シャネル、ディオールなど海外ブランドがサポートし、春の京都のアートイベントとしてすっかり定着した「KYOTOGRAPHIE京都国際写真展2025」の概要が発表された。ルシール・レイボーズ&仲西祐介・共同創設者/共同ディレクターにより2013年にスタートし、13回目を迎える今回は、13のアーティストが参加し、2025年4月12日〜5月11日の30日間にわたり開催される。
「HUMANITY」をテーマに京都文化博物館、京都市美術館別館、京都新聞ビル地下(印刷工場跡)を始め、同展ではお馴染みの会場となった両足院、誉田屋源兵衛 竹院の間、八竹庵(旧川崎家住宅)など普段は一般公開されていない京都市内の町家などを含む13会場において、世界各国からキュレーションされたアーティストの作品が展示される。
また同展の姉妹イベントとしてボッテガヴェネタ(Bottega Veneta)がサポートし、2023年よりスタートした音楽イベント「KYOTOPHONIE」も同展開催期間中に行われる予定で、今回は沖縄出身のフィメールラッパー、Awichの出演が先行で発表された(詳細は後日発表)。
第1回目より同展の協賛をしているシャネル ネクサスホール(CHANEL Nexus Hall)は今回、インドの現代美術アーティスト、プシュパマラ・N(PUSHPAMALA N)の近年の3つの主要な作品シリーズを京都文化博物館別館で展示。1956年生まれの彼女は1990年代半ばからバンガロールを拠点に活動し、「現代インド美術界で最もエンターテイメント性の高いアーティスト・異端者」(今回のプレスリリースより)と評される。自らを被写体としてフレームに取り入れる社会性の高いフォトパフォーマンスの作品で、今回はテート・モダンでも展示されたヨーロッパの植民地主義がアジア諸国に広がっていくきっかけとなったインドへの航路を発見したバスコ・ダ・ガマに扮した作品「The Arrival of Vasco da Gama」などで構成される予定。
1942年生まれのメキシコの写真家、グラシエラ・イトゥルビデ(Graciela Iturbide)はメキシコ、キューバ、パナマ、アルゼンチンなど南米各国やインドの地域社会を撮影。フェミニズムをテーマにした作品で知られており、今回ディオール(Dior)の協賛を得て京都市美術館別館で作品が展示される。これまでハッセルブラッド国際写真賞、ウィリアム・クライン賞、メキシコ市芸術科学国家賞など数々の賞を受賞しており、今回が日本で初めての大規模な個展となる。
KYOTOGRAPHIEがきっかけとなって展示会場スペースとして一般公開されることとなった京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡)では、フランス出身のアーティストJRの新作が発表される。2017年よりスタートし、これまでヴェネツィア、サンフランシスコ、マイアミ、ハバナ、ナポリなどで行われてきた市民参加型プロジェクトのミューラルアート「クロニクル」を、今回はJRと彼のチームが京都に滞在し撮影した500人の人々のポートレートのコラージュで構成。ビルの建て壊しで同会場は2025年で閉鎖となる。また、このJRのプロジェクトの展示は大阪万博2025の開催期間と重なることあり、今回JR京都駅ビル北側通路壁面でも展示される。
同展のサテライトオフィスとなる八竹庵(旧川崎家住宅)では1991年に米国ボストンに生まれ、エルサレムとロンドンを拠点に活動するパレスチナ系アメリカ人のアーティスト兼写真家のアダム・ルハナ(Adam Rouhana)展を開催。「アメリカで育った西洋人として、アラブ人として、そしてカメラを構えるパレスチナ人として自分の立場を問うている」(プレスリリースより)。
八竹庵(旧川崎家住宅)と共に京町家を見学できる同イベントの人気会場として定着した誉田屋源兵衛 竹院の間では、沖縄を拠点に写真を撮り続けている石川真生の作品が展示される。1970年代後半に黒人兵だけが集まるバーの人々を撮影した、彼女の初期の作品「赤花」と最新作が発表される。昨年、東京オペラシティギャラリーでも個展が開催された石川は1953年沖縄県大宜味村生まれ。2011年に『FENCES, OKINAWA』でさがみはら写真賞、2019年に日本写真協会賞作家賞、2024年芸術選奨文部科学大臣賞、第43回土門拳賞を受賞。
