英国ブランド「J&Mデヴィッドソン(J&M DAVIDSON)」が、今年ブランド創立30周年を迎えた。9月には、新コンセプトを取り入れた旗艦店を南青山に移転オープン。
ブランドの新たな門出の象徴として、また世界観の発信基地として機能する。今回、私生活でもパートナーであるデザイナーのジョンとモニク・デヴィッドソン夫妻の言葉とともに、ブランドの軌跡を辿る。
――お2人の出会いには素敵なエピソードがあるそうですね。
モニク(以下M):1969年の夏、スペイン北東部カタルーニャ州のコスタブラバのビーチ出会いました。2人とも休暇中で、ある日海で泳いでいた私のところにジョンがやってきて、「コーヒーでもどう?」と話しかけられたのが始まりね。
――それからブランドを立ち上げる1984年までの間、どんな道のりがあったのでしょうか?
ジョン(以下J):出会った当時、僕はフォトグラファーで、モニクはバレエダンサーやテキスタイルデザイナーとして活動していました。丁度ハンドメイドやカスタムメイドが流行っていた頃で。モニクが素敵なデザインの犬の首輪を“人”用のベルトとしてアレンジしてみたのが、ブランド立ち上げのきっかけ。首輪を作っている工場を調べ、同じデザインを人間用のベルトのサイズで作ってもらったんです。趣味の延長で始まったベルト作りが、他の人のためにも作るようになり、1984年から、ロンドンのノッティングヒルを拠点に「J&Mデヴィッドソン」としての活動が始まりました。
M:いろんな人にベルトを提供しているうちに、ブランドとしてやっていくことになったの。パリの展示会で発表したファーストコレクションは、ジョセフやバーニーズ ニューヨークなどが買い付けてくれました。同時にバッグのコレクションもスタート。その当時では珍しかったファブリックを使ったバッグをデザインして注目を浴びました。これまでバッグだけでも1,700型作っているわ。私達は、そのすべてのバッグに名前を付けています。最初はアルファベットだけだったのが、そのうちにバッグのイメージに合う人物名や地名を付けるようになっていきました。
J:バッグに名前を付けるのはとても感覚的なプロセス。赤ちゃんの名付け本を参考に、名前を考えることだってあるんだ(笑)。
――お2人の役割分担は?
J:レザーなど素材のセレクトやカラーは一緒に考えています。モニクがデッサンして、僕はそれを具体的なシルエットに落とし込んだり、生産における技術的な面を考えたりしています。
――お互いのルーツは商品にどのように反映されていると思いますか?
J:イギリスが誇る伝統的なクラフツマンシップに、フランス特有のエレガンスが融合されていると思います。だからこそ、J&Mデヴィッドソンはもの作りとファッション性が絶妙にマッチしたブランドだと言えます。
2/2へ続く。