エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI) が2021年春夏コレクションで日本人デザイナーのトモ・コイズミ(Tomo Koizumi)を起用。ミラノファッションウィーク期間中にカプセルコレクションをショートフィルム形式で発表した。
プッチは2015年から2年間にわたり5シーズン、MSGMのマッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgeti) をクリエイティブディレクターとして起用。2020年秋冬コレクションではKochéとコラボレーションのコレクションを発表しており、若手デザイナーのコラボレーションとしては今回初めて日本人デザイナーの起用となった。
トモ ・コイズミはファッション好きの母親の影響で、10代前半に「ディオールのためのジョン・ガリアーノ」という本との出会いに衝撃を受け、ファッションデザイナーになることを決意したという。2011年にブティックオーナーが、彼が学生時代に作ったドレスに興味を持ち、自身のブランド「トモ コイズミ」をスタート。モデルやアーティスト、女優のコスチュームデザイナーとしての活動を開始した。2019年2月、彼の最初のランウェイショーはケイティ・グランド、マーク・ジェイコブス、KCD Public Relations, Inc.のサポートによって、NYでショーを開催。作品のうちの2つはMET美術館で展示され、その内の一つはMET美術館が購入した。2020年4月にはLVMHプライズのファイナリスト兼共同受賞者に選ばれた。
プッチのメゾンは「素晴らしい才能を持つコイズミにプッチのユニークなヘリテージを解釈することをお願いした。ユニークで夢のような女性像のビジョンを持った彼の美しいテクニックは、マジシャンのようだ」とコメントを発表。
「私はいつもプッチのような豊かなヘリテージを持つメゾンブランドとコラボレーションしてみたいと思っており、今回夢が実現した 。侯爵エミリオ・プッチの時代を超越した美しいスタイルと、素晴らしいブランドカラーパレットのハーモニーにインスピレーションをもらえる貴重な機会に感謝しています」とデザイナーの小泉智貴は話している。このカプセルコレクションは、2021年3月に世界各国のエミリオ・プッチのブティックにて展開される予定。
トモコイズミの2021年春夏コレクションは9月にNYファッションウィークで予定されていたショーを、期間中にルックブックで発表する表現に変更。今回は日本の「花嫁/Flower Bride」をテーマに日本の伝統的な婚礼衣装をテーマに、従来使用してきたオーガンジー以外のサテンやキュプラなどのデッドストック生地を使用して、自身の代名詞であるラッフルドレスの幅を広げた。さらに日本のインポートウェディングドレスショップ「トリート」とのコラボレーションも先頃、東京で発表された。
シャンポール・ゴルチェ(Jean-Paul GAULTIER)のメゾンがオートクチュール・デザイナーとしてサカイ(sacai)の阿部千登勢を起用を発表。デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)の手掛けるバレンシアガ(BALENCIAGA)がパリ・オートクチュール復帰、パリでクチュールを発表している中里唯馬(ユイマナカザト)へスパイバーが経営参加といったクチュール回帰の動きとともに、これまでプレタポルテ(既製服)を手掛けず注文服によって自身の世界を築いてきたトモ・コイズミという存在にあらためて注目が集まっている。
Text by Tatsuya Noda