6月12日ロンドン・ファッションウィーク・メンズ最終日、ヴィヴィアン・ウエストウッド（Vivienne Westwood）が2018春夏コレクションを発表した。先シーズンに引き続き、今季もメンズとウィメンズを統合したショーを開催。ハイドパークの北側に位置する、体育館内を会場とした。イギリス人ジャズバンドデュオのレヴェント・アンド・テイラー（Levent & Taylor）とイギリス人歌手のマイク・ライトス（Mic Righteous）の生演奏とともにスタート。

エシカルなメッセージを発信し続けるヴィヴィアンの想いは、今季のコレクションに凝縮されていた。ルック序盤はナチュラルなホワイト地の熱帯雨林プリントが続く。動物の斑点のようにも見える小さなブラックの円は、果てしなく増えるお金のゼロを意味しているという。同じメッセージをブラックの文字で表現したグラフィックプリントも登場した。

中盤に目立ったトランプマークの柄やメイクには、それぞれ意味が込められている。「ハート」は愛・自由な世界、「ダイヤ」は欲・腐敗「クローバー」は戦争、「スペード」は地球を凌辱する巨大企業。トランプマークに限らず柄が豊作の今季は、英国調のチェック柄や絵画がプリントされたドレス、捨てられるはずの布の切れ端が自由に貼り付けられたデザインなど、さまざまなヴィジュアルがランウェイを彩る。ゴミ袋のようなシャリ感とツヤ感を放つ真っ黒のドレスやネットタイツの中に空き缶などのゴミを挟むといったルックで社会へ問題提議を試みた。

ランウェイを歩いたのはモデルだけでなくパフォーマーたち。逆立ち、回転、フラフープ、肩車とアクロバティックな動きで会場はファッションショーを超えてサーカスへと化した。男性モデルがドレスを、女性モデルがメンズスーツを、さらに双子のモデルが息ぴったりに闊歩するなど、奇想天外な世界観が繰り広げられ、まるで魔法の国を見ているかのよう。フィナーレには、パフォーマーに肩車されてヴィヴィアンが登場。会場は最高潮に盛り上がり、拍手喝采で魔法は解けた。