小説家のカート・ヴォネガット(Kurt Vonnegut)は1922年11月11日生まれ。アメリカ合衆国・インディアナ州出身。2007年4月11日逝去。
ドイツ系移民の一家に生まれ、コーネル大学に入学。やがて徴兵されると大学を転々としながら、軍からの指示で機械工学を学んでいた。44年には第2次世界大戦の欧州戦線に出兵。しかし、ドイツ軍の捕虜となり、ドレスデンの捕虜収容所、通称“スローターハウス5(第五屠畜場)”に幽閉されてしまう。45年に赤軍によって解放されると、パープルハート章を与えられた。
アメリカに戻ったヴォネガットは軍を除隊し、幼馴染のジェーン・マリー・コックスと結婚。兄の勤めるゼネラル・エレクトリック社の広報として働くようになる。その傍らで小説家としての活動をスタートさせると、52年には処女長編作『プレイヤー・ピアノ』を発表。その後も作品を書き続けたが、当初彼の作品は世間で全く評価されなかった。
しかし、63年に発表した『猫のゆりかご』がベストセラーになると、ヴォネガットの作品は再評価されるようになる。69年には第2次世界大戦中の実体験を元にした『スローターハウス5』を発表。この作品はヒューゴ賞を受賞するなどアメリカ中で絶賛され、後のSF小説家にも多大な影響を与えている。その作風はSFの要素を取り入れながらも、政治や戦争などを風刺した内容となっており、73年に発表した『チャンピオンたちの朝食』で作者自身を登場させるなど実験的なアイデアも数多く盛り込まれた。
私生活では児童文学者のジル・クレメンツと再婚した他、姉エディスが事故死すると彼女の子供を養子に取っており、最終的には7人の子供を持つようになる。
爆笑問題の太田光が好きな作家の1人に上げている。彼の事務所タイタンはヴォネガットの『タイタンの妖女』から取られている。