同会場に近いくろちく万歳ビルでは、世界各地の“けんか祭り”を群衆に交わり、「カメラを振り回しながら」(本人談)撮影する甲斐啓二郎の作品が展示される。
こちらも日本庭園を含めた鑑賞で人気の高い建仁寺塔頭の両足院では「フランスの現代写真界を代表するアーティスト」(同リリース)、エリック・ポワトヴァン(Eric Poitevin)の作品展がヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)の協賛で行われる。
KYOTOGRAPHIEでは毎回、写真と同様に映像作品が発表されているが、今回もエンタテイメント性をもった映像作品が発表される。ロンドン生まれパリ在住の広告・ミュージックヴィデオなどの映像作家のリー・シュルマン(Lee Shulman)とセネガル人写真家の & オマー・ヴィクター・ディオプ( Omar Victor Diop)の新作「Being There」が嶋臺(しまだい)ギャラリーで行われる。リーは2017年にスタートしたアマチュアのヴィンテージ写真をアーカイブする非営利団体アノニマス・プロジェクトを主宰。1980年セネガルに生まれ、自分自身が歴史上の人物などに扮したポートレートを発表してきたオマーがコラボレーションし、1950年〜60年代の人種差別が残るアメリカの匿名写真にオマーが登場するパフォーマンス作品となる。
そのリーが映像作品の監督を努めたこともある英国のマーティン パー(Martin Parr)はマグナム・フォト所属の写真家であり、ソニーワールドフォトグラフィーアワード特別功労賞(2017年)、エーリッヒ・ザロモン賞(2006年)、ボーム&メルシエ賞(2008年)などの受賞で知られている。今回は世界各地、特に現在の京都でも社会問題となっている「マスツーリズム」をテーマに、世界中で撮影した作品と今回のために京都で撮影された作品を、移動式展示トラック(場所は後日発表)で発表する。
同イベントでは毎回用意されるアーティストレジデンスに滞在し、京都で作品を制作するプロジェクトが行われているが、今回はコートジボワールの女性アーティスト、レティシア・キイ(Laetitia Ky)の新作が祇園のASPHODELと出町枡形商店街で展示される。自分の髪の毛をオブジェとしたセルフイメージのポートレートは、アクティビストとしても活動する自身のアイデンティを体現したもの。
同イベントで今年の「Ruinart Japan Award 2024」を受賞した吉田多麻希は、今秋にフランスを訪れ世界最古のシャンパーニュメゾン、ルイナールのアーティスト・レジデンシー・プログラムに参加。現地で狩猟に立ち会い、人と自然との関係の不平等さをテーマにした作品を発表する。同展のセノグラフィー(空間デザイン)は、ルイナールが本社を構える仏・ランスに先ごろ竣工した「ニコラ・ルイナール・パヴィリオン」の建築設計を担当した藤本壮介が行うという(場所は未発表)。
アイルランド政府の支援で作品を発表するのはイーモン・ドイル(Eamonn Doyle)。ダブリンを拠点にインディーズ・音楽レーベルであるD1を主宰し、アーティストとして活動。写真、暗喩、サウンドのミクスチャーで会場が構成される(会場未発表)。
KYOTOGRAPHIEが第一回目から行っている若手アーティスト育成を目的とするサテライトイベント「KG+」の「KG+SELECT Award 2024」を受賞したリュウ・セイユウ(劉 星佑/Hsing-Yu Liu)は、自身の両親をモデルにジェンダーをテーマにした写真インスタレーションの作品を出展。会場はギャラリー素形で行われる。
チケットは2025年2月下旬より発売予定。パスポートチケットは一般6,000円(前売り5,500円)、学生3,000円(前売り同額)、単館チケットは600円〜1,500円の予定。一部、無料会場も予定されている。
お問い合わせ:
KYOTOGRAPHIE事務局
京都市中京区久遠院前町672-1
Tel. 075-708-7108
