コレクションのアテンドでパリへ行って来ました。
パリコレ最中のパリはお祭りのようで、世界中のファッション業界で働く人達が集まり、世界の「ファッションの縮図」がそこに出現します。
ショーの席順は、ジャーナリストにとって先シーズンの活躍の成績表です。誰がフロントロー・セカンドローに座るのか、がビッグイシューとなるのです。ジャーナリスト達はお互いの品定めをしていて、満足できないシーティングをもらうとプレスへ当たり散らすか、席を立って帰ってしまうこともあります。私は肩にグーパンチを受けたこともあります(笑)。
ショーは洋服を見ることももちろんですが、この「品定めの会」としての機能が強いのです。
当初はくだらないと思っていましたが・・・そのうち、楽しんで見るようになりました。そこでは、お互いを牽制する「ショー」が繰り広げられるわけです。
各国のコンデナスト系はさすがに強く、実際にショーについての記事を書くスタイルドットコムやWWD、NYタイムズなども強いです。米国系のメディアはもちろんとても強く、イタリアやフランス系の媒体は、イギリス系と比べて少し弱い。そこにちょこっとロシア系が割り込んでくる。このように媒体や国の力関係がしっかりと出ます。
日本のメディアの席は・・・残念ながら年々縮小して、その代わりに中国や他のアジアが席数を増やしています。アジアに割り当てられる席数は多いけれども、実は多くのプレスにとって、アジアは未開の地なので席割りも結構適当なのです。中国はなんだか分からないけれど、パワーがある・・・そんな認識をされています。こうやって眺めてみると、国際会議での各国のパワーバランスとなんだか似ていますよね。
コレクションを見ながら、大の大人がパワーバランスの中で、本気でもがいているわけです。
「コレクションを見せる」ことから「ショーを見せられる」、そんな立場の逆転がここでは起きています。パリコレとは、私にとってそんなカラクリを持ったショーなのです。