンデレラに登場するキャラクターたちにも、イメージにあった色の衣装をデザインしました。

――『シンデレラ』全体の衣装の雰囲気はどのように構築したのでしょう。

まず、シルエットについては、16世紀から19世紀までの様々な時代のファッションを考察しました。結果、今回は1940年代版19世紀ファッションという感じにするのが面白いと思い、それを採用することにしたの。ジョン・ガリアーノやクリスチャン・ディオールのように、普遍的なシルエットを現代の感性で再解釈していく作業でした。

――シンデレラが舞踏会で着るブルーのドレスについて教えてください。

彼女のドレスカラーは、最初からブルーにしようと考えていました。ブルーよりシンデレラに相応しい色はないと思ったからです。このドレスの深みのあるブルーを出すために、異なる素材や質感の生地を重ねています。一番上の生地はシルク。シルクやポリエステルなど、異なるテキスタイルを重ねることで、シンデレラが動き、ドレスに光が差し込む度に、新しい輝きを見せてくれるドレスに仕上げました。このドレスを製作するにあたり、20人のスタッフで延べ1万時間くらいかけています。

――舞踏会でシンデレラが着たドレスには、1万個ほどのスワロフスキーのクリスタルが散りばめられているそうですね。このスワロフスキーや内側のテキスタイルがグリッター素材なのは、シンデレラの内面から溢れる美を表現するためでしょうか?

その通り!それから、シンデレラのドレスの表面に使用したシルク生地もそうですが、上質な素材というのは気品のある表情を作り出してくれます。シルク生地から透けて見える輝きで、シンデレラの内から溢れ出る魅力を表現しました。このドレスの華やかな揺れや広がりを生み出すには、素材のセレクトも大切です。シンデレラのドレスの動きをCGによるものだと思う人もいるけれど、これはリアルです(笑)。

――舞踏会のシーンには中国インド、日本、ロシアなど、多くの国のお姫様が登場しますが、そのアイデアはどこから?

これは台本にあったアイデアなの。シンデレラの舞台は、世界のどこかにある海辺の港街という設定で描かれています。その街中に異なる国々の人がいることで、ユニバーサルで現代的なシンデレラの世界を描くことを企図し、多様な文化を感じさせる人物を登場させています。

2/2に続く。
Shigematsu Yuka
  • 来日した衣装デザイナーのサンディ・パウエル
  • シンデレラに青より相応しい色は無い--衣装デザイナーサンディ・パウエル1/2【INTERVIEW】
  • シンデレラの内面から溢れ出る美をブルーのドレスで表現した
  • シンデレラの衣装
  • シンデレラの内面から溢れ出る美をブルーのドレスで表現した
  • 多様な文化を感じさせる人々が集う海辺の港町がシンデレラの舞台
  • まま母を演じたケイト・ブランシェットの衣装はどこかに黒を取り入れている
  • ステップシスターズの衣装
  • ケイト・ブランシェット演じる継母の衣装
  • 圧倒的な存在感で魅せるケイト・ブランシェット演じる継母
  • フェアリー・ゴッドマザーの衣装は無数のLEDライトで光輝く仕掛けが施された
  • ケイト・ブランシェット演じる継母の衣装
  • シンデレラが舞踏会に着ていくブルーのドレスには蝶の装飾が施される
  • 王子の衣装にも、随所にで作業で装飾を加えていく
  • 王子は王様の赤に対して、若々しいイメージの青や白を身につけてる
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