「HUMANITY」をテーマに京都文化博物館、京都市美術館別館、京都新聞ビル地下(印刷工場跡)を始め、同展ではお馴染みの会場となった両足院、誉田屋源兵衛 竹院の間、八竹庵(旧川崎家住宅)など普段は一般公開されていない京都市内の町家などを含む13会場において、世界各国からキュレーションされたアーティストの作品が展示される。
また同展の姉妹イベントとしてボッテガヴェネタ(Bottega Veneta)がサポートし、2023年よりスタートした音楽イベント「KYOTOPHONIE」も同展開催期間中に行われる予定で、今回は沖縄出身のフィメールラッパー、Awichの出演が先行で発表された(詳細は後日発表)。
第1回目より同展の協賛をしているシャネル ネクサスホール(CHANEL Nexus Hall)は今回、インドの現代美術アーティスト、プシュパマラ・N(PUSHPAMALA N)の近年の3つの主要な作品シリーズを京都文化博物館別館で展示。1956年生まれの彼女は1990年代半ばからバンガロールを拠点に活動し、「現代インド美術界で最もエンターテイメント性の高いアーティスト・異端者」(今回のプレスリリースより)と評される。自らを被写体としてフレームに取り入れる社会性の高いフォトパフォーマンスの作品で、今回はテート・モダンでも展示されたヨーロッパの植民地主義がアジア諸国に広がっていくきっかけとなったインドへの航路を発見したバスコ・ダ・ガマに扮した作品「The Arrival of Vasco da Gama」などで構成される予定。
1942年生まれのメキシコの写真家、グラシエラ・イトゥルビデ(Graciela Iturbide)はメキシコ、キューバ、パナマ、アルゼンチンなど南米各国やインドの地域社会を撮影。フェミニズムをテーマにした作品で知られており、今回ディオール(Dior)の協賛を得て京都市美術館別館で作品が展示される。これまでハッセルブラッド国際写真賞、ウィリアム・クライン賞、メキシコ市芸術科学国家賞など数々の賞を受賞しており、今回が日本で初めての大規模な個展となる。
KYOTOGRAPHIEがきっかけとなって展示会場スペースとして一般公開されることとなった京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡)では、フランス出身のアーティストJRの新作が発表される。2017年よりスタートし、これまでヴェネツィア、サンフランシスコ、マイアミ、ハバナ、ナポリなどで行われてきた市民参加型プロジェクトのミューラルアート「クロニクル」を、今回はJRと彼のチームが京都に滞在し撮影した500人の人々のポートレートのコラージュで構成。ビルの建て壊しで同会場は2025年で閉鎖となる。また、このJRのプロジェクトの展示は大阪万博2025の開催期間と重なることあり、今回JR京都駅ビル北側通路壁面でも展示される。
同展のサテライトオフィスとなる八竹庵(旧川崎家住宅)では1991年に米国ボストンに生まれ、エルサレムとロンドンを拠点に活動するパレスチナ系アメリカ人のアーティスト兼写真家のアダム・ルハナ(Adam Rouhana)展を開催。「アメリカで育った西洋人として、アラブ人として、そしてカメラを構えるパレスチナ人として自分の立場を問うている」(プレスリリースより)。
八竹庵(旧川崎家住宅)と共に京町家を見学できる同イベントの人気会場として定着した誉田屋源兵衛 竹院の間では、沖縄を拠点に写真を撮り続けている石川真生の作品が展示される。1970年代後半に黒人兵だけが集まるバーの人々を撮影した、彼女の初期の作品「赤花」と最新作が発表される。昨年、東京オペラシティギャラリーでも個展が開催された石川は1953年沖縄県大宜味村生まれ。2011年に『FENCES, OKINAWA』でさがみはら写真賞、2019年に日本写真協会賞作家賞、2024年芸術選奨文部科学大臣賞、第43回土門拳賞を受賞。
同会場に近いくろちく万歳ビルでは、世界各地の“けんか祭り”を群衆に交わり、「カメラを振り回しながら」(本人談)撮影する甲斐啓二郎の作品が展示される。
こちらも日本庭園を含めた鑑賞で人気の高い建仁寺塔頭の両足院では「フランスの現代写真界を代表するアーティスト」(同リリース)、エリック・ポワトヴァン(Eric Poitevin)の作品展がヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)の協賛で行われる。
