「墨象」を確立させた104歳の美術家・篠田桃紅の随筆集【NADiffオススメBOOK】

2016.11.17

木曜日連載、アート・ブックショップ「NADiffナディッフ)」各店による今読むべき1冊。今週は、篠田桃紅の『墨いろ』。東京渋谷の支店 NADiff modern(東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura地下1階)によるご紹介です。

■『墨いろ』篠田桃紅

ラクで間違いなくやれることであんまりおもしろいことはない。
それを知ることが、人生というものに飽きずに生きる秘訣かもしれない。

「墨象」という孤高の世界を確立した、今なお第一線で創作を続けている104歳の美術家、篠田桃紅の研ぎすまされた感性が捉える自然、文化、物、人...

書は、1979年に日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した名著に、まえがきや著者の墨象作品が口絵として新たに収録され、再編集された新装版である。

激しい炎の赫さ、萌える新緑、深い水底の青...墨はこの世のあらゆる色を鮮やかに描き出す。永年、墨と向き合うことで人生の楽しさ、苦しさのはざまで漂いながら、自分自身と向き合う。そのなかで自分のもっているちから以上のものが宿る不思議に出会う喜び。生きることの尊さを、改めて感じさせてくれる言葉に溢れた香り高い随筆集。

篠田桃紅とも親交のあるベルギー現代美術を代表する画家ピエール・アレシンスキーの日本初の展覧会が現在、Bunkamuraザ・ミュージアムにて開催中。日本の書道が自身の作品に影響を与えたというアレシンスキーが撮影した「日本の書」(1955年)という篠田桃紅も登場するドキュメンタリー・フィルムも本展会場にて上映している。

書の世界がどのように彼の作品と融合していったか、ぜひ会場で作品と向き合って頂きたい。

書籍情報】
『墨いろ』
著者:篠田桃紅
出版社:株式会社PHP研究所
B6判変形並製
発刊:2016年9月
価格:税込1,080円

【展覧会情報】
「ピエール・アレシンスキー展」
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1地下1階
会期:10月19日~12月8日
時間:10:00~19:00(入館は18:30まで)、毎週金・土は10:00~21:00(入館は20:30まで)
料金:一般1,400円(団体1,200円)、大学・高校生1000円(団体800円)、中学・小学生700円(団体500円)
※障害者手帳の提示で割引料金あり。詳細は窓口にて。
NADiff
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