ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)が、3月7日18時半(日本時間8日2時半)にパリ、ルーブル美術館の「マルリーの中庭」にて2017-18年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。
メゾン創業当時から、デザインやサヴォアフェールという手段によって「境界線」へのアプローチを続けてきたルイ・ヴィトン。アーティスティックディレクターのニコラ・ジェスキエールにとっても、それは大きなテーマのようだ。グローバル化したこの世界において、それは何を意味するのか――。あらゆるものがボーダーレスとなった今、彼が導き出した答えは移動を暮らしの軸とする「ノマド」というスタイルだった。
今回のコレクションでは、モダンな都市と遥か彼方の地との融和、マスキュリンとフェミニンの境い目、昼と夜がゆっくり溶け合う瞬間、そしてメゾンの伝統と未来の出会い、そんなオブスキュアな概念から生まれたミックススタイルが提示された。
ベースとなるのはジェスキエールが得意とするリアルなスポーティースタイル。クラシックなアメリカンスポーツウエアにスラブ民族風のアクセントを加えたり、袖にボリュームを持たせた都会的なシルエットのジャケットやブルゾンには、懐かしいフォークロア風のエッセンスを取り入れた。伝統的なハウンドトゥース柄のジャケットには、レザーやジャージー素材によってパーツ切り替えが施され、パンツに巻かれたスケーター風のチェーンにはロックな要素も感じられる。ボトムスの基本は、フェミニンなミニスカートやクロップドパンツ。足元に投入されたのはメンズライクなスクエアトウのサイドゴアブーツ。イヴニングドレスはシルクやオーガンザ、レースなどのマテリアルをミックスしたパターンに、特徴的なフラワーモチーフがプリントされていた。
メゾンの高い技術と巧みな表現手法によって、国境や文化、時代を超えた新しいスタイルに挑戦した今シーズン。メゾンの特徴であるレザーバッグに大きなインパクトが感じられなかったのは少々残念ではあるが、ジェスキエールが目指したスタイルは観衆によく伝わったのではないだろうか。新人モデルの江原美希がパリコレデビューを果たしたのも、日本人として注目したいポイントであった。