37年続く人気ベーカリー「ジョアン」。銀座三越で誕生し、ブームを超えてスタンダードになった店

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2020.07.31

1日に何度もできる行列、レジへと連なる人の波─────。流行のスイーツ? それとも期間限定のイベント? と思いきや、それは特別な何かではなく、毎日変わらぬ「ジョアン」の焼き立てパンを求める人の列。銀座三越で誕生し、全国の三越でもおなじみのベーカリー「ジョアン」は、行列が日常の繁盛店。

本記事では、37年にわたり人々を魅了し続ける理由、そして、誕生の地・銀座三越に新たに加わったニューショップの魅力を紐解きます。


「夜明けの職人」ローラン・ジョアン氏と、
日本にフランスパンを広めた「ドンク」が生み出したベーカリー

「ジョアン」1号店は、1983年銀座三越に誕生しました。当時銀座三越が改装するタイミングで、もともと出店していた神戸発のベーカリー「ドンク」が新たなブランドを立ち上げることに。そこで、提携できるパリの良い職人を探して、フランス国立製粉学校の教授であり日本にフランスパンを初めて紹介したレイモン・カルヴェル氏に相談したところ、紹介されたのがローラン・ジョアン氏でした。

ローラン・ジョアン氏
ジョアン氏は13歳でパン職人の修業をはじめ、1942年、27歳でパリのモンパルナスに自らの店舗をオープン。当時フランスはパンの価格統制が敷かれており、価格の上限が決められているため利益を出すために素材の質を落としたり製造工程の手を抜いたりする劣悪なパンも出回っていました。そんな状況でも、質にこだわりよいパンを焼き続けるジョアン氏の店はパリジャンたちに愛され、56年もの長きにわたり親しまれました。


平均1日1,000kg(約3,000本)ものパンを焼くため深夜3時から働き、“夜明けの職人”と呼ばれていたジョアン氏。誠実で勤勉、そして純粋。そんなジョアン氏の職人魂を受け継ぎ、「ドンク」が提携して作りあげたのが日本の「ジョアン」です。

焼き立てを常に並べる“インストアベーカリー”の先駆け


こちらはオープン当時の「ジョアン」三越銀座店の写真。店内に厨房を構え、常にできたてを並べる“インストアベーカリー”は、今ではよく見る形態ですが、当時は画期的な取り組みでした。“ジョアンが創る世界のパン”をキャッチフレーズに、フランスの伝統的なパンをはじめ、ヨーロッパの代表的な食事パンをそろえ、世界の食文化や楽しさを発信する革新的なベーカリーとして話題になりました。

豊富なメニューは日本の「ジョアン」ならではの試みであり、世界中の文化が交錯する銀座という土地にぴったりフィット。オープンから3年後にはパンの種類は約200まで増え、焼き立てのおいしさとバラエティーの豊かさが支持されファンが増加。銀座の街に「ジョアン」の深緑の袋を持つ人々が溢れ“ジョアン現象”と呼ばれたほどです。

「袋だけもう一枚ください」と頼まれることもあったというので、ブームのほどが伺えますね。“焼き立て”と“バラエティーの豊富さ”は今も変わらぬ「ジョアン」の魅力。簡単なことのように見えて、職人たちが毎日手間を惜しまず汗をかかなければ実現しない価値です。だからこそ「ジョアン」は、一時的なブームに終わらず、ベーカリーのスタンダードとして定着し、全国の三越へと広がっていったのでしょう。


職人が技術と発想力を自由に発揮できる環境

銀座三越の「ジョアン」では、1日に何度も行列ができます。「銀座のチョコブレッド」「コーンパン」は、焼きあがりとともに入り口に運ばれ、専用の列ができてあっという間になくなっていきます。一番人気の「コーンパン」は、1日約1,000個を焼き上げていますが、毎日ほぼ完売というから驚きます。

一番人気の「コーンパン」(大:1個 税込 152円、小:1個 税込 87円)
銀座三越限定商品の「銀座のチョコブレッド」(1個 税込 432円)
銀座三越限定商品の「銀座のチョコブレッド」にいたっては、焼きあがり45分前に整理券が配布されますが、その整理券待ちの列ができるほどの人気ぶりです。そんな状態が何年も絶えず続いているお店は、東京・銀座と言えども、滅多にありません。(※開店時には整理券無しで販売。)