KYOTOGRAPHIEでは毎回、写真と同様に映像作品が発表されているが、今回もエンタテイメント性をもった映像作品が発表される。ロンドン生まれパリ在住の広告・ミュージックヴィデオなどの映像作家のリー・シュルマン(Lee Shulman)とセネガル人写真家の & オマー・ヴィクター・ディオプ( Omar Victor Diop)の新作「Being There」が嶋臺(しまだい)ギャラリーで行われる。リーは2017年にスタートしたアマチュアのヴィンテージ写真をアーカイブする非営利団体アノニマス・プロジェクトを主宰。1980年セネガルに生まれ、自分自身が歴史上の人物などに扮したポートレートを発表してきたオマーがコラボレーションし、1950年〜60年代の人種差別が残るアメリカの匿名写真にオマーが登場するパフォーマンス作品となる。
そのリーが映像作品の監督を努めたこともある英国のマーティン パー(Martin Parr)はマグナム・フォト所属の写真家であり、ソニーワールドフォトグラフィーアワード特別功労賞(2017年)、エーリッヒ・ザロモン賞(2006年)、ボーム&メルシエ賞(2008年)などの受賞で知られている。今回は世界各地、特に現在の京都でも社会問題となっている「マスツーリズム」をテーマに、世界中で撮影した作品と今回のために京都で撮影された作品を、移動式展示トラック(場所は後日発表)で発表する。
同イベントでは毎回用意されるアーティストレジデンスに滞在し、京都で作品を制作するプロジェクトが行われているが、今回はコートジボワールの女性アーティスト、レティシア・キイ(Laetitia Ky)の新作が祇園のASPHODELと出町枡形商店街で展示される。自分の髪の毛をオブジェとしたセルフイメージのポートレートは、アクティビストとしても活動する自身のアイデンティを体現したもの。
同イベントで今年の「Ruinart Japan Award 2024」を受賞した吉田多麻希は、今秋にフランスを訪れ世界最古のシャンパーニュメゾン、ルイナールのアーティスト・レジデンシー・プログラムに参加。現地で狩猟に立ち会い、人と自然との関係の不平等さをテーマにした作品を発表する。同展のセノグラフィー(空間デザイン)は、ルイナールが本社を構える仏・ランスに先ごろ竣工した「ニコラ・ルイナール・パヴィリオン」の建築設計を担当した藤本壮介が行うという(場所は未発表)。
アイルランド政府の支援で作品を発表するのはイーモン・ドイル(Eamonn Doyle)。ダブリンを拠点にインディーズ・音楽レーベルであるD1を主宰し、アーティストとして活動。写真、暗喩、サウンドのミクスチャーで会場が構成される(会場未発表)。
KYOTOGRAPHIEが第一回目から行っている若手アーティスト育成を目的とするサテライトイベント「KG+」の「KG+SELECT Award 2024」を受賞したリュウ・セイユウ(劉 星佑/Hsing-Yu Liu)は、自身の両親をモデルにジェンダーをテーマにした写真インスタレーションの作品を出展。会場はギャラリー素形で行われる。
チケットは2025年2月下旬より発売予定。パスポートチケットは一般6,000円(前売り5,500円)、学生3,000円(前売り同額)、単館チケットは600円〜1,500円の予定。一部、無料会場も予定されている。
■開催概要
KYOTOGRAPHIE
京都国際写真祭 2025
会期:2025年4月12日(土)~5月11日(日)
主催:一般社団法人KYOTOGRAPHIE
パスポートチケット:一般 6,000円(前売り5,500円)
学生 3,000円(前売りも同額)
KYOTOGRAPHIE
京都国際写真祭 2025
会期:2025年4月12日(土)~5月11日(日)
主催:一般社団法人KYOTOGRAPHIE
パスポートチケット:一般 6,000円(前売り5,500円)
学生 3,000円(前売りも同額)
お問い合わせ:
KYOTOGRAPHIE事務局
京都市中京区久遠院前町672-1
Tel. 075-708-7108