2004年、銀座中央通り3丁目にオープンしたシャネル銀座ブティック。このビルは世界的に活躍する建築家ピーター・マリノ(Peter Marino)が空間及び建築デザインを手掛けて話題となり、ビルの前壁面にはツイードやCマークの映像が映し出され、銀座の景観にインパクトを与えた。
その銀座店は、2011年に1階、翌2012年に2階と年に1フロアずつ時間を掛けて改装され、今回3階部分が改装を終え、2013年11月22日リニューアルオープンした。
3階に上がると、フランスの作家ジャン=ミッシェル・オトニエル(Jean-Michel Othoniel)による、パールのネックレスをイメージした作品が出迎えてくれる。イタリアのムラノガラスでできたガラス玉が連なり、シルバーからブラックに変化していく様子がシックなオブジェだ。シャネルのアイコン、パールのネックレスを思わせる、彼の作品はロンドンのニューボンドストリート店、パリのアヴェニュー・モンテーニュ店などシャネルの限定された店舗に展示されているという。
銀座中央通り寄りにあるミニライブラリーには本棚が設けられ、ココ・シャネル関連の書籍を自由に閲覧できる。円をモチーフした模様が施されたブロンズ製のこの本棚は、女流彫刻家イングリッド・ドナ(Ingrid Donat)によるもの。彼女の作品は、中央のサロンにもショーケースとして使用され、シャネルのコードカラー、白と黒とベージュを基調としたモダンな店内に、時空を超えたノスタルジックなムードを醸し出しマドモアゼルが生きた時代へ誘う。
プレタポルテを中心にしたフロアは、ブラウンレジンのアーチにより、三つのセクションに分かれている。現在、中央にあるプレタポルテのコーナーは、マドモアゼルが、フランスのドーヴィルに初のブティックをオープンして100周年を迎えた年にちなんだ、クルーズコレクションを展開中。メンズのワードローブにインスパイアされたカシミアジャージーのセットアップを始め、アイコニックなパールのロングネックレス、カメリア、バイカラーシューズなど、マドモアゼルのエスプリが溢れたアイテムがそろう。
また、二つのVIPルームも設けられており、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が撮影したエッフェル塔の写真やパブリック・アートの第一人者リチャード・セラ(Richard Serra)のエッチングが飾られ、リラックスしてショッピングを楽しめる空間となっている。他にも、オープン当初から飾られている書道家・川邊りえこの作品などピーター・マリノが自らセレクトしたアートピースを配した空間でのエレガントなおもてなしが印象的なリニューアルとなった。
来年10周年を迎えるシャネル銀座店、新しい歴史を刻む準備は整ったようだ。