焼き立てのライブ感はもちろん、何度でも食べたくなる飽きのこないおいしさと、手頃な価格。“流行っている”というより、“愛されている”という言葉がしっくりくる名物パンの数々は、もともと各ショップの職人が考案したメニュー。「ジョアン」では、パン職人が自由に商品開発できる環境を作っており、「コーンパン」や「日本橋黒糖ロール」もはじめは1店舗だけでの販売だったものが、人気と共に他の店舗にも広がっていったそうです。

“焼き立て”“バラエティーの豊富さ”に加え、職人たちが技術や発想力を発揮した新しいパンに常に出会える“ワクワク感”も、「ジョアン」が時代を超えて愛され続ける理由の一つでしょう。三越にお越しの際は、ぜひ、ショップでその楽しさを体感してみてください。


量り売りプティ・フールが、新たな銀座の名物に。
新コンセプトのショップ「マルシェ・デュ・プティフール ジョアン」とは?

※写真はイメージです。
「ジョアン」誕生の地である銀座三越では、3月から新コンセプトのショップがオープンし話題となっていますが、ご存知ですか?

その名も「マルシェ・デュ・プティフール ジョアン」。同店では、ミニサイズのクロワッサンやクイニーアマン、チーズケーキなど、焼き立てのプティフールを量り売りで買うことができます。生菓子よりも持ち運びやすく親しみやすいプティフールは、ちょっといいことがあった日のおやつや、差し入れ、手土産にも重宝しそう。


「ジョアン」&「ルシェ・デュ・プティフール ジョアン」の名物パン

ずっしり、チョコレートの存在感。ジョアン「銀座のチョコブレッド」

銀座三越限定 ジョアン「銀座のチョコブレッド」(1個 税込 432円)
ふわふわ、しっとりの食パン生地にチョコレートを巻き込み焼きあげられたジョアンの「銀座のチョコブレッド」。チョコレートがたっぷりで、ずっしりとした重量感は、チョコブレッド界の横綱と呼びたくなる風格です。焼き上がりに漂う甘い香りは格別。リピーターも多い銀座三越の名物です。

【SHOP INFO】
銀座三越 本館地下2階 / パン・コーヒー
販売個数:お一人さま1回のお会計につき2点まで
販売方法:販売時間は(1)開店時 (2)午後1時から (3)午後4時から (4)午後6時から。午後1時以降の販売分は、販売時間の45分前より店頭にて整理券を配布。


クセになる人、増加中。大人の食事パン「GINZA・サレ」

銀座三越限定 ジョアンの「GINZA・サレ」(1個 税込 195円)
こちらも銀座三越限定商品。マッシュポテト入りのパンに、バターをのせて香ばしく焼きあげ、トッピングに岩塩をあしらった食事パン。バターと岩塩の塩気、まろやかなマッシュポテトとパンが絶妙なハーモニーを奏でます。食べごたえも◎。じわじわクセになるおいしさです。

【SHOP INFO】
■銀座三越 本館地下2階 / パン・コーヒー


銀座三越の新名物、オトナのためのプティフール

※写真はイメージです。
「おいしいものをちょっとずつたべたい」「できたてや焼き立ての特別感が好き」「素材もしっかりこだわった本格派じゃなきゃ」─────。そんな贅沢なオトナの“おやつ欲”を満たしてくれそうなのが、先ほど紹介の、ジョアンの新ショップ「マルシェ・デュ・プティフール ジョアン」のプティフールです。

常時約6種類のプティフールを量り売りで提供しています。銀座三越限定の商品は、ブルターニュ地方の伝統菓子の「プティクイニーアマン」のミニサイズ、ザクっとした食感とバターの風味豊かなサブレ菓子「ガレットグルトンヌ」、フランス製のクリームチーズが深い味わいのチーズケーキ「プティガトーフロマージュ」の3種類。

銀座三越限定 マルシェ・デュ・プティフール ジョアン「プティクイニーアマン」(100gあたり税込 411円)
銀座三越限定 マルシェ・デュ・プティフール ジョアン「ガレットグルトンヌ」(100gあたり税込 411円)
銀座三越限定 マルシェ・デュ・プティフール ジョアン「プティガトーフロマージュ」(100gあたり税込 411円)
【SHOP INFO】
銀座三越 本館地下2階 / パン・コーヒー

【FLOOR GUIDE】
銀座三越 本館地下2階の詳細はこちらから

https://youtu.be/4T02bWmudxs
長きに渡り愛され続けている「ジョアン」、姉妹ブランドの新店「マルシェ・デュ・プティフール ジョアン」。ぜひ、合わせてチェックしてみてくださいね。


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編集部
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