「ユニかぶり」という言葉がある。
人気でリーズナブルなブランドだからこそ頻繁に起こる悲劇なのだが、つまりはユニクロを着用して出かけたところ、街中で、電車で、カフェで、自分と同じ服を着た人と出会ってしまう現象だ。万が一、待ち合わせ相手まで同じ服を着ていたら……。
わたし自身、大学にユニクロのぷりちーなキャミソールを着ていったところ、教室にいる女の子が色まで同じものを着ており、大変に気まずい思いをしたことがある。まぁ、ユニクロじゃなくてどこのブランドでも、ファッションアイテムがかぶると気まずい。だから、人は「自分だけ」のアイテムを探すのだ。かぶらないのは大前提として、できれば入手困難で自分の個性を表してくれるようなウェアを、バッグを、シューズを。
しかし、コスメに限ってはそのような法則はない。
「この人、エスケーツーでお手入れしてるなぁ」
などと肌を見てバレてしまうことはまずないし、
「あ、この子ランコムのマスカラ使ってる」
とメイクを見て判断されてしまうことも、特殊な場合を除いては、ほとんどないだろう。
というわけで、コスメは人のマネをしても安心なのだ。
むしろ、人気のコスメにはなんらかの理由があるので、どんどん試してみるのもいいのではないか。
ランキングの上位からCD借りるのはダサくても、コスメに限ってはモーマンタイ!
確実に評価がわかっているものを端から試して、その中から自分に合うものを見つけていくというのが効率のよい方法だ。
というわけで、わたしの愛用している「名品コスメ」をいくつかご紹介したい。コスメサイトや美容雑誌でも殿堂入りしているような、今更言うまでもないものばかりなのだが、そこはまぁ定番ということでお許しいただきたい。
スキンケア部門は、言わずとしれた「ドゥ・ラ・メール(DE LA MER)」の「クレーム ドゥ・ラ・メール」。肌の調子がいまいちなのでエイヤっと清水買いしてみたところ……イイ。もう、なんていうか、イイ。下がり調子のお肌も優しく包み込み励まして、翌朝にはふっくら復活させてくれる。常に所持しておきたい「お守りコスメ」と称されるのも納得で、一回使えば手放せないおそろしいコスメである。
メイク部門はこれまた定番だが、「ルナソル(LUNASOL)」の「スキンモデリングアイズ01」。発売されては消えていく仲間たちの中で、2007年の登場以来、今なお燦然と輝くアイシャドウの女王。本当に良いものが古びることはない。肌に溶け込む自然な色遣いながら確実に目元をグレートアップさせ、どんなチークやリップとも合い、まさに協調性のある優等生。
ボディケア部門は、「ハウスオブローゼ(HOUSE OF ROSE)」のボディスムーザー「Oh! Baby」。このリーズナブルさでエステ帰りの仕上がり。痛いどころか滑らかなスクラブでケア中から快適なのだが、洗い流してみるとお肌はまごうことなき赤子。浮世の垢を落とし、ウン十年前のような状態にしてくれるタイムマシン的コスメなのだ。その地位に甘んじることなく、さまざまなバージョンが出されるのも楽しい。現に今も、3月末まで「ゆず蜜ジンジャー」の香りが発売中。
こう書いてみると、名品コスメには母港のような安心感がある。確実に合うものが分かっていても、ついつい新しかったり華やかだったりするものに手が伸びてしまうこともあるのが乙女心(年齢不問)。でも、やっぱり本命というか正室というか北の方というか、戻るべき場所であり常に傍にいてほしい存在。そんな不動の安心感を持つのが、名品コスメなのだ。
貴方の名品コスメは、なんですか?