自身のメゾンを閉じ、2009年にクチュリエとしての活動を停止した後も、ヨーロッパの美術館や衣装デザインなどの分野で活躍するクリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)が、今年7月、「スキャパレリ(Schiaparelli)」ブランド創始者であるエルザ・スキャパレリ(Elsa Schiaparelli)を称えるイベントのためにクチュールコレクションをデザインする。
ヨーロッパからNYへとわたり、その後パリで1925年に初めてのショップをオープンしたエルザ・スキャパレリ。ファッションとアートを融合させた斬新でアバンギャルドな発想は当時、とくにアメリカの富裕層の間で人気を集め、20世紀もっとも影響を与えたデザイナーの一人とも言われている。
今回イベントが開催されるパリ・ヴァンドーム広場21番地にあるサロンは、そんな彼女が最初にアトリエを構えた場所だ。同メゾンにとって歴史的なこの場所で、ラクロワは15の作品を披露する。スキャパレリが創り上げたアイコニックな作品を再解釈し、彼女の伝説に敬意を表するという。
また、スキャパレリについてラクロワは、「真の意味で貴族的なものを体現した人。彼女の心には数学や文学と詩が共存し、神聖なスフィンクスのように、つねに新たな謎を投げかけ、我々に問い続けた。私の願いは、かつて世界中をとりこにしたエルザをメゾンの中心に据え、舞台の上に再び立たせること」と語る。
このプロジェクトは、同メゾンがグローバルに展開する企画の一環。今後も毎年現代アーティストたちにより、スキャパレリの精神に独自の解釈、新たな表現が加えられた作品が発表される予定だ。