世界最高のアーティスト達を撮り続けてきたロック・フォトグラファー、アントン・コービンに密着したドキュメンタリー『アントン・コービン 伝説のフォトグラファーの光と影』(配給シンカ)が4月6日より公開となる。
その緻密な構図とアーティストの本質に迫るその作風は、U2やデペッシュ・モード、ザ・ローリング・ストーンズ、ジョイ・ディヴィジョン、ニルヴァーナ、コールドプレイ、ビョークなどから絶大な支持を受け、単なる写真撮影にとどまらず、アルバムのアート・ディレクション、ステージ・デザイン、PV制作などあらゆる表現でカルチャーシーンを牽引してきた。
U2、デペッシュ・モード、メタリカ、ルー・リード、ジョージ・クルーニーといった世界トップのアーティストたちとアントンの制作風景は最大の見所となっている。アルバム『WAR(闘)』(1983年) 以降、すべてのジャケット写真を手掛け約30年にわたりコラボレーションを続けているU2・ボノは「ミュージシャンは、アントン・コービンの写真に写る自分を目指す」と彼を称える。
近年は映画制作にも精力的に取り組み、2007年のイアン・カーティス をモデルとした『コントロール』は初監督ながら、カンヌ国際映画祭カメラドールを獲得した。ジョージ・クルーニーを主演に迎えた『ラスト・ターゲット』ではハリウッド進出も果たし、全米初登場1位を記録。新作『A Most Wanted Man』ではレイチェル・マクアダムス、フィリップ・シーモア・ホフマン、ロビン・ライト、ウィリアム・デフォーといった錚々たる面々がアントンのもとに集結している。
華やかな世界で30年以上にわたり活躍を続けるアントンだが、その私生活は決して明かそうとしなかった。1955年、オランダで牧師の息子として生まれた彼が世界的なロック・フォトグラファーになるまで、そして成功を手にしてからの心の軌跡を追いかけた本作を手掛けたのは、同じくオランダ出身の女性監督クラーチェ・クイラインズ。4年にわたる密着で、アントンの抱える“孤独”と“哀しみに”に迫った作品となっている。
4月6日よりシアター・イメージフォーラム他で公開。全国順次上映予定。