世代や国籍、表現方法の異なる3人のアーティストの作品を通して、作品と身体との間に生まれる関係性について考察した「曖昧な関係」展が、12月21日から17年2月26日まで銀座エルメス フォーラムで開催される。
スイスのジュエリー作家であるベルンハルト・ショービンガーは、身につけることを前提とするジュエリーの制作を通じて、身体の物質性やその強さと弱さ、そして欲望を忠実に描き出す。愛や権力と結びつき、欲望の対象であり続けた装飾品が、身体の不在によって初めて本来の価値を認識されるような、身体と装飾品の主従関係の曖昧な反転を見ることができる。
フランス人画家のアンヌ・ローテ・サクリストは、15世紀にパオロ・ウッチェロが描いた『サン・ロマーンの戦い』に見られる詩的で幾何学的な抽象性を京都の石庭に重ね合わせ、室内と外や、部分と全体の移ろいやすく相対的な関係を浮かび上がらせる。
ベルリン在住のアーティストのナイル・ケティングは、光波や音波といった不可視のマテリアルをベースにシグナルや香りといった現象を新しい物質性の感知やコミュニケーションへと置き換えてゆく試みを行う。イタリアの思想家であるマリオ・ペルニオーラの「エニグマ」を引用しながら、「モノ」化してゆく人間を貫く態度としてパンクカルチャーの「未来のなさ」や「何も感じないこと」に共鳴する。
同展では、このように作品と身体の対峙を独自に生成させる3人のアーティストの表現を通じて、オブジェと身体と空間の曖昧な共犯関係を感じることができる構成となっている。
【イベント情報】
「曖昧な関係」展
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム
住所:東京都中央区銀座5-4-1 8階
会期: 12月21日~17年2月26日
時間:11:00~20:00(日曜日は19:00まで、入場は閉館の30分前まで)
入場無料