3月3日から5日までの3日間、世界最大規模の国際アパレルファブリック&アクセサリーの専門見本市「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス―スプリングエディション2014」が中国・上海で開催された。
主催者のメッセ・フランクフルト香港によると4万人超が来場。北京で開催された昨年に比べ60%増となり、同見本市過去20年間の記録を更新した。中でも中国国外からの来場者は105%増、中国国内からは52%増となった。国別の内訳は、中国本土を除き、韓国、香港、日本、インド、アメリカ合衆国の順となった。
今回はイタリアなどの欧州諸国に加え、中国を中心とするアジア諸国全23ヶ国からアパレルメーカー1,400社が出展。昨年の16ヶ国から大幅に伸びた。初日に行われた記者会見では、CCPIT(中国国際貿易促進協議会)が、実際は倍以上の申し込みがあったことを明かし、中国市場の将来性やグローバル化についてアピール。来年は虹橋に建設中のChina Expo Complexに場所を移し、今展の約2倍となる10万平方メートルの会場でインターテキスタイル・ホーム・テキスタイルやヤーン・エキスポと同時開催することを発表した。
日本からは13社が出展。「会場が上海に移ったことで中国南部からの来場者が増え、新規客が増えた」(モリリン)、「中国の景気が良くなってきたことを感じるし、実際オーダー量も増えている」(一村産業)などと出展の手応えを感じる声が多く聞かれた。大阪の繊維商社・ウィズオールは「上海で開催ということで参加を決めた。インターテキスタイルは圧倒的な集客力があるのも理由。今回は特に欧州のトレンドの影響を感じる。中国の各メーカー・ブランドが、世界のハイブランドの傾向を取り入れようとしている」と見解を示している。
欧州のトレンドに追随すべくプルミエール・ヴィジョンで好評だった商品にも注目が集まった他、日本ならではの素材を探す客も目立った。「パリで人気あったものを中心に、藍染めなど日本ならではの素材が受けている」(チクマ)、「定番素材だけでなく、表面効果のあるものが売れている」(熊澤商事)。また、今回は14-15AWの生産にも間に合う時期に開催されたため、15SSと両シーズン分のオーダーをする客も多かったという。
■欧州各社もアジアに注目
ロロピアーナ社やトーマスメイソン社始めとする124社と共にサロンヨーロッパゾーンに出展したミラノウニカのシルヴィオ・アルビーニ(Silvio Albini)会長も、記者会見で中国始めアジアマーケットの重要性が年々増していることを強調。
ヨーロッパのトレンドデザインをそろえたデザインスタジオが集まるゾーンは連日にぎわいを見せていた。高めの価格設定ながら人気を集めていた英デザインスタジオ「サークルライン(Circleline)」のディレクター、ジェレミー・サマーズ(Jeremy Somers)氏は、「約10年前に中国に進出したが、中国のファッションシーンがここ2・3年急激に発展していることを感じる。他国の真似ではなく、スペシャルなものを作ろうとしており、華やかなアジアの感覚と歴史あるヨーロッパの感覚をミックスしたオリジナルスタイルが確立されつつあると思う。特に、若いクリエーター達が多くの情報を得て感性を磨こうとしている」と話す。
2年前から上海にオフィスを構えるリバティ社も中国国内での認知度向上を目的に出展。19年前から上海や香港にオフィスを構えるリリージップ社もマーケットの拡大に期待を寄せている様子だった。
また、会期中、インターテキスタイルトレンド委員会始め各団体が15SSのトレンドフォーラムを開催。多くの出席者が熱心に耳を傾け、ブースに集められた生地見本を丹念にチェックする姿が見られた。
※編集部注:中国国外からの来場者数について、主催者の最終発表に基づき修正(2014年3月27日)