ファッションデザイナーのエミリオ・プッチ(Emilio Pucci)は1914年11月20日生まれ。イタリア・ナポリ出身。1992年11月29日逝去。
バルセント侯爵家に生まれ、高校時代にはスキーのナショナルチームに所属。大学卒業後に第二次世界大戦が勃発するとイタリア空軍に所属し、終戦後は政治家として活動していた。47年には雑誌『ハーパーズ・バザー』に、高校時代に着用していたスキーウエアを発表。これは、当時プッチが自らデザインしたもので、その流線型のフォルムが話題となった。以降は同誌から女性用の冬服のデザインを依頼されるようになり、その作品はニューヨークで販売されている。
その後、プッチが手掛けたウエアは、ミニマルなスタイルとカラフルな色彩で、当時の女性たちから絶大な支持を受けた。そのデザインを象徴するのがグラフィカルなプリントで、過激かつ大胆な柄を次々と発表。これらは“プッチ柄”と呼ばれ、業界からは“プリントの王子”とあだ名されるようになる。
その一方で、64年にはブラニフ航空のクルーが使用する制服デザインを、71年にはアポロ15号使節団のロゴを製作。この頃、プッチはジャージー素材や化学合成素材など、様々な新素材を開発しており、その先端性でも注目のブランドとなった。80年代には「リンカーン コンチネンタル」など高級車の内装デザインも手掛けており、これらの功績が評価されて90年にはCFDAから表彰を受けている。92年に逝去すると、ブランド「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」は娘のラウドミア・プッチへと引き継がれた。その後、クリスチャン・ラクロワ(Christian Lacroix)、マシュー・ウィリアムソン(Matthew Williamson)らを経て、2008年10月からはピーター・デュンダス(Peter Dundas)がクリエーティブディレクターを務